ドキッ☆突撃!恐怖の廃旅館!〜女連れリア充勇者は所詮モブで影が薄かった件。そして俺とアイツとみんなできゃっきゃウフフの朝まで6Pチーズ(嘘)〜
いらっしゃいませ。
本日のご来店誠にありがとうございます。
このお話は過去の出来事や、その他の情報を基に創作された物語であり、実際の場所、人物、その他もろとも〝ほぼ〟フィクションで構成されております。
なので舞台はホラーですがジャンルはコメディでお送り致します。
これは俺が十七になる年の春、中学の同級生達と成り行きで行った先での出来事だ。
その日の夜、家で一人寂しくドラクエのレベル上げをしていると、やたらと煩い単車の音が外から聞こえてきた。
まあ、うちの近所にはそういったいわゆるヤンチャな連中が多いので、その辺の〝ばっどぼーいず〟がボンボン走りまくってるんだろうな。と思い、特に気にもせずひたすら〝はぐれた奴等〟に聖水(卑猥な水ではない)をジャバジャバ掛けまくっていると、どんどんその爆音は大きくなって家の前で停まった。
当然エンジンはかかったままである。
そしてそのままアクセルを吹かす。
吹かす。
吹かす。
吹かす。
吹かす。
吹かす。
やめんかい!!
あまりのしつこさにコントローラーを床に投げつけ玄関を飛び出すと、そこには中学からの仲であり、その当時相棒であった悪友の井澤(仮名)が、あの自爆呪文を唱える憎たらしい岩の様な笑みを此方に向けながら、俺の家の前でサッポロポテトをバリバリと食い散らかしていやがった。
いや、お前単車乗りながらサッポロポテトて……
その光景に気を呑まれている俺を肴に、ポケットから取り出したペットボトルのコーラでサッポロポテトを流し込むと、井澤は口を開く。
「じゃあ行こうか!」
……何処に!?
こいつの思考に着いていけず、ただ玄関で突っ立ったままの俺に痺れを切らした悪友は、食べきったサッポロポテトの袋を丸めると、隣の家の自転車の籠に投げ入れ一言。
「まあ、乗れや!」
「何処に捨てとんねん!」
籠に投げ入れられた袋を家のゴミ箱に捨てると、俺は悪友の単車のケツに跨がり「早く出発しろ」と後頭部を叩く。
「おうおう、一々細かいことでキレんなよ!」
「いいから早く出ろ! 苦情くるわ!」
ギアをローに下ろすと、その近所迷惑極まりない下品な音を出す悪友の愛車はゆっくりと動き出す。コイツの下品な笑い声と共に。
特に行く宛てもなく、暫く近所を暴……ツーリングしていた俺達だったが、中学の同級生の家に行こうと井澤が案を出す。やる事も無いしそれでも良いか……とその案に同意すると、彼は華麗なハンドル裁きで中学時代の友人であるカズヤ(仮名)宅に向け爆走……疾走した。
カズヤというのは今話した通り、俺達の中学時代のクラスメイトであり尚且つ俺達が通っていた空手で全国大会少年の部優勝者という肩書きを持つ友人だ。まあ、彼が優勝したのは型の部門だがそれでも優勝は凄いと思う。因みに彼の六歳離れた兄は、中学の頃から組手で優勝しまくっている実力者であり、師範が不在の時はよく代わりに俺達を指導と言う名のサンドバッグにする悪魔でもある。てか組手の練習で背負い投げとかもう、ストリートファイターかよって感じだし……そしてカズヤの兄の挨拶は何時でも何処でも腹に正拳突きである。マジ会いたくない。
程無くして友人カズヤ宅に到着すると、家の外には当の本人であるカズヤと、彼が現在通っている学校のクラスメイトらしきモブ……友人と四人で屯していた。
俺達はカズヤの中学時代の同級生だと軽く自己紹介をすると、彼等も次々自己紹介してくる。 まず一人目、俺と井澤と差ほど変わり無い身長の(二人とも一七六センチ)どちらかと言うと女性寄りな甘いマスクのサラサラヘアーが俺達に近寄って来る。
「初めまして、富夫(とみお)(仮名)です」
と、この雨上がりのどんよりした夜だというのに、太陽の様な眩しい笑顔を向け此方に握手を求める。コイツが笑えばきっと、大魔王を倒さなくともあの闇の世界にも朝が訪れるだろう。
そのくらい一つ一つの動作がまあ、俗に言うイケメンてヤツなので様になっている感じもするが、何か〝演技っぽい〟と言うか芝居臭い。だが負ける気がしねえ!
