051.新たな拾い物
「あれ? 先客さんが居るみたい」
開けた所、まあ森を流れる小川の側なんだけど、に出たら既に人が居た。
いや、居たと言って良いんだろうか、相手は意識が無いようですよ。
「お昼寝している訳じゃ無いよね?」
こんな所で、一人で。
特に結界なりを張っている訳でも無さそうで、俺達が近付いても反応もしない。
王都に近い森で、駆け出しの冒険者とかが来る様な場所とは言え、魔物が居ない訳でも無い。
不用心なのか訳有りなのか。
「見た所、まだ子供の様ですのう」
俺の肩から降りて、転がっている相手の顔をぺたりと前肢でオスカーが触る。
あれちょっと冷やっこくて、飛び上がるんだよね。
「川の側で俯せになって倒れている……事件かな?」
何て適当な事を口にしたら、ぐぅぅぅ~ってな感じで倒れている子のお腹が鳴った。
「事件じゃなくて空腹みたいだね~」
空腹なら倒れても仕方が無いよねっ。とエドワードが飛び跳ねる。
「空腹か~。……でも森の中って食べられる物結構有るよね?」
やっぱり事件なんじゃ? 飛び跳ねているエドワードを指先で突いて遊ぶ。
「ふむ。血の匂いはしないから怪我をしている訳でも無し。呼吸も安定しているから病気という事も考え難いな」
特に可笑しな匂いはしないようだと、冷静に観察し終えたユースタスがそう言う。
「緊急性が無いようなら、起きるのを待つ間にお昼ご飯でも食べてよっか」
このまま放置して、魔物に美味しく食べられちゃうのも寝覚めが悪いしね。
鞄から括りつけていた鍋を外す。
お外で食べる温かい物って美味しいからね。特に困らない時はこんな風に鍋を持ち歩く様にしている。
鍋は重ねて複数持ち歩くから、ちょっとだけ重くなるけど力が強いから気にならないしね。
大きい方の鍋にゾーイに水を入れて貰ったら、切って乾燥させた野菜と塩漬け肉を細かく切った物。それから塩胡椒とドライトマトも一掴み。ちょっと酸っぱいけどドライトマト入れると味が纏まるんだよね。
スープが出来たら鍋を火から下ろして、小さい方の鍋に水を入れて貰って火に掛ける。
食後のお茶も大事だからね。
そこまでしたら鞄からお弁当の包みを取り出す。
大きい包みはそれぞれ俺とユースタスの分。小さいのは妖精達の分。
一人に一個ずつ手渡して、それから取り出した器にスープを装って配る。
多分腹ぺこの子が寝ているから、スープは一人分だけ鍋に残す。
「頂きま~す」
妖精達は食前の祈りをしない。こっちの人は割とご飯を食べる前に神に祈るみたいなんだけど。
まあ、妖精達の知っている神様と、一般の人の信じている神様とは違うからかもしれないけど。
俺は記憶にある人だった時の癖で頂きますって食べ物やその他色んなものに手を合わせる。
ってのを癖だからずっとやってたら、妖精達も一緒に頂きますって言う様になった。
今日のサンドイッチはコンビーフとレタスのと、ポテトサラダのと、白身魚のフライとタルタルソースの奴だ。
大体の具は切って混ぜるだけとか前の晩の残りだし、白身魚は屋台でちょっと買って来た奴なので実は手抜きなのだ。
タルタルソースがちょっとだけ手が掛かってるのかな。
食パンじゃなくてコッペパンみたいな奴に挟んだから、三つと言えども結構量がある。
サンドイッチを食べて、スープを飲んで、丁度沸いたお湯で口がすっきりするお茶を淹れて皆で一息付く。
デザートはさっき採取している時に見かけたプラムみたいな果物。
洗って直接齧り付く。凄く酸っぱい!
酸っぱいし繊維が多いんだけど、香りがとても良い。
種は持って帰って地下に植えよう。沢山生ったらジャムにしたい。固めの実だから洗って果実酒として漬け込んでも良いかもしれない。
ぐぅぅぅ~。
お茶を飲んで満足していたら、催促するかの様に誰かさんの腹の虫が鳴った。
すっかり忘れ掛けてたよ。
俯せだったその子は、手を付いて起き上がると警戒する様に俺達から少し離れた。
「何かする心算だったら、君が寝ている間にやってるよ」
そう言いながら、空になった自分の器をゾーイに洗って貰ってから、残ったスープを注いで相手の方に押し遣る。
「さっきまで俺達も食べてたスープだから、何も入ってないよ。お腹空いてるだろ?」
どうぞと勧めると、ララとゾーイも自分の分のサンドイッチを一つずつ分けて上げると言い出す。
警戒しているけど、空腹には勝てなかったのか、その子は器とサンドイッチを掴んで、また俺達の手の届かない場所まで下がって食べ出した。
新しい子登場です。
どうやって登場させようか、どんな外見の子にしようか考えていて、直前まで決めていた外見が有ったのですが、書き出したら何か違ってしまいました。(って今話では外見に触れて無いんですけどね)
お話って割と気ままに方向性を変えていくんだけど、気が付くとちゃんと目標地点に着陸しているから面白い。
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