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16話

「ルーフェン敵の魔法を叩くぞ!」

ナックとルーフェンは放たれる魔法の向きから発射地点を予想し、魔法使いを倒すべく林に消えていく。

その道中でも全て処理しているのだろうか?こちらに飛んでいた魔法攻撃がぴたりと止まる。


魔法が止まっても敵の攻撃が無くなるわけではない、林の中からは次々敵が湧き出て来ている。


「盗賊ってのはこんな規模で襲ってくるのか!」

敵の胸を貫いた剣を抜きながらザウスがぼやく。


「魔物ばっかり相手にしてると、これが盗賊にみえるのかぁ」

冗談交じりの口調で返すサリューだが、その顔に口調ほどの余裕は無い。


「だよなぁ、どう見ても訓練された兵だよなぁ?」

胸を貫かれ脱力した敵兵を蹴り飛ばし、ザウスは残る敵兵を睨みつける。


既に20近い敵兵が倒れているが、動ける敵兵もそれ以上の数が残っている。

ワイルドミートも獣人ナッサスも、職業柄対人経験は殆ど無いと言っていたにもかかわらず良く戦ってはいるが、ナックとルーフェン程の勢いは無く、サリューの弓とミザリーの魔法のお陰で辛うじて持ち場を死守出来ているといった感じだ。


コン、コン、と敵の矢が俺のボディに当り出す、残る敵の一部が弓矢を取り出しサリューとミザリーを狙い始めた。

既にサリューは荷台から降り、放たれる矢から岩石かぼちゃを守るので精一杯だ。


「ビーちゃん、、、、あれなんだと思う、、、、、?」

レヴィが指差す方向を見る。


『えーと、、、、敵の別働隊に見えるね、、、、、、』

人の胸ほどある草原の草がカサカサ揺れ動いている、よくよく見れば数人の人陰がゆっくりと近づいてくる。

予定も心当たりも無いが、味方する気があるなら走るくらいするだろう。


『くそ!、、、、、ミザリー!俺の左斜め前に敵の伏兵だ。迎撃できないか?!』

俺を盾にしながら魔法を放っていたミザリーを見つけ声をかける。


「ごめんねレヴィちゃん、、、魔法は今ので打ち止めなの、、、、、」

そう言いってミザリーは口から昨日の夕食を吐き出し、膝から崩れた。


「ミザリー!」

素早くゴメスが駆け寄って行くのを確認して、他に対処出来る奴がいないか探してみる。


『、、、、、、、、みなさーんお忙しい、、、ですよねぇ、、、』

形勢はサリューとミザリーの援護を失い、徐々に押されだしている。

エランなんかは既に敵の攻撃を防ぐので精一杯だが、それを助ける余裕は誰にも無い。


『レヴィ、シートベルトしてるよな?』


「う、うんしてるよ」


『歯食いしばってしっかり捕まっといてな、、、』

ここで降ろして行こうか悩んだが、この状況ではおれの中の方が安全だろう、500kgのアラシシシに体当たりしても大破しなかった俺のキャビンを信じる。



絞っていたアイドリングを徐々に上げ、通常の所まで戻すと排気音が激しく響きだす。

数度アクセルを煽ると俺の脳中でアドレナリンが分泌されるのを感じる。

その度に、短いマフラーから破裂音のような音が放たれ周囲に響き、敵味方関係なく手を止め俺に視線を向ける。

ギアをニュートラルに入れて回転数をあげる。

雷のような轟音を響かせながら、6000rpmにたどり着いた瞬間ギアをドライブに入れると四つのタイヤが土煙を巻き上げながら一気に加速する。


『やっぱりミッションじゃないと加速が甘いよなぁ、、、』

そんな独り言を呟きつつ100M程走った所でサイドターン、皆の居る方に向きなおす。


『はぁ、、、、レヴィ、、、、目も閉じといた方が良いよ、、、きっと、、、、』


「え?」


『少なくとも俺は見たくない光景が、今から始まるから、、、、、』


アクセルをベタ踏み、加速して行く


『化けて出ないでくれよぉ!』

半ばやけくそ気味に叫びながら、皆が対峙している敵兵に突っ込んで行く。


ドン・バン・バン・ドン・ドン、、、、

音のわりには小石が当たったかのような振動しか伝わってこない。


6〜7人を跳ね飛ばし、後方を確認する。

敵兵はまだ居るが、味方と近すぎて流石に危ない。

残りのは皆に任せて別働隊に対処する為街道を外れ草原な突っ込む。


「キャー!」

レヴィが叫んだ瞬間、いつの間にか放たれていた火の玉がサイドミラーをかすめる。

別働隊にも魔法使いが居たのだろう。


「危なかったねぇ」


『だな!ちょっと激しく動き回るから、更にしっかり捕まっとけよ!』

狙いを定めさせない為に、蛇行させたり四輪ドリフトの要領で車を斜めに走らせたりしながら距離を詰めていく。


「ん〜、んん〜、んーーーーーー」

ハンドルを右へ左へと切るたびに、レヴィの体も大暴れだ。

後でバケットつけておこう、、、、


別働隊から放たれる魔法の火玉は俺を捉えることなく、明後日の方向について飛んでいく。


『フッ、当たらなければどうということはない』

俺の動きに全く着いてこれていない敵の攻撃に気を良くした俺は憧れのセリフを吐いてみる。


「ビーちゃんかっこいい!!」


『いやごめん、一回言ってみたかっただけなんだ』



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