表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユグドラシルの樹医師  作者: 海原 瑛紀
第2章 護るべき世界
41/127

第15話 小人の悪戯#2

 それぞれの目的の場所へと向かう道中、カラトのポケットに収まっているフィン、顔だけを外に出し辺りを見渡すがやはりいつもの景色なのにどこか広大に感じる、そよ風すら強風に感じれそうな、スティンクも鞄の中にいる時はこんな風なのだろうかと。


「まさかこんな大事になるとはな」

「僕もここまでは予想できなかったよ」


 金槌が披露されていた通りには人はいなく、倉庫に引き上げられた後のようだった、最初に来た時は幕が降ろされ気付かなかったが、立派な倉庫がそこに鎮座していた、正面の入口は侵入者を拒むような鉄製の巨大な扉が備え付けられ、南京錠が幾重にも重なっている。


 見張りは三人、物陰から眺めて分かった事はこの三人は決して持ち場を離れない事、離れる際は必ず誰かと交代してから離れる事、つまり。


「正面からは無理か、裏手に回ろう」


 建物の脇にある日が当たらず、所々苔むした細道を抜ける、ここにも見張りはいるが薄暗いこの通路なら。


「僕なら潜れそうだね」


 見張りの足元、雨風に晒され朽ち小さな穴が開いてるのが見て取れた、しかし反対する様にカラトが。


「いやしかし、何かあったらどうする気だ、中で捕まったらこっからじゃ何も出来ないんだぞ?」

「大丈夫だよ、危ないのは慣れてる―それに早く終わらせて小人達や攫われた人達を安心させたいの」


 最初の内は反対意見だけを述べていたカラトも次第に根負けし、フィンに内部への侵入を認めた。


「絶対に無理だけはしないでくれ」

「分かってるよ、そろそろ戻ろうロブさんの方も上手くいってるといいけど」


◇◇◇


 暮れの街、日中と同じ面々が揃いそれぞれの考えた案を出し合う、明日の午後いよいよ奪還作戦の開始だ、何度も作戦の内容を確認し迎えた翌日、一行は通りの影に身を顰め。


「さぁ、作戦開始だ」


 カラト、フィン両名は裏手に回り込み正面からはロブが、スティンクはもしもの場合に備えて屋根の上で待機している。


「では私が箱の鍵の在処を聞き出すまでにフィンさんは何とか品が保管されている部屋を特定して下さい、小人ドヴェルグ達の情報によればかなり警備が強化されちるようですのでお気を付けて」

「はい、ロブさんも」


 顔を見合わせ大きく頷きそれぞれが担当する位置へと付く。


 何食わぬ顔で正面の門に近づいて行く、それを見ていた見張りの男達が手にした短刀を握り込むのを視界の隅で捉えていたロブは笑顔で。


「どうも昨日お話を伺いたいと申した商人のロブですが」

「ちょっと待ってくれ――確かに名簿に名前がある、すまんな物が物だけに警備を強化しろと上役から言われていてな、入ってくれ案内を付けよう」


 軽く頭を下げ開いた扉、すぐ傍には案内役の人物が手を奥の方へと向け付いて来いと言っている様に取れる、中に入ったのを離れた位置から確認したカラト達は次いで裏手に回る。


「今度は俺だな、フィン頼んだぜ」

「任せて、ドングリも一緒に頑張ろうね」


 ポケットからドングリが飛び出し足元に隠れるように素早く移動する、フィンもカラトの手に掴まり地面へと降ろされると先に見張りに近づくカラト。


「あのすいません、ちょっと道に迷っちゃったみたいなんですけど―役場にはどう行けば?」

「何だお前、道に迷ってこんな路地裏にまで来るのか?」

「いやぁすいません、何せ初めての樹街ですし、あはは」


 男達がカラトに気を取られている隙にフィンはドングリの背に掴まり。


「最後は僕達だ行こう、大丈夫きっと上手くいくよ」


 耳の後ろを落ち着かせるように優しく撫でるとドングリは一直線に脇穴を目指し駆ける、ふと上を見上げると屋根の上にいるスティンクが手をこちらに振っているのが見えた、笑顔で返し、いよいよ倉庫内部へと侵入する。


