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24話

『ナック〜つまんないぞ?』


「んあ?どうしたビーちゃん?」


『俺のこの華麗な変身見てもっと反応無いのかよ!』

レヴィと共に戻って来たナックだったが、キャリーの内装を見るなり腕を組んで何やら思案しているだけだった。


「いや、驚いてるぜ。ただまぁ、これなら王女を乗せても心配無さそうだと思ってな、、、、ほら、ビーちゃんって能力は凄いが豪華な造りでは無いだろ?レヴィの横も狭いからな、、、、」


「え?ナック??私の前でビーちゃん(けな)すとか、勇気あるよね?」


「こえーよレヴィ、そんなつもりじゃねぇよ、、、、悪かったって睨むなよ、、、、」

鍛えられた大人の男が少女に凄まれてタジタジしている姿は滑稽だ。

ナックはそのまま逃げるように帰っていった。




「凄いなぁ、こんな立派な部屋は初めて見るよ。ほんとに私が使っていいの?」

ナックを追い返してレヴィはキャリー内を隅々まで観察している。


『当然だよ、俺は使えないしな。これからは存分に手足を伸ばして眠ってくれ』


「フフフ、それでも私は丸まって寝るんだけどね」

ソファーベットに座ってクッションを確かめるようにピョコピョコと跳ねながらレヴィが笑ってる。

癒される、、、、。


「そうだ!」

何かを思い出したレヴィが突如立ち上がる。


「折角綺麗な部屋なんだから、ちょっと奮発してお風呂行ってくるよ。ずっとは無理だけど初めくらい綺麗にしてから寝たいし」

この世界の風呂文化は魔法のお陰でそれなりの生活をしている市民までなら浸透している。

とは言えレヴィのような低所得者にはその限りではなくて、泊まれる宿にも風呂なんて付いていないので、普段は体を拭く程度しか出来ないそうだ。

公衆浴場にいたっては、なまじ半端に浸透しているために高級志向の物しか存在していない、その為銭湯に行くのはチョッとしたステータスなんだそうだ。


『風呂かぁ、次にまとまったお金が手に入ったら買おうと思ってるんだけどねぇ』


「え?!?!?!お風呂もあるの?!?!」

レヴィが見たことの無い速さでキャビンの後ろ窓からナビを覗き込む。


『お、おぅ。でも高いから今の所持金じゃ買えないんだよ』


「そ、それって私のお金を足しても無理?」


『いや、、、それは余裕で足りると思うよ、、、、、?』


「因みにいくらするの?」


『んーちょっとまってね、、、、、、、、、あった。18万ポソだね』


「たかぁぁぁぁ!、、、、、、、でも一回行ったら、、、、、、、」

ぶつぶつと何やら計算を始めたレヴィ。

大金を持っているのに銭湯代を渋る彼女がまさかの食いつきだ。

俺の場合、汚れていると格好付かないから入っていただけで、感覚的には洗車と変わらない。

汚れが取れるなら拭くだけでも十分な気がするが、女の子はやっぱりそうは行かないんだろう。


「買って、、、、、、」


『ん?』


「お風呂買って!私が出すから!!」


『駄目だよレヴィ、それはレヴィのお金なんだから。俺の装備は俺のお金で買わないと』

一度特例を許すと悪習に変わるんだよ、、、、俺みたいな奴には、、、、、


「私が使うんだからいいの!ビーちゃんお風呂入るの?!」


『え?いや、、、入らないです、、、、』


「じゃぁ買って!今すぐ買ってくれないならこの部屋のお金も私が出す!!!受け取ってくれないならこの部屋使わない!!!!」


『なんだその理屈?!!!』

普段大人びたレヴィが突如子供のような謎理屈を打ち出してきた。

いやまぁ、子供なんだけど。


とは言えレヴィしか使わない物の代金を本人が出すって言ってるのにそれを否定する言葉はない。

俺の装備は俺の金でというルールも自分を抑えるために付けたものだし、勝手な俺のこだわりだ。






「ふぁぁぁぁ、すご~い」

キャンピングキャリーと付け替えて現れたお風呂キャリーをみてレヴィが感動している。

凄いとは言ってるが、実際はビジネスホテルよりも小さなユニットバスに脱衣室が付いただけの簡単な物だ。

でもまぁ、レヴィが喜んでいるなら野暮なことは言わない。

給水の問題も心配したが200リットルの据付タンクに対して毎分1リットル位が自然補給されているようだ、蛇口を捻ればそのままお湯が出た。


ドラレコは、風呂に浸かったまま寝たりすると危ないので非常に迷ったが、、、、

元、人として超えてはいけない一線だと自制した。

今もレヴィが出す水音にただ耳を傾けている。


因みにキャンピングキャリーと付け替えた時に発覚した事が一つ。

キャンピングキャリー内に置いてあったレヴィの鞄も一緒に収納することが出来た。

応用すれば大物の収納も可能になるかもしれない。


5/2 15:55

一話飛ばしていたので差し替えました。

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