七月の話
例えば。今使っているボールペンのキャップ。
何故か無くなってあたふたと探す、なんて言う事は意外と良くある話。
だいたいはペン立ての奥で死角になっていたり、自分の手の影になっていたり。
但し、どうしても見つからない、と言う事も偶にはあってその場合。
無くてもいいや。と思って使い切った後、大掃除の時に机の裏で見つけたりするわけだ。
捜し物なんて大概そんなものだろう。
捜し物、で話を大きくすれば生きる理由なんて言うのもあるけれど。
小説やアニメ、ゲームなどではこれを探す為に主人公が旅に出たりする。
もっとも俺に関して言えば、学校も部活も塾もある。
気になったところで気軽に旅に出るわけには行かない。
それに旅に出る主人公達の抱えるバックボーン、モンスター退治や世界の終わり。
そう言ったものも俺には無いけれど。
どのみちその主人公達にしろ、その抽象的な捜し物は中々見つからないわけで。
いずれにしろ、その手の話は誰に聞いたって答えなんか返ってくるわけも無く。
だからきっと。無くても、知らなくても。基本的に困りはしないものなのだろう。
かと言ってそれがあったら素晴らしいのかどうかは、今のところよくわからない。
だからこれからする話は、多分何も見つからない話だ。