26話
その後ナッサルと合流し一同は俺に乗ってイセコドを目指す、当然キャンプキャリーは収納してあり男三人は荷台に腰掛ける。
レヴィの話によるとこれでも既存の馬車より揺れないそうなので文句は言わせない。
ナックが何か言いたげだったが、言葉にする前に諦めたようだ。
余り弄ってばかりなのも何なので、出発早々にナックの依頼を受ける事を伝えておく。
喜ぶナック達だったが、中でもルーフェンの喜びようが物凄かった。
「ほんと実家からのプレッシャーが凄くてよ、、、、家族の縁を切ってもいいから依頼を受けろ、成功させろの一点張りでな、、、ホント参ってたんだ、、、、。」
そういうルーフェンは本当に嬉しかったんだろう、何時ものようなハシャグ素振も見せず只々感謝していた。
挙句、感極まったのかレヴィの手を握ろうとしたのでブレーキ踏んで吹き飛ばしてやった。
若干レヴィにまで呆れたような顔をされた気はするが、、、、、、気のせいだろう。
昼過ぎにはイセコドに到着した、レヴィもすっかり運転に慣れ平均50~60km/hで走り続けた。
踏み固められただけの街道のわりに路面状況は中々良好で、レヴィももっとアクセルを踏みたがったが荷台の三人が余りに悲壮な声を出すので断念したようだ。
街について早々、レヴィとナッサルはそろってイセコドの共同会館に顔を出す。
通常の依頼ならば届けた先の組合支店で報酬を受け取る事ができるが、今回は他支部に連絡を回す時間も無かったのでここで報酬を受け取って欲しいと言われていたそうだ。
皆が会館で報告をしている間ヒマなのでオプションでも眺めてみると、特殊の項目に幾つか追加されていた。
燃費向上(0.1L/h) 100000OP
強度向上(10P) 100000OP
視点移動 500000OP
精神感応 1000000OP
習得OP量増加 1000000OP
どいつもこいつもOPという経験値?でしか買えないくせに金額設定が馬鹿高い。
視点移動は恐らくカメラ位置を無視して視点を動かせるのだろう、便利といえば便利だがドラレコで近いことが出来るので今のところ優先順位は低そうだ。
精神感応はテレパシーの事だろう、これは是非とも早期に欲しいが高すぎて話にならない。
習得OP量増加もどれだけ増えるのか分からないが、精神感応よりも優先するべきだろうか、、、?
レベルアップの条件がオプションの購入だけだとしたら、買いつくした後はOPで強度などを上げていく必要があるのだろう。
今のところOPは移動と討伐で入手できる事が分かっているが、移動出もらえるのは1kmで1ポイントだ。
多くのポイントを集めるなら魔物等を倒す必要がある、、、、、Kトラに戦闘要素とか全く勘弁してほしい。
あえてスルーしてきたブルガード(角)や、ブルガード(刃)なんてのも着けなくては行けないんだろうか、、、、世紀末的な乗り物になっていく自分を想像して少し鬱になる。
「ビーちゃんお待たせー!」
そんな俺の鬱なんて軽く吹き飛ばすレヴィの声が聞こえる。
早々に運転席に乗り込みホクホク顔でリュックを開ける。
「一杯もらったよ~」
そう言いながらレヴィは報酬の内訳を話してくれた。
岩石かぼちゃの基本運送報酬が8万ポソ、そこに期限に間に合わせたことに対する報酬を組合長が個人的に支払った30万ポソ。彼の命の値段にしては少し少なく感じたが、駄目もとで手配していた他の重量馬車のキャンセル料や護衛達へのボーナスなどを全て個人で出す羽目になっていて、総額100万ポソ近い金額を捻出したらしい事を後でナックが教えてくれた。
更にはナックが土産にした首の一つが敵対派閥との関係を証明したらしく、各パーティーに50万ポソが支払われたそうだ。
そして最後にナッサルの運送料が合計9000ポソ、結構な金額なんだがはした金に見えてしまう、、、、。
『待機時間を含めても約1週間で88万ポソの収入か、流石にこれが続くとは考えちゃ駄目だよな?』
「あはは、そりゃそうだよ。基本報酬だけ見ても普通は護衛費も含めて2万ポソ位なんだから」
『マジか!そりゃ厳しいな』
そんな事を口では呟きながらも、俺の場合護衛費も移動費も相当抑えられる、無理せず普通の仕事を回すだけでも美味しそうだと胸を弾ませる。
 




