表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/54

43話




『あーあー…そこのアクティビティ君ちょっと落ち着く余裕はあるかな?…色々と互いの主張を述べる前に聞きたのだけど、君と僕は同郷から来てると思うんだけど、間違ってないかな?』


内容はともかく話しかけてきた以上言葉は通じるようなので、アクティビティ同様に屋根の上にスピーカーを出して対話してみることにした。

現状敵対しているようだけど、郷愁の思いから意外と打ち解けてみたりとか…温い願望もないわけじゃない。


「東京ちゃうわボケ。お前ら東の者は外国来てまで人様に迷惑かけやがって…誘拐犯如きと同じ人種や思うだけで恥ずかしいわ!!」


『東京じゃなくて同郷な…ってか誘拐犯ってなんだよ?!?」


随分な聞き間違いをされたようだが結果的には俺の欲しかった回答にはなったので一先ず良しとする。それよりも、まさか誘拐犯扱いされてるとは…?

全く想像してなかったので思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。


「とぼけてんのちゃうぞ!このチンカスが!!」


アクティビティは事情の説明を求めようとする俺の言葉を遮って、大声で吠えると同時に急発進して俺に向かって突っ込んできた。

「キャッ!」 とレビィが悲鳴を上げるより早く、ギアを入れて俺はバックする。

ガシャンと後部から大きめの衝突音が聞こえて、思ったよりも車が下がらない。


『牽引車か!!』


迂闊にも牽引車の事をすっかり忘れてしまってた。

牽引車は勢いよく下がってきた俺に押され、ほとんど下がることなく横にずれて俺を巻き込んでいく。

迫るアクティビティに慌てたが、巻き込んだ牽引車に振られるように、俺自身想像もしなかったような動きで本体が回った。


”ガシャン” と、アクティビティが俺の鼻先を掠めて通り過ぎていく。

予想外の動きが、アクティビティの狙いを外せたみたいだ。

掠めてと言うには少し過小表現だろうか?ぶつかった反動で俺のボディは牽引車を軸に一回転してしまった。

キャビン右前方が破損して、ライトは跡形もなく、Aピラーにまでかかった衝撃でフロントガラスに数本の亀裂が入る。


「「え?!」」


その光景に、大きく揺さぶられる身体のことはそっちのけで、ナックとレヴィが眼を丸くした。

動揺したのは、俺も同じだ。

車体が一回転するほどの衝撃なんだから、この程度の損害なら寧ろ軽傷だと喜ぶものなのに…

何故俺は傷一つつかないと思い込んでた?

そりゃぁ反射的に避けようとはしたが、それはたとえば、ビーチボールが相手でも起こる条件反射で…

ビーチボール?

俺と同じ世界から来た、俺と同じ鉄の塊で出来たKトラ相手に、何故圧倒的な優位があると…?疑わなかったのか???


やばい…


根拠のない自信のほんの一部が崩れたに過ぎないのだけど、あまりのその根拠のなさに、崩れた自信は一瞬で恐怖に代わった。


回転が止まるやいなや四駆に変えて、アクセルを踏み込み一目散に加速する。

巻き込んでいた牽引車が強引に引き伸ばされて、右や左に蛇行する。

サリューとルーフェンの阿鼻叫喚がスピーカーを通さなくても聞こえるが、まぁ、頑丈な奴等だ死にはしないだろう…

暴れる牽引車に合わせてカウンターを当てつつ、4つの駆動輪で強引に立て直した頃、バックカメラ越しに、土煙を上げながらサイドターンしているアクティビティが見えた。

俺は、アクセルをベタ踏み、ギアは既に4速。センターデフも四駆から二駆に戻して、後は最高速に達するのを待つだけだった。


カーン カーン カーン と甲高い排気音が後方から聞こえてくる。

スーパーチャージャーを積んでいる俺よりも、明らかに早いシフトアップだ。若干焦りすぎか?パワーバンドに達していない、そんなモヤモヤする音が聞こえた。

しかし、それでもアクティビティはみるみる距離を詰めてくる。

どういう理屈化は分からないが、牽引車の存在を抜きに考えたとしても、明らかに俺のエンジンより出力が出ている。


『なんなんだあいつ。過給器も詰んでないのに、何であんな馬力出てるんだよ!!』


これ以上無いくらいにアクセルを踏み込みながら、思わず愚痴が溢れる。

俺がハンドルを握ってたら間違いなく、バイクみたいな前傾姿勢でハンドルに身を隠していただろう、そんな心境だ。

甲高く響くアクティビティの排気音が、4速から5速に入った。


『は?!』


っと、思わず一人叫んでしまうが、俺と同じ様な改造方法ならありえない話じゃいと直ぐに気がついた。

最近は自分のスペックになんの不満も感じなかったので改造項目もチェックしていなかった。視界の半分にステータス画面を出しながら、俺もなにか出来ないかと考えていると、アクティビティの排気音が、パァーンと更に一段音階を上げる。


『いくらなんでも6速はやり過ぎだろ?!!いや、違うな、この音は…バルブテクノロジーか!!』


細田技研工業が誇る可変バルブ機構、バルブテクノロジー。

けして細田が先発した技術というわけではないが、可変バルブ機構の技と効果を世に知らしめたのは間違いないだろう。


ブクマ有難うございます。

次回更新11/21です。以降毎週水曜日更新にさせて頂こうと思います。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って頂けますようお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