てか富夫て……何か……
よし、コイツの呼び名は夢芝居だ。
俺も夢芝居に負けじとイケメンフェイスを作り上げ、手を差し伸べようとすると、横から井澤がしゃしゃり出て一言。
「おう、よろぴくウメザワっち!」
デデーン! 井澤アウトー!
まさかの直球に爽やかフェイスが崩れ去り、盛大に引き吊った表情のまま握手を交わす夢芝居。お前はモブだわ! ざまあ!
夢芝居がフリーズしてる中、次に自己紹介してきたのは中々にふくよかな体型をした、短髪の穏やかそうな少年。呼び名は魔人ブウかと思いきや、どうやら皆からはそのおっとりした容姿故に仏様や神様と言われてるらしい。どっちかと言うとデンデよりポポ寄りだが。
「初めまして〜細川(ホソカワ)(仮名)です〜」
期待を裏切らねえなコイツら。
しかしこの流れで何故名前ではなく名字を名乗ったのか分からないが、恐らく彼も井澤に捕食されてしまうだろう。
「おう、よろしゅうな!」
自己紹介を聞いた井澤は笑顔で挨拶を交わす。
……って、あれ? 食い付かない? 意外に興味が無かったのか井澤は彼について何も突っ込まなかった。
そして最後に自己紹介をしてきたのが、茶髪をツンツンに立たせたちょっとヤンチャそうな少年だった。
「こんばんは〜俺は光雄(みつお)(仮名)ね、よろしく」
「パーマンか!!」
突然大声を張り上げる井澤にビックリしてしまった。
まさかこっちに食い付くと思わなかった俺達は若干引きぎみだったが、井澤にパーマンと命名されたミツオ君は大笑いしながら井澤に「じゃあ一号って呼んで〜!」と、全く怒る気配はなかった。それに気を良くした井澤はまた調子に乗る。
「おう! 一号よろしく! じゃあ俺は三号て呼んでくれ!」
ここでいきなり紅一点宣言する井澤に全員「なんでやねん!」と激しく突っ込む。四号は何と無くホソカワ君で判るがまさか三号は予想外だった。すると井澤はニコニコと機嫌良く俺に手を出す。
「おう、煙草くれブービー」
「シバくぞお前!!」
俺とパッパラパー子井澤との毎回恒例のシバき合いも一段落着き、俺はカズヤ達にどうして外に居るんだ? と尋ねると、何やらこれから何処かに向かうつもりだったらしく、人数が多い方が楽しいということで俺達も一緒に〝ぶらっと〟行かないか? と、誘われた。
――山の頂上にある潰れた旅館に……
いや、ぶらっとてお前ら……この時季に何故そんな山頂の潰れた旅館なんかにコイツらは行こうとしているのだろうか? こんなまだ少し肌寒い春先に。
夏場ならまだ分かる気もする。しかし肝試し等のシーズンとは程遠い雨上がりの週末に、春の夜風に吹かれ、帰りに一人寄り道ぃ〜的なノリで訪れる場所では決してないと思う。危なっかしいことこの上無い。その旅館もコイツらも。
「とりあえず井澤達も一緒に来るよな?」
カズヤは愛車に跨がりエンジンを始動させると、そのクラスメイト達も次々にエンジンをかけ始める……っておいデブ川! あ、ホソカワお前原付じゃねえか! 今から隣の県の山の頂上まで行くのに原付て……一人だけ原付て……。
とにかく、ろくなことが起こらなそうな気配がビンビンに伝わってきたので、俺は正直行きたくはなかったのだが、井澤は何かノリノリであった。
ああ、こいつバカだったの忘れていた。
途中、コンビニでパンや飲み物を購入した俺達はそのまま山頂に向け単車を走らせるが、やはり一名原付なのでどうしても遅れがちになる為、山頂の手前にある少し開けた場所で小休止を取ることにした。
「みんな〜ごめんな〜」
原付のモブ……ホソカワが謝罪をしてきたのだが、それは仕方のないことなので別に気にしなくていいよ、と返してやると本当に申し訳なさそうにペコペコと謝ってくる。するとそこにタバコを喰わえた我が相棒井澤が口を挟む。
