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10話

「しょうがないなぁ…でも、ありがとう。それでこのお金何処に置いておく?」


必死の説得の末何とか折半する事で折り合った。金を受け取ってもらうのにこれ程労力を使うとは夢にも思わなかった…


『どこって言ってもなぁ…グローブボックスにでも突っ込んどいてよ』


「わかった、ここだね」


グローブボックスを開いて、金貨の詰まった袋を並べて閉じる。


「そうだ、私のも入れといて良い?」


『良いけど忘れるなよ?きっちり半分はレヴィの分だからな?使いたいなら俺のも使っていいからな?』


「わかってる!」


再びグローブボックスを開けるレヴィ


「あれ…?ビーちゃん金貨どっかやった…?」


『どっかやるも何も触れもしないよ?』


「うそ…無くなってる…」


入れてから10秒も経っていない、俺も横目で見ていたし、グローブボックス入ったら感触も確かにあった。


「ごめん、どうしよう…あんな大金…」


『まてまて、落ちつけ。ちょっと待てってね』


今にも泣き出しそうなレヴィを制止してステータスを開く。


車名:スカル  

型式:T1-AT

駆動方式:4WD

排気量:658cc

最高出力:48ps/6400rpm

最大トルク:5.9kgm/6000rpm

燃料(FULL):35.2L/(37)

燃料回復量:0.4L/h

燃料消費率:18km/ L

強度:120

オプション:パワステ・パワーウィンドウ・オートA/C・ナビ

OP:494

所持金:577800ps


そういうことか…


『ごめんレヴィ、俺の中に入ってるわ』


「……入ってる…?入ってないよ…?」


瞳が潤み今にも涙がこぼれ落ちそうだ。


『いや、そうじゃなくてね…』


金貨の詰まった袋を思い浮かべ出て来いと念じてみる。


『も一度開けてみて?』


「あれ?袋だ」


『やっぱりか。そんな感じでね見えない所に収納されてるみたいだ。必要な時は同じ様に取り出せるから安心して。』


「ふぁぁぁ、よかったぁ」


脱力してシートにもたれかかる。


『ごめんね驚かせて』


「ん〜ん、無事で良かったよ。それじゃぁ私のも入れるね」


そう言ってレヴィは袋を並べてグローブボックスを閉じる。



所持金:577800ps

グローブボックス



おや?所持金が増えて無い、その代わり新しい項目が。



グローブボックス:貨幣577800ps



こっ…これは…


『レヴィ何でもいいからお金以外グローブボックスに入れてみて!』


「ん〜お金意外っていうと…これかな…入れたよ〜」



グローブボックス:貨幣577800ps

         方位計



燃料と抵抗値以外は結構現実的だったから期待してなかったが、これが俗に言うアイテムボックス的なやつなんだろう。

グローブボックスの蓋を閉めないといけないようだから大きな物は入らないだろうが、収納不足の軽トラには嬉しい機能だ。


方位計を取り出しついでにレヴィに説明しておいた。





「お、まだ居たか。嬢ちゃんありがとよ」

肉を現物支給で受け取る為に解体待ちしていたナッサスの3人が肉を抱えて出て来た。

2キロは換金して1キロは自分達で食べるという。


「店でこれだけ食ったら1万近くするだろうからな、こんな事でもないと一生食えなかったわ」

3人揃ってホクホク顔だ。


『喜んでくれて良かったな、頑張ってくれてたし。俺が出すから晩飯でも奢ってやってくれないか?』


二頭目があると聞かされた時の彼らの顔を思い出して同情してしまう、おれの修理が幾ら掛かるか解らないが晩飯くらい奢らないとバチが当たりそうだ。


「それもそうだね、将来的に信用できる戦闘員を確保しておいて損はないだろうし…」


意外と打算的だなとツッコミかけるが、この厳しい世界なら当たり前なのかもしれないな。


「お~~い、ちょっとまって~~~」


窓から身体を乗り出してナッサルを引き止める。


「お?どうした嬢ちゃん?」


「報酬とは別のお礼として晩御飯奢らせてよ」


「うぉ!マジカ!!太っ腹だな嬢ちゃん!!!」


ナックの返事を待たずにルーフェン声を張り上げる。


「あと、そろそろ嬢ちゃんっての止めて、レヴィって名前があるの。それも条件」


「お礼なのに条件あるのかよ!」


素早くサリューがツッコンだ。


「ありがとよレヴィ、稼いだのは知ってるからな、遠慮なく行くぜ?」


「望むところよ」


ニヤリと不適に笑うナックに釣られて、ニヤリと笑うレヴィ。

そんな二人の世界を垣間見て俺は少し嫉妬した…。



俺を会館の馬車置き場に移動して、四人は併設された酒場に向かっていった。


(まぁ、俺が嫉妬した所で何が出来るわけでもないしな…)


一緒に呑めないこの体を悔しく思いつつも、無いものねだりだと諦める。


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