表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/73

031.そう言えば、基礎値は規格外でした

「と、注意点はこんな感じかしらね。……と言っても、大体は出来ていたから特に直す所なんかは無いのよね」

 一通り実演も交えながら調薬のポイントの説明を受ける。気を付けなければいけない所を教えて貰えたので、とても為になった。

 ちなみに薬草の下処理をするためのナイフについては、大体皆小型のナイフを一つは携帯していて、ちょっとした作業なんかにはそれを使う事が多いから、特に指定しなければ道具を購入する時も付属して来ないのだそうだ。

 勿論頼めば取り扱ってくれるらしいけれど、直接鍛冶屋に注文しても問題は無いらしい。

 道具屋に頼めば手数料を上乗せされるが、調薬用に使いやすいナイフを手に入れられる。

 鍛冶屋に直接注文すれば、自分好みのナイフを作って貰える。但し、鍛冶屋は調薬に詳しくないから、その差分をちゃんと指定しなければならない。

 後、混ぜ棒は大体はガラス製なんだけど、魔力を伝達し易い素材を使うと少し調薬が楽になるらしい。

 アイビンさんはクリスタル製の混ぜ棒を使っているそうだ。ミスリル製なんかだともっと魔力の伝達が容易らしいけど、下級回復薬が主力商品の街の薬師には高過ぎて手が出ないとの事。


「それじゃあ、中級回復薬も作ってみましょうか。と言っても、基本の作業は同じだし、横で指示を出すからやってみて」

 とアイビンさんはマリアさんに素材を出すように言った。マリアさんはさっきから、出来上がった下級回復薬を瓶に詰めたり、使用した機材を片付けたりと忙しそうにしている。

 見ているだけは落ち着かないし、手伝いがしたいけれどもここでどこまで手を出しても良いのか、来たばかりで良く分からないからおろおろと見ているしかない。

 片付け場所もまだよく分からないし、追々出来る事を増やしていこうと思う。


 中級回復薬は、メドワ草が回復成分の主素材で、中和剤としてアギル茸を使って、同じ様に蒸留水で煮出すらしい。

 作業手順は同じで、薬効を押し出したり反応させるのに使う魔力の量が違うのだとか。


「大体の街の薬師だと、下級回復薬を一日二本から三本、中級回復薬なら休憩を挟んだりしながら、一日一本作れるぐらいかしら?」

 だから回復薬の値段というのはちょっと高いのだそうだ。

 貴族なら大体中級回復薬を一日四本ぐらいは作れるらしい。上級回復薬だと一日一本だとか。


「魔力の相性が良ければ、何人かで交代で魔力を注ぐ事も出来るけど、そんなに簡単な物でもないしねえ」


「じゃあ、薬師をやっていても大儲けって訳にもいかないんですね」

 どちらかというと職人扱いなぐらいの所得になるのだろうか。

 薬草を買い取って作ればその分の費用が掛かるしと考えると、それ程儲けの幅が有る訳でも無さそうだ。


 まあ、大儲けしたって宝石が欲しいとかそういうのは無いし、ちょっと美味しいものを奮発して食べるぐらいで、お高い服をとかそういうのは無いから別に良いのだけれど。


 ぐるぐると素材を入れた鍋を掻き混ぜて、薬効が蒸留水の中に流れ出る様にと魔力を注ぐ。

「あー、何かこっちの方が繊細な操作が要らないかも?」

 下級回復薬ほど優しくとか、そっととか考えなくても、魔力をちょっと流せばそのまま押し出されている感じがする。

 ぐるぐると混ぜ棒と魔力を回して、中和剤の成分と一緒に反応するように促す。

 ぱあっと中央から塗り替える様に、薄い緑色の液が薄い橙色に切り替わる。


「アイビン先生、出来ました~」

 色が変わったから、成功で良いんですよね? と確認してみる。


「じゃあ、魔道具で計測してみましょうか」

 とマリアさんに測定器を用意させる。


「中級回復薬を作ってみて、魔力の残量はどんな感じかしら?」

 四、五本行けそうなら上級回復薬も作れるようになるわよ。とアイビンさんに言われて、そういえば下級と中級の回復薬の作り方を習うだけという話だったのだと思い出す。


「……あんまり減った気がしないので、五本ぐらいなら問題ないと思います」

 自分の中の魔力を確認して、特に違和感も感じない。

 と言うか、減ったかどうかも分からない。分からないだけで減っているのか、大して減っていないのかでは大分違うのだけれど。


「デイライト様は、元々の魔力量も多いですし、魔力の回復も早いのですじゃよ。……多分生死の危機に際して形振り構わずに魔力を使ったりしない限りは、魔力の枯渇を気にしなくても大丈夫じゃないかと」

 どうなのかなーと思っていたら、肩の上から作業を眺めていたオスカーがそう教えてくれる。


「あら……。羨ましいわね。私も魔力は多い方だけど、無くならないという程は無いし」


「ねえ、魔力の必要な調合を手伝ってくれるなら、他の回復薬の作り方何かも教えて上げるけど、どうかしら?」

 必要な時は連絡するから、来てくれれば良いだけだし、そんなに拘束時間も無いのだと言う。

 何より王宮図書館の資料何かも、貸出可能な物は借りて来てくれるらしい。


「是非、お願いします」


 そんな訳で、お互いに都合の良い師弟関係はしばらく延長される事になった。


 それから、初めての中級回復薬も無事一割増しの効果が有りました。

 中級回復薬は銀貨五枚ぐらいのお値段です。平民の一月分の生活費ぐらい。

 骨折ぐらいまでなら治るので、荒稼ぎ出来るランクの冒険者には人気です。とは言えそれ程売れる物でも無いし、材料費も掛かるのでじゃぶじゃぶ作っても儲かるという話でも無いのです。

 上級回復薬は街の薬師程度では魔力が足りないので、魔力回復薬を飲みながら作るかしないと作れません。大体は貴族の薬師がお小遣い稼ぎに作った物が市場に流れたりです。


 読んで下さってありがとうございます。感想を初めて頂きました。とても嬉しいです~!ブックマークもありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