「おう、まあ原付はしゃあないわ! 置いてかれたくなかったらこれからずっと信号ブッチして着いてきたらいいだけの話さあ〜! 気合い入れてけよ?」
そんなことさせんなや。
「おお〜確かにそうすれば俺もみんなに追い付けるかも〜」
無理。お前も止めとけ。
そんなこんなで他愛もない会話をし、コンビニで購入したパン等食べながら皆で数枚記念撮影。なぜこんな真っ暗なカーブでガードレールに凭れながら記念撮影? じみたことをしながら今回突撃するその潰れた旅館の話が始まった。
始まった、と言うより今回この潰れた旅館に行くメンバーのうちの一人、イケメン夢芝居が以前に他の友人達と突撃したらしいのだが、その時に起きた出来事を話し始めた。
――
―
その潰れた旅館に男二人、女三人の五人で訪れたのだが、旅館の側に設置されている自販機の前に、これまた同じく突撃しようと目論む二組のカップルと意気投合し、一緒に旅館へ行くことになったそうだ。
女三人――決して羨ましくはない。
その旅館は自販機から少し急斜面になった上りにそびえる四階建てのコンクリート建造物であるが、玄関や窓ガラスは勿論のこと、外観も亀裂が至るところに入っており、中は当然のことながら人など宿泊出来るような状態ではない。そりゃそうだろ。
と、心の中で思っていると話は徐々に旅館の真相へと迫っていく。
「――それで、俺達はそのまま旅館に入ったんだけどまず、入り口のドアが診療所とかにあるようなガラス張りのドアで、それを開けて入っていったら玄関に割れたガラスケースの中に日本人形があって、それ見た女の子がめっちゃビビって抱き付いてきてさ……」
……どうせ女ときゃあきゃあヤってただけの話なんて一つも面白くないと思いながら軽く聞き流していたが、どうやら事件は会議室ではなく四階の一番奧の部屋で起きたらしい。
暗い旅館の中を、イチャイチャしながら最上階の一番奥にある部屋まで到達したのだが、結局何も無く拍子抜けした彼等は、もう戻ろうかということになり引き返そうとした時、女の子の一人が何気無く部屋の中を見た瞬間、悲鳴を上げ抱き付いてきた。またかよ。
突然のその声に何事かと皆が一斉にその部屋の中に目をやると、そこには――
――居る筈の無い男性が一人、部屋の奥からゆっくりと此方に向かってきたらしい。
その瞬間皆はパニックに陥り、一目散に出口へと駆け出した!
必死に一階まで降りきり、もうすぐで玄関に辿り着く直前、いきなり調理場らしき部屋から配膳の御盆を持った中居さんが飛び出してきたのだ!
もう皆は気がおかしくなりそうな勢いで出口に到達すると、なんと今度は〝ここは通さない〟と言わんばかりに、最初この旅館に入った時には間違いなくガラスケースの中に入っていた筈の日本人形が――
――玄関のドアの前に立っていたのだ!
後ろからは中居さん(ジャニーズではない)そして、目の前には恐らくラスボスであろう日本人形と挟み撃ちにされ、止まることも戻ることも出来ずただただ彼等の絶叫が旅館に木霊するばかり。
しかし、彼は……ただの女好きなモブであった筈の夢芝居は、そこで勇者に覚醒するのであった。
彼女達を護る為、そしてこの恐ろしい状況を打破する為、彼は走る勢いを止めずその先に君臨するラスボス(日本人形)目掛け、渾身の力を込め「うおおぉおおおーーっ!」と勇猛果敢に雄叫びを上げ――
ドライブシュート!!
自身のボディに燃えて燃えて奇跡を呼ぶミラクルシュートがクリティカルヒットしたラスボス(日本人形)は、その勢いに任されるがまま玄関のドアという名のゴールネットに突き刺さる!
