21話
「なぁ、何で中に乗せてくれないんだ?」
ナックが荷台から助手席の窓に顔を突っ込む
『はぁ?必要も無いのにレヴィの横に男乗せる意味がわかんねーよ』
「ビーちゃん、、、お前絶対おと、、、、、、
キィィッ
ゴンッ!
『ここでらいいかな。おい、ナック早く降りろよ?』
「おまえなぁ、、、、、」
ナックが何故か頭をさすって呆れ顔だ。
車を降りたナックはドア越しに外に立つ、勿論レヴィは車内だ。
「意地でも乗せてくれないんだな、前は乗せてくれたのに、、、、流石に悲しいぜ、、、、」
「ごめんねナック、でも話が進まないから諦めて」
流石のレヴィも少し気の毒に思ってるようだ、、、、
「そうだな、でも今後のためにもこれだけは聞かせてくれ、、、、、ビーちゃん俺のこと嫌いか?」
『嫌いじゃないよ、どっちかって言うと好きなくらいだし能力的には尊敬もしてるぜ。でもな、それとこれは別なんだよ』
そぅ、、、別問題なんだよ、、、。
「別問題か!ハハッ、しかしビーちゃんに尊敬とか言われると流石に照れるな、、、。よし、それじゃぁ本題だが、、、、、」
ナックの話とは、時期的にはまだ少し先の話だが、ルーフェンの伝手でこの国の王女を護衛する依頼が来ているらしく、その王女を俺に載せてくれと言うものだった。
『ちょっと待った。ルーフェンの伝手ってどういうことだ?』
「あぁ、あいつあれでも一応貴族の三男坊なんだよ」
「ふぁぁぁぁ、貴族のイメージ崩れそう、、、、」
「まぁ、俺も未だに納得出来ないが、事実なんだからしょうがねぇ。おれじゃぁ貴族の振舞なんて出来ないから助かってるんだけどな」
Bランクのナッサルには貴族からの依頼も舞い込んでくる。
過去に下手な発言で心象を悪くしたパーティーも多いらしく、貴族の相手はルーフェン担当なんだそうだ。
今も例の証拠を持ってサリューと共に、かぼちゃを買った貴族様の下に行っているらしい。
ルーフェンの家の格は特に高いわけではないが、貴族の子が所属する高ランクの護衛パーティとして今回の話が舞い込んだそうだ。
『ってか王女の護衛なら国の兵が居るだろ?もしかして捨て駒扱いか?』
自前の兵を育てるより傭兵を雇った方が経済的なのは前の人生でも聞いたことがある、
国の兵も連れては行くが、ナッサルを矢面に立たせて自分達の被害を抑えるつもりだろうか?
「いや、そんな話なら貴族相手にしてりゃぁ普通のことだから気が楽なんだがな、、、、」
違ったらしい。
何でも政治的な事情から王女の行動は秘密裏に進める必要があるらしく、大規模な護衛は付けられないそうだ。王女の私兵も存在するがナッサルに比べると数段落ちるようで、心もとないらしい。
「詳しい事情は秘密保持の観点から正式に依頼を受理してもらわないと伝える事ができないが、、、、、」
そう言って想定される危険の規模だけは説明してくれた。
「そんな邪魔くさそうな仕事断れないの?」
「断れないことは無いんだ、実際断ろうとしてたしな。けど、ナックの実家がな、、、、、」
下級貴族であるナックの実家が王族に覚えよくされるチャンスを逃すはずも無く、率先して推挙したらしい。
「断ったらルーフェンと絶縁するとまで言い出してな。あいつはあんなだから、元々頼る気は無いから構わないと言ってるが、俺としては折角持ってる特権を手放させるのは忍びなくてな、、、、何とか助けてくれないか?」
俺の見た目で秘密裏も糞も無いと思うが、人の搭載量と移動速度を考えれば些細な事らしい。最悪の事態になっても俺達ならば王女だけは守りきれるだろうとの事だ。
「まぁ、ビーちゃんは中級魔法が当たっても無傷だったからね、ビーちゃん以上の安全な移動手段は無いと思うよ」
「はぁ?なんだそれ?中級魔法ってどんなやつだ?」
「襲撃の時にナックが受け止めてくれたデッカイ火の玉の奴だよ、あれ中級魔法でしょ?」
「あぁ、あの魔法か。確かに中級だ。すごいなビーちゃん何回くらい無効に出来るんだ?」
『そんなの試した事無いから分かるはず無いだろ!』
「試さなくても対価が減るからそこから計算できるだろ。」
『対価ってなんだ?特に減ったもんは無いはずだぞ?』
「そんな筈あるかよ。そうだな、ビーちゃんが魔道具だとするなら何所かが壊れたり、魔力が減ったりだな」
おれの魔力といえば燃料だろ?あの時直ぐにステータスを見たが特に燃費が悪くなった印象も無い。
微妙に減ってたらなら気が付かないか。
「う~ん、どこも壊れてないし魔力も多くは減ってなかったと思うぞ?とは言え俺は魔力で動いてるから魔力量は常に変動してるんだ、だからそれに紛れてたら分からないけどな」
「気が付かない程度の魔力消費で中級魔法無効にするとかありえねーから!お前のためでもあるんだ、ちゃんと思い出せ」
確かに魔法無効に回数があるなら理解しておかないと危険だと思いもう一度思い返してみるが、、、、、、、
うん、やっぱり思い当たる節が無い。




