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41話

翌朝、王女様たちの準備が整うのを待つ間、今後の事を想定しながら意見をすり合わせておく。


『さて…行きと同じルートで帰るなら王都まで20時間位でつける計算だけど、ぶっちゃけ待ち伏せされてると思うか?』


「そうだな…妨害者達は確実に王女様を監視していただろうし、そうするとクロード達とのやり取りは見られてるだろうから、俺達の特徴は敵に周知されてるだろうな。 寄せ集めの 闇ギルドの奴等はともかく、周辺諸侯の私兵共は帰り道で網を張ってるだろうな。」


「んー迂回するにしてもさ、ここの橋は渡らないととんでもない遠回りになっちゃうね?」


『あー…正直、待ち伏せされて落とし穴でも掘られるのが一番厄介だからなぁ。期日まではたっぷりあるんだし、裏をかけるなら遠回りでも何でも良いと思うんだけど、そのせいで追いついてないやつまで追いつくことを考えたらなあ…』


「そもそも迂回してもさ、王都周辺で待ち構えられてるんじゃないの?」


『だよなぁ…そうなるとやっぱり時間との勝負か』


「だね~。それに見られちゃった以上は国外に逃げる余裕も欲しいからね」


『逃げるってなんでだよ?失敗したらともかく成功したら逃げる必要ないだろ?』


「何言ってんだビーちゃん。成功したからといって王女様に俺たちを守る力ができるわけじゃないんだぜ?ルーフェンの兄貴に手が出しにくくなるぶん、矛先が俺たちに向かうのは当然と考えるべきだぞ」


『そんなん八つ当たりじゃねーか!てか、そんな針の筵に突っ込んでいくなんて、マジで根性あるなルーフェンの家族。』


「まったくな…当人たちは仕方ないとしても、止めるどころか手放しで喜んでる家族がすげえよ。……おっと来たな」


そういうナックの視線の先を追うと、ルーフェンとサリューに守られながら、こちらに向かうルーフェン兄と王女様達がいた。


「あれ?なんか走ってない??」


そんなレビィの言葉で目を凝らしてよく見ると、確か5人は走っていて、なんだかひどく慌ててるように見える。


「すまねぇレヴィ!すぐに出発してくれ!!」


ルーフェンは慌ただしくそう言うと、立ち止まることなくキャンピングキャリーに王女様たちを詰め込んで、自分もすぐに牽引車に乗り込んだ。


「!!? どうしたの?」


レビィは取り付く島もないルーフェンに戸惑いながらも、運転席に乗り込んで出発の準備を整える。


「とにかく動くね。」


牽引車の内部を映すナビのモニターに、ルーフェンとサリューがいることを確認して、レビィはゆっくりと俺を動かし始める。

 

「ルーフェン何があったんだ?」


助手席に座るナックがルーフェンに尋ねた。


「家を出た所で、遠目に20人程の兵士を見たんだ。向こうも俺達を見て走り出したから追っ手で間違いないと思う。」


「チッ。思ったより早く追い付かれたな…どの辺りを本拠地にしてる奴等か分かるか?」


ルーフェンの言葉にナックは舌打ちする。馬で追ったにしても王都からじゃ早すぎるので、噂を聞き付けた近くの者が手配したんだろう。

それ自体は想定していたことだが、連絡の伝達速度が想定より早すぎた。


「どの辺りもなにもこの街の領主の私兵だ。見知った顔があったから間違いねぇよ。」


『「「「はぁあああ?!」」」』


ルーフェンとその兄アルマンド以外の声が見事に揃う。お陰で小窓から覗き込んでいた王女様に、俺の声が聞かれた心配はしなくて良さそうだ。


「お前、領主って…それくらい根回ししておくとか出来なかったのかよ!!」


ナックは頭に手を当てながら、Kトラの天井を見上げて腰をずらす。

キョトンとしているアルマンドを、なんとも言えない顔で見る王女様。


(『本当にこいつと結婚して、大丈夫なのか?』)


俺は出力端子まで出かかった言葉を何とか飲み込んだ。


「今ならまだ考え直せますよ?」


レヴィは運転しながら、振り向くこと無くポツリと呟く。


「…物覚えは悪く有りませんので…何とかします…」


王女様は歯切れ悪そうに、呟き返す。

恋は盲目とはよく言ったもの…

「恋は盲目とはよく言ったものですね…」


ちょっ!レヴィさんが辛辣すぎる。




ルーフェンの実家のあるディスティナ領主の私兵をアッサリ振り切って、そのまま2~3時間毎に交代しながら走り、残り距離が半分を切る所まで順調に来た。

道中、追っ手らし者は数組発見したが、何れも速度を落とさず突っ込んでくる俺に怯んで道を開けてくれるので、足が止まる事はなかった。

一度だけ、道路に立ち塞がり魔法を連発してくる15人程の一団が居たが、彼らの魔法では俺のボディに傷ひとつ付ける事も出来ず、加速したナックによってあえなく撥ね飛ばされていた。

仕方がない事とは言っても、人を跳ねるのは良い気がしない。

レヴィが運転している時じゃなくてほんと良かった。


「ちょっ、ビーちゃん、突っ込むなら最初に言ってくれ。」


小声で涙ぐんでいたナックを見て、改めてレヴィの時じゃなくて良かったと思う。


ブクマ有難うございます。

まだまだ手探りで書き進めていますので、忌憚のないご意見ご感想、お寄せいただければ幸いです。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って頂けますようお願いします。



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