ピピーッ決まったゴォォオーール!! と何処かでハイテンションな解説とホイッスルが鳴り響く様なこともなく、割れた玄関のドアから外に蹴り出された日本人形は……蹴り出されたからなのか、それとも霊的な力でなのかは不明だが、宙を浮かんだ状態から忽然と姿を消したのだった。
そしてラスボスを撃破した彼等はそのまま旅館を飛び出し、転がるように坂を駆け下り、漸く最初の合流地点である自販機の前まで逃げ切ることが出来たのであった。
……らしい。
―――
――
―
「……マジかよ」
誰かがそんな言葉を呟く中、その旅館で起きた怪奇現象の話に皆、気を呑まれていた。そんな現実とは駆け離れた出来事が繰り広げられる場所に、今から行こうとしているコイツらはホント……
頭おかしいんじゃね?
いやまあ確かに付いて来た俺が人の事を言える立場じゃないのは尤もだが、それにしても――
お前ら頭おかしいんじゃね?
もう旅館のすぐ傍にまで来ている俺達は皆、言葉が出なかった。どうせならもっと早くこの事を教えてほしかった。出発する前に何故話さなかったのだ! と、口に出せないでいたのは恐らく俺も含めこの話を今ここで聞かされた全員だろう。
まんまとこのリア充夢芝居にしてやられたのだ。
え? 何故かって? だって――
旅館の近くの自販機前で女の子と合流する予定らしい。何かその子達先輩の車でここまで送ってもらうんだとさ。
ホントなんなのこのリア充? ナメテんの? 殺っちゃうよ? ぐちゃぐちゃの潰れたトマトみたいにしたゃうぞ? コノヤロウ。
井澤さんが。
「へえ、それはスゲェな! とりあえずこんなとこずっと居てても埓あかんしサッサと行こうぜ!」
この夢芝居の悪夢の様な物語を聞かされたにも関わらず、煙草の紫煙をエクトプラズムの様に吐き出しながら、ウンコ座りで汚ない笑みを浮かべる頼れる相棒井澤さん。
あぁ……コイツが一番アホだった。
コイツも一応俺同様、視えない、聞こえない、感じないの霊感ゼロ……だが、それは恐らく間違っている。
コイツは【自称】霊感ゼロであって、確実にあるほうなのだと予想される奴なのだ。
何故かと言うとコイツは以前、夜中に二人でちょっとした山の中間くらいにある母校の中学校付近を久しぶりに原付でぶらついていた時、普通に喋りながら並んで走っていたのに、いきなり無言になったと思った瞬間、ハンドルを急激に切り山の上に向かって行ったのだ。
一瞬視界から消えた親友に「え!?」となったのだが、とりあえずちょっと待てと追い掛けるも全くの無視……と言うか無反応。
そのままぐんぐんと坂を上がって行く井澤に嫌な予感しかしなかった俺はフルスロットルで追い越し「どこ行くつもりだ!」と叫びながら彼を止めようとしたのだが、その時コイツはまるで夜空を見上げているかの様に真上を向いたまま走っていた。
これは絶対におかしいと思った俺はそのまま通りすぎようとする彼の背中に思い切り平手打ちを入れると、やっと気が付いたのかブレーキを掛け「え? 何? どうしたん?」とアホみたいな顔をして尋ねてきたが、どうしたもこうしたも無い。
こいつが向かっていた先には……この先にあるのは――
――地元でもそこそこの大きさの霊園だったのだから。
その事を井澤に告げると、このバカは「え? 全然気付かんかった。あはは」と、笑って済ましやがったのだ。
そう、コイツはただ気付かずに走っていたのではなく、ハンドルを切って〝霊園に向かっていた〟事に全く気付いていなかったのだ。コイツは〝霊感〟はあるのだろうが〝鈍感〟なのだ!