◇◇◇


 倉庫の中は昼間だというのに薄暗かった、壁一面には松明が掲げられ、煙を溜め込まない様に小さな排気口が備わっている、周りには大小様々な大きさの木箱が重ね置かれ、その隙間を縫うようにここでも見張りの男達が巡回している、だがこの薄闇の中はフィン達にとっても都合が良い、ましてや小さい状態なら尚更だ。


「広いし物が有って視界が狭いなぁ、少し高い所に行こう」


 体のいい配管を見つけるとそこを登る様に促す、天井に到達するとそこは下とはまた違った眺めだった、張り巡らされた鉄骨の屋根を支える梁、蜘蛛の巣が張り巡らされ纏わり付くと剥がすのに一苦労、だがここからなら全景が網羅出来る、目を細め隈なく視線を向けていると一か所に目が留まる、そこだけ明らかに様子が違った、倉庫内にある小さな倉庫とでも言うべきか――梁を伝いながら近付く、フィン達の足元には人間の他に犬が二頭、どれも大型犬で捕まればひとたまりも無いだろう、思わず唾を飲む。


「大丈夫、まだ気付いてないみたい――どこか中を見れるような箇所は」


 またしても辺り一面を散策する、すると急に外の灯りが倉庫内に入り一瞬視界を奪われた、慌てて太い柱の影に身を顰め覗き込むとそこにはロブの姿があった、その少し前方を歩く如何にもここの元締めと思しき人物、宝石や金で出来た指輪をこれでもかと指にはめ権力を振るい翳す様なその態度、フィン達が目星を付けていた小さな部屋の扉が開くとそこにあった例の金槌、ガラス張りの箱に納められ唯一の取り出し口には南京錠と太い鎖が巻き付けられている。


「どうですロブさん、これが魔法の鎚ですよ」

「これがそうですか、もっと近くで見ても?」

「えぇどうぞどうぞ、あなた方商人と我々仕入れ屋は切っても切れない関係ですからね」

「美しいですね、この装飾も実に見事だここの警備もかなり厳重なようですし簡単には盗まれないようですね」


 品を褒めつつ近くにいるであろうフィンに警備は厳重だと伝える。


「この糸は一体?」

「あぁ、これは侵入者対策ですよ、触れれば即座に音が倉庫一体に鳴り響きます、ですから鍵を開けて手に取る以外これを持ち出す事は不可能です、まぁその前にウチの若い連中に掴まるのが落ちですがな」


 笑い声高らかに自慢げに話す男、天井裏で聞いていたフィン、会話は弾み今の政治状況や各樹街の品物の相場など様々な情報交換を始める、やはりここは商人のロブ言葉巧みに操っている様にも見える、そしていよいよ本題に移と神経を耳に集中させ聞き入る。


「しかしこんなにも厳重だと鍵何て必要ないように見えますけどね」

「念の為というやつですよ、いつ賊が現れるか分かりませんからね」


 先程から聞こえている賊という言葉、フィンはその言葉は小人ドヴェルグを指しているものだと分かった。


小人ドヴェルグを騙して人攫いをさせてるくせに、何が賊よ」


 込み上げて来る怒りを抑えつつ様子を見ていると。


「それに鍵は誰も手が届かない所にありますからね」

「ほぅ、差し支えなければ教えて戴いても?」

「えぇ構いませんよ、何せ鍵はここですから」


 そう言い徐に上着の内ポケットから鍵を取り出して見せた、瞬間ロブとフィンは思考が停止する、どこか別の場所に隠してあるなら未だしも、まさか肌身離さず持っているとは。


「ど、どうしようあれじゃ手に入れられないよ」


 豪快に笑い飛ばしながらロブと共に応接室へと向かう男、しかし梁の上では成す術無く困惑の色を顔に浮かべる、必死に方法を探るが今は一人だ誰も周りにはいない、するとドングリがフィンの背を頭で押し応接室へと向かわせようとしている、その姿を見て立ち上がり。


