ダイダラク
透明な夏の羽虫の
そのあまりのすきとをる光を見て
突然僕の不透明な心が
きしんだ音をたてて苦しみ出した
ヨワムシな僕のこころなんて
そりゃ大したことのないもので
そんじょそこらの人に比べりゃ
つまらんものだけれども でも
それでもたった一つの大事なものなんだ
をくびょうものの伸ばす手を
どうして人は知るだろう
全く持ってなにもかもがダメな気がしたときにこそ
まさに訪れるその勇気を
小さな小さなその心意気を
どうして人は笑えるだろう
全力で 馬鹿馬鹿しくて
滑稽で 卑しくて でも
それでもいいと思えるほど大切なものなんだ
だから濁ってしまった この心が
忘れてしまった その勇気が
まだどこかにあると信じられるうちは
なんでもいいから
どうでもいいから
「いつかは飛べる」という希望だけを捨てずにいたいと思う
土砂降りの夏の雷雨の
そのあまりのシビれる光を見て
突然僕の甘えた体が
にぶい痛みを伴って苦しみ出した
脆弱な僕の体なんて
そりゃもろくてどうしようもないもので
そんじょそこらの人に比べりゃ
大したものでもないけれども でも
それでもたった一つの偉大なものなんだ
をくびょうものの発する声を
どうして人は知るだろう
全く持って何もかもがダメになった気がした時にこそ
まさしく訪れるその勇気を
大きな大きなその羞恥を
どうして人は笑えるだろう
不格好で 僭越で
ひとりよがりで 乏しくて でも
どれでもいいと思えるほど立派なものなんだ
だから衰えてしまったこの体が
失ってしまったその勇気が
まだ取り戻せるんだと信じられるうちは
なんだっていいから
どうだっていいから
「いつかは立ち上がれる」という夢を捨てずにいたいと思う