ここで俺が出した結論……鈍感なコイツは呼ばれていた事に気付いていなかったんだと。
そんな色んな意味でパネェ井澤さんの、このあっけらかんとした態度に俺は心底不安を感じる。
しかし俺の不安など知ったことかと、旅館への突撃は、このバカの「早く行こうぜ!」の言葉と共に、無情にも開始されるのである。
行 き た く ね ぇ
―――
――
―
……結局、女性陣は来ていなかった。
そりゃあ当然だわ。俺がその先輩なら絶対に送らねぇ。そのままその子達とオールでキャッキャウフフするわ。この時だけはそのトオル(隣の廃病院編)みたいな先輩にNice! と言いたい。
リア充トミオ……モブが少しがっかりしている姿を横目に、俺は自販機で缶珈琲を購入しながら井澤と小さく〝ざまぁ〟と二人でほくそ笑む。
すると、女の子が来なかったショックと怒りで躍起になったのか、モブは俺達に「お前ら行くぞ!」と声を張り上げるリーダーシップぶり。
隣の井澤が「アイツ何かムカつくしシバいてもいい?」と、火の着いた煙草を顔面にぶち当てようとしていた。
良い子だからよしなさい。
一緒にいたカズヤもゴメン止めてあげてと苦笑い。
全く……これだからドヤンキーは……と、溜め息一つ。
気を取り直して、いざ旅館に向かおうと意気込む俺達男性陣。まあ、女性陣は居ないんですけどね。
それはさておき、旅館に行くにはここから数十メートル程の、暗く狭い坂を上って行かなければならなかった。
雨上がりも影響してか、結構な泥濘と化しており水溜まりも多く、めちゃくちゃ歩きにくいので非常に危険である。
不意に誰かが暗くて見にくいと訴え出すが俺達はともかく、この廃旅館に行こうと言い出した誰一人灯りという物を持ってきていなかったのだ。
何この段取りの悪さ……
お前らホントバカなんじゃね?
普通何か持ってくるでしょ? 唯一の灯りが百円ライターとか何この無理ゲー?
その事に突っ込むとリア充モブは慌てて反論をしてきた。コイツの言い分はこうだ。〝来る予定だった女の子達が持ってくる筈だった〟だとさ。
知らんがな。そんなんだから先輩に横取りされんじゃねぇか! 判れよ! 多分お前、前回で愛想尽かされてんだよ!
心の中でディスっているとカズヤは「こんなこともあろうかと」と、口角を吊り上げながら途中で立ち寄ったコンビニの袋を俺達の前に出し、その中から購入仕立てホヤホヤ感醸し出す結構な大きさの懐中電灯を自慢気に取り出した。
一つだけ。
すかさず井澤が「一つだけかよ!」とお約束の様にツッコミを入れるが俺はそれよりもっと別な方向での不安があった。その懐中電灯は買ったばかりでパッケージの中に入ったまま。そう、買ったばかりでパッケージの中に入ったままなのだ……と、言うことは当然――
「うっは! これ電池入ってない!」
「おいおい頼むぞカズヤ〜」
「ははは! どんくせぇな〜」
「あ、俺原付のメットインの中に単二の乾電池なら入ってる!」
「マジか! 出してよホソえも〜ん」
「も〜しょうがないな〜カズ太くんは〜」
「「HAHAHAHAHA」」
カズヤと原付モブのお茶目に和気藹々とするクラスメイト達と相棒井澤。
……もう死ねよお前ら。
と、まあそんなグッダグダな感じで俺達は、とうとう廃旅館の入り口へ到達したのだった。
―――
――
―
真っ暗と例えるより【真っ黒な】と言った表現の方が正しい程の闇の空間を、僅かな灯りと自身の感覚だけを頼りに、俺達六人は覚悟を決め未知の領域へと誘(いざな)うかの如くおぞましい威圧を放つ門を開き、その一歩を踏み締める。
その中を現在俺達が用いる大きな灯火である懐中電灯を射し込むと、眼に映る物は全て当然の如くボロボロに朽ち果てていて、まさに見るも無惨な姿と化していた。
足下も内装に使用されていた木材らしき破片や、壁か何かが崩れ堕ちた様な瓦礫が至る所に散乱しており、足の踏み場も儘ならない状態だった。
また僅かな光源しか持ち合わせていないせいもあってか旅館のおぞましい雰囲気も一層高まり、余計に歩む速度も削ぎ落とされてしまう。
一階から順に全部屋を見て回るのではなく、俺達は玄関を入ってすぐの階段をそのまま一気に最上階まで上がり、上から順に見て回ろうという事になった。
ただ唯一の救いは先程、話に出た入り口の棚の上にその住居を構える【日本人形】の存在が無いという事くらいであった。
最初、カズヤを含む高校生軍団は先へ進むのを躊躇していたので、痺れを切らした井澤は「俺が先頭で行くからお前ら着いてこい!」と言い出したのだが、それはそれで嫌な予感しかしなかった俺は当然その案を却下。そして俺が先頭を歩き二番手が井澤、そしてその後ろを高校生軍団……といった感じで進むことになった。
只でさえ足下の悪い中で、光源というものがショボいコンビニの懐中電灯一つと百円ライターが二つ三つといったこの過酷な状況で俺達は一例に並び、まるでドラクエ状態で階段を上がる。
踏み込む度に小さな悲鳴を上げるかの様に軋む階段を一歩ずつ慎重に上がり、俺達は当初の目的であった四階まで上り詰めた。そして真っ直ぐに伸びる廊下を俺を筆頭に奥へと進むと、丁度通路の中間辺りに差し掛かった場所で、後ろにいた夢芝居が突然声を上げた。
「ちょっと待った! あの奥に何か居る!」
その言葉で一同ピタリと静止する。カズヤは咄嗟に廊下の奥を懐中電灯で照らしたので、俺はじっと奥を見詰めると皆が一斉に声を出し始める。
「何だあれ!? 何か揺れてる!?」
夢芝居の言葉を皮切りに、原付モブであるデブカワが騒ぎだす。
「やべぇよ! っておい! 何か飛んでるぞ!」
続けて井澤にパーマンと命名された一号ミツオも声を荒げる。てか作中ではお前も時速119キロで飛んでるからそこは食い付かなくていいんじゃねぇか?