「ドングリ――そうだね、今は皆一人でその場を凌いでるんだもんね―僕だけ諦める訳にはいかない」


 背に跨り駆け出す、きっと好機は訪れる、今はあの男から離れない様にして機会を待つしかないのだ。


 見失わない様に梁を伝い後を付ける、所々にある蜘蛛の巣を勢い良く破りいつの間にか体中に糸が絡まったコート、粘着性の強いそれを払いながら辿り着いたのは応接室だ、ここでも同じように体のいい柱を登り通気口から内部へと侵入する、通気口の内部は外よりも酷い匂いだった、埃と黴の合わさった思わず咽返むせかえしそうな強烈な匂い。


「酷い匂い、小さいって便利だけどこういう所は不便だね」


 ドングリにそう語り光が差し込んでいる方へと進む、金網の下は打って変わり小綺麗にされた室内、そのソファーに腰を降ろし談話しているロブと男、すると早速好機が訪れていた、男が上着を脱ぎ後方にあるハンガーに服を掛けていたのだ。


「今しかない」そう直感で感じたフィンはどうやってそこまで行くかの道順を探る様に室内を見渡す、今いる所の金網は四隅を螺子で留められ開けられそうにない、他に通風孔らしきものが二つ、だがどちらも蓋が閉じられている、会話をしているロブは金網の上で何やら考えている様な素振りのフィンを見つけた、恐らく入れる場所を探っているのだろうと考え。


「そういえば暑いですね、そちらの通風孔は換気用で?」

「え? えぇそうですよ、少し開けましょうか」

「すいません、お願いします少し興奮しちゃったみたいで、何せ初めて見ましたからね」

「その気持ちとても分かりますよ、今開けますので」


 男は立ち上がり通風孔のつまみを下げる、小さな金属音が反響しフィンの所まで一瞬で届く、すぐさま移動を始め上着に一番近い出口に到達すると下を見るように覗き込む、距離は今の身長でなら十メートル前後といった所か、更に床まではその倍以上はある落ちればひとたまりも無い。


 大きく息を吸い込み「よし行こう」体に巻き付けて来たタコ糸を解き片方を通風孔の羽に固く縛り上げる、心配そうに見詰めるドングリに手を振り身を乗り出す。


 ゆっくりと糸を伝いながら慎重に上着の内ポケットを目指し降りていく、その様子を見付けたロブは視線をこちらに釘付けにする為話をし続ける、時折手の力を緩めすぎ勢い良く下がったりとロブは内心落ち着かない状況だろう、思わず冷や汗が滴る。


