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37話


ビィィィィィィ(ナック!!)ィィィ!!!!


叫ぶと同時にホーンを鳴らし、乱暴にクラッチを繋いでエンスト覚悟で飛び出るように前に出る。


ほんの目の前で行われていたやり取りだ。飛び出した俺の鼻先はナックもろとも

カシルにブチ当たる。


「何?!!!」


驚愕するカシル。

当然避けるような隙きなどなくて、ナック共々弾き飛ばされて尻餅をついた。

次の瞬間。

 ”ズドンッ!!” と音もなくやってきたルーフェンの両手剣が、ナックとカシルに間に振り下ろされた。尻もちをついた体勢から、カシルは体を捻ってそれを躱すと、忍者みたいに3回ほどバク転しながら距離を取る。

そしてそれと同じ頃、いつの間にか放たれたサリューの矢が、風を切りながらクロードめがけて飛んでいた。その矢は、直前で飛び込んできたロースの盾に阻まれる。

しかしその間にナックも体制を立て直し、俺の右側側面を背にレヴィを守るような形でナッサルの三人が並んで立っていた。


「驚いた…どうやってその魔道具動かしたんですか? レヴィさん、やっぱり僕のパーティに入りません?ホントは皆殺しにしなきゃならないんですけど、レヴィさんが入ってくれるなら責任持ってなんとかします。その魔道具が手に入るなら、闇ギルドを敵に回すくらい大したことじゃありませんよ。」


「…ありがとう。ビーちゃん褒められるのは嬉しいけど、そんな明ら様にオマケ扱いで誘われてもねぇ…」


「い、いや…それは言葉の綾でして…レヴィさんみたいな綺麗な人がオマケのはず無いじゃないですか」


「あはは、そんな容姿だけ褒められてもねぇ、クロードのハーレム賑わす気はないよ?」


「い、いやぁ…それは…」

         「ゴホンッ!……クロード…?」


緊張感なく下心を見せ始めたクロードに、セリンといったかな?ロングソードを持つ娘がクロードを呼んで睨みつける。


「あぁ…ごめん……。 レヴィさん、返答は先輩たちが倒れた後でもう一度聞かせてもらいますよ……バーグ」


クロードが呟いた最後の言葉で、俺を中心とした一体が突如泥沼に姿を変えた。

底なし沼というわけでは無さそうだけど、俺のホイールの半分が一瞬で泥に沈んでしまう。


「クソッ時間稼ぎだったか、ビーちゃんごめん後で洗うからな。」


ナックはそう言うと俺のボディに足をかけ、そこを踏み台にしてジャンプする。

続くルーフェンとサリューも同じようにして乾いた場所までジャンプするのだが…筋骨隆々2メートル位ある男たちが軽やかに空を舞う姿は、なんだかとてもシュールな光景だった。


『っと、それどころじゃねぇ。レヴィ早く乗れ!』


三匹のおっさんに心奪われかけたところから我に返り、早々にレヴィを収納しようとドアを開ける。


「あ、ぅ、うん!…あっ」


レヴィも同じ様な感想だったのか?一瞬呆けた状態から我に返り、足を踏み出そうとした所で泥に取られてつんのめった。


”ガキンッ!カンッ!コロコロコロ…”


一本の矢がほんの今までレヴィの頭が有った場所を通って、開かれたドアの内窓に当たり車内に転がる。


『ッ!あぶねぇ!!いきなりレヴィ狙う話の流れじゃなかっただろ!!!』


叫びながら後部の様子を窺うと、ウムが舌打ちをしながら次の矢をつがえている所だった。

これが女の嫉妬ってやつなんだろうか…クロードめ、あの顔で嫉妬されるとか本気でうらやま…………

そんな嫉妬に嫉妬しながらレヴィを見ると、未だ泥に足を取られていてすぐに動けるような状態じゃなかった。

焦りながらも素早くパートタイムのセレクターを2WDに戻し、気合で油圧を制御してフロントのみに制動を偏らせる。


”ブオォォンン!”


エンジンを唸らせてアクセルを開ける。再び乱暴にクラッチを繋ぐと、今度は後輪のみが空回りして激しくドロ巻き上げた。


「キャッ」


そんな可愛らしい悲鳴をウムが上げてる隙きに、レヴィは這うように俺に乗り込んで扉を締めた。


『危なかったな…』


「うん、危なかったねぇ………あ~怖かったぁ…」


もしもあの時レヴィが躓かなければ………そんな事を考えてゾッとする。

レヴィも同じ様に考えたんだろう、両腕をギュッと抱きしめて、小さな肩を震えさせていた。

コンコンコンと窓をノックする音に目をやると、泥まみれになったウムが鬼のような形相で、窓を殴りつけていた…



ひとまずウムの攻撃力が俺の強度を上回ることは無さそうだ。その様子に、レヴィはホッっと小さく息を吐く。


「泥だらけになっちゃったね…」


ふと自分の足元を見たレヴィが言う。


『ホントだな、でもまぁこんなのは洗えばすぐに取れるよ。それにナックがさっき言ってたからな、中も外もピカピカに成るまで奴らに洗わせれば良いんだよ。』


「あはは、それもそうだね……いや、やっぱだめ。私のビーちゃんは私が洗う。」


レヴィは両手の拳を握りしめ、フンッと鼻息荒く気合を入れた。

その仕草を見た俺は、不思議と無いはずの心臓がキュッっと締まる感覚を感じる。

それと同時に点火タイミングがずれたんだろうか?一瞬アイドリングが乱れてストールしかけた。

こうなってくるとアレだよな、俺の心臓はエンジンなのか?デスビなのか?まさかキャブやプラグって事はないよな?

外で戦うナッサルの事をすっかり忘れて、そんな下らない事に一瞬思いを巡らせてしまう。


ブクマ有難うございます。

まだまだ手探りで書き進めていますので、忌憚のないご意見ご感想、お寄せいただければ幸いです。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って頂けますようお願いします。


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