「どうかしましたか? 顔色が優れないようですが」

「あ、いや――緊張しすぎて体調が、ははは」


 目的の上着にようやく到達したフィンはいそいそと内ポケットへと侵入する、ポケットの中は予想以上に広くカラトのポケットとはまるで違った。


「良い素材使ってるのねこの上着――全く、こんな事しなくても儲けられるんだから悪い事なんてしなきゃいいのに」


 小言をぶつぶつ言いながら鍵を手に取る、少々重いが持てない程ではない、余った糸で体に鍵を巻き付けると難なく通風孔に戻って行った、安堵の溜息を吐いたロブは。


「では私はそろそろ、やはり体調が思わしくないのでまた後日お伺いします」

「そうですか、いつでも来てください、商人さんなら大歓迎ですよ」


 笑顔で退出していくロブ、すると男は立ち上がり。


「ふむ、何か匂うな」


 魔法の鎚が保管されている場所まで戻って来たフィン達は鍵を開け中にある金槌を入手する、だがこのままの大きさでは持ち運べない、徐に取り出し手に持ったそれは。


「この木槌で叩くといいんだよね」


 小人ドヴェルグから借りたもう一本の鎚だ、握り込み金槌の柄の部分を軽く叩くとみるみる縮んでいき木槌とほぼ同じ大きさにまで縮んだのだ思わず「本当に小さくなっちゃった」しかし悠長に構えてもいられない、腰のベルトに二本挟み込み脱出しようとした時だった、鍵が開く音が聞こえたと同時に勢いよく扉が開き二頭の犬がフィンに牙を向け襲い掛かって来る、突然の事に驚き糸から手を離してしまい箱の中のクッションに倒れ込む。


「やはり何かあると思ったが、さっきの商人も連れなんだろうお嬢さん?」


 ガラス張りのケースの扉が閉められ閉じ込められるフィン、何度も手を打ち付けるがビクともしない、男はその様子を楽しむ様に顔を近付け薄ら笑いを浮かべながら観察している様に見えた。


「こ、こんな事して許される訳ないんだからね! 今に逮捕されるんだから!」

「はっはっは! 威勢のいいお嬢さんだ、もっともそんな状態でどうしようと言うのかね?」


 周りの部下たちも大声で笑う、悔しそうな表情を浮かべ手も足も出ない状況にどうする事も出来ない。


「お嬢さんのような元気がいい娘はそうだな、犬の餌にでもなってもらおうか、ここの秘密も知っている様だしな、悪く思うな」

「ま、待って嫌! 離して!」


 手を箱の中に入れフィンを掴むと犬の頭上へと向ける、視線を下に向けると目を血走らせ興奮している様に息が荒く、涎も止めどなく流れている、必死に手の中で抵抗するが成す術なく徐々に距離は縮まる。


「誰か、助けて! お願いやめて! 今ならまだ」

「さようならお嬢さん」


 体の拘束が解け宙を舞う体、同時に飛び掛かって来る二頭の犬、口を開きびっしりと生えた牙が視界に映し出された、世界がとても遅く感じる―これが走馬灯というやつかと、目を閉じこんなにもあっけない人生だったのかと、だが。


「僕にはまだ仲間がいる」


 つむじ風の如く男達の間を縫うように駆け抜ける白い体。


「フィン! 大丈夫!」


 両手でしっかりと体を支え倉庫の奥へと逃げると「逃がすな!」掛け声が倉庫内に響き部下の男達が一斉にこちらに向かって来る、投げられてくる物を華麗に躱していくがいつの間にか隅に追い込まれていた、近くに通風孔も窓も無い、袋のネズミになってしまった所を勝利を確信したようにこちらに近付いてくる。


いささか驚いたがこれまでだな、それともまだ隠し玉でもあるかね?」


 男を睨むスティンク、最早退路も断たれた――しかしフィンはこの状況下で笑みを溢す、あまりの劣勢に気が触れたかとざわつくが。


「ここまで本当にありがとう、僕達の仕事はここで終わりです」

「何を言ってるんだ? 本当におかしくなったのか?」


 後ろに手を伸ばし取り出したのはあの金槌、男はハッとし取り押さえようとするが小さなフィンを捕まえる時間と金槌を振る時間―両者を考えれば圧倒的に後者が有利である、金槌を自分の手に振り下ろし小さくなった体に別れを告げるように本来の身長に戻って行く、険しい表情で睨み付けるフィンに対し男はたじろいだ、そして満面の笑みを浮かべ胸いっぱいに息を吸い込むと。


「きゃあああああ! 誰か助けてえ!」


 瞬間倉庫の至る所にある出入り口から警官隊の集団が流れ込む。


「全員その場を動くな!」囲まれ逃げ道が無くなっていたのは彼等の方だった、わざと隅に逃げたのだ、その警官隊の奥から上役と思しき人物が男の前に立つと。


「貴様を窃盗、誘拐の容疑で逮捕する――連行しろ!」


 倉庫内にいた男達はあっという間に全員逮捕された、騒然とする場を後に外に付き添われ出るとカラトとロブが手を振っている、笑顔で二人の元へ駆け寄ると。


「カラトありがとう、でも良く説得できたね―証拠も無かったのに」

「あぁ、彼のお陰さ――全部説明してくれたよ、俺達だけじゃ信じてもらえなかったかもな」


 視線の向けた先、そこには小人ドヴェルグがいた、彼が事の真相を洗いざらい話したのだという。


 翌日攫われていた女性達は全員無事解放され家族の元へと戻れた、更に今回の一件で公になった魔法の鎚だが警察の計らいで、偽物を使い詐欺を行おうとしていたと住民や商人達に説明をする流れとなった、男が経営していた仕入れ屋も評判が地の底に落ち破産したという。


 駅で列車を待つ一行、その表情かおはどこか清々しい。


「ロブさんはこれからどこへ?」

「そうですね、一度故郷に戻ろうかと思います」

「リオお姉さんに会いたくなった?」

「はは、そうですね見つけるまで帰らない、何て恰好付けないでこれからは定期的に戻ろうと思います」


 するとポケットからドングリが顔を出しロブの肩に乗る、故郷に帰るのだ一緒に戻った方が彼の為なのかもしれない、少し寂しそうな顔で頭を優しく撫で。


「うんロブさんと一緒に行った方がいいよね、またいつか会おうドングリ」

「じゃあねドングリ、おいら楽しかったよ」


 前脚をちょこんとフィンの人差し指に乗せ鼻をひくつかせながら見上げるその姿、言葉は発せなくても分かる、彼も寂しい気持ちなのだろう。


「そろそろ行かないと、ではフィンさんカラトさんスティンク君、またどこかで」

「はい、ロブさんもお元気で」


 列車に乗り込むと鉄の扉が閉まる、客室に向かい窓を開け手をこちらに向かって振るロブ、返事を返す様に手を振り返し列車はどんどん小さくなって行った。


「行っちゃったねドングリ」

「うん、大きめの鞄買ったけど無駄になっちゃったかな」


 二人共笑顔ではあるが内心とても寂しいだろう、短い間ではあるが旅を共にした仲間との別れなのだ、寂しくない訳がない。


「元気だせよ、また会えるさ――この空の下ならどこにいても繋がってるんだから」


 鞄に手を伸ばしドングリがいつも入っていた脇のポケットを触ると何やら違和感を覚える、柔らかい何かが入っている様な――急ぎ中を見ると何食わぬ顔でそこにドングリがいた「チチチ」と鳴き三人の顔を見渡す。


「ドングリ! なんで? ロブさんと一緒じゃ」

「まだ一緒に旅したいって言ってるよ! 仲間達にいっぱい旅の話聞かせたいんだって」


 思わず笑い声を上げる一行、その背を押す様に優しく風が撫でる。


◇◇◇


 数週間後ロブはあの緩やかな坂を歩いていた、一人空を見上げながら。


「ドングリ君も生粋の旅人ですね、ははは」


 街の中心部近くにある麦畑、ロブは少々緊張した面持ちであの木の根元を目指す、不意に耳に入るあの唄、ゆっくり近づき木の影から眺めるとあの長い青色の髪、どこか儚ささえ感じるその姿にロブは戻って来たんだと実感する。


「ダメじゃないか、安静にしてないと」


 驚き唄う事を止め振りむくリオ、視界にロブの姿を捉えると。


「ロブ――なの?」

「その、何て言えばいいのかな――ただい」


 体が揺れる、胸から伝わって来るリオの体温、零れ落ち手に落ちた涙、だがそれはどんなものよりも温かかった。


「ただいまでいいんだよ、おかえり――ロブ」

「ただいま――リオ」


 フィン達が出会ったあの木の下でロブ達が再開を果たす、フィンに乗せた唄は最愛の人を連れて戻って来たのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