「部屋から何か出てきたぞ!」
「――ちょっ! 何かこっちに近付いて来てるぞ!」
カズヤが懐中電灯で奥を照らした瞬間、次々に何かが飛んでいるやら部屋から出てきたやら騒ぎ始める一同。終いには俺の真後ろに居る自称霊感ゼロの井澤までもが「何か変な光がいっぱいブンブン飛びまくってるぞ!?」と言い始め、力一杯俺の肩を掴む。その言葉を聞いて俺は確信する。
そうか、これは――
――警告なのだ!
興味本意で遊びに来た俺達に対して、彼方側の者達からの警告なのだ! これ以上此方に関わると命の保障は無いぞ! とでも言わんばかりのプレッシャーを俺達にかけてきているのだろう。
そして……そんな井澤の言葉に、一番先頭でその廊下の先を見据える俺には――
な に も 見 え ね ぇ w w w w w
ええ、全くもって何にも見えないんですけど!?
え? 何なの? 何が見えるの? 何がブンブン飛びまくってるの?
何か夢芝居なんかは、この旅館全体が怒ってパンッとかパシッとか音もめっちゃ出してるのが聞こえるとか言ってるけど俺にはお前らの騒いでる音以外聞こえないんですけど?
てか何で怒る旅館って何? 旅館が怒ってるとか判るの!? あれか!? 「ダメ! ニルバーシュが怒ってる!」みたいな何か幻想的な機械と話せる謎の美少女的な何かなのか!?
てかあんたバカぁ〜?
あり得ない心霊現象にテンパり慌てふためく後ろの連中と〝何も見えない、聞こえない〟事に戸惑う俺……一体どっちが正解なのか? てかそんなのカンケーねぇ!
俺はテンパるコイツらに「とりあえず引き返すぞ!」と声を荒げる。
その言葉に我を取り戻した皆は上がってきた時と同じように縦一列になり階段へと戻る為に廻れ右。
そして当然俺、最後尾。
ちょ――俺一番後ろやあぁぁあぁあぁあん! アカンて! めっさ恐いてええぇぇえ!!
皆この非常時だというのに何故か一歩ずつゆっくりと、旅館の住民達を刺激しない様に階段を下っていく。一番後ろの霊感ゼロの筈の俺だが……何か確実に、背後に誰か〝着いてきている気がしてならない!〟 否! 〝憑いてきている気がしてならない!〟
だが、一向に足を速める素振りもないコイツらに怒りと恐怖が入り乱れ、俺は「早く行けや!」と、つい声を荒げると一番下から順に皆が漫画の様に此方に振り返る! すると――
「「「うわああぁあああぁぁああーっ!!?」」」
全 員 大 絶 叫 !
――ちょ!? 何君ら!? 何その雄叫び!? 何があったの!? いや何が居るの!? てか俺も振り返りたいけど絶対見たくないけど振り返りたいけど絶対見たくない! って何言ってるか自分でも全然分からへん!
その雄叫びと共に俺を省く全員階段を駆け下りる! てか待てやお前ら!!
皆に遅れること一瞬、俺も全身に力を込めフルパワーで階段を飛び降りる! 追い越された事を目の当たりにした井澤も「お前汚ないぞボケェッ!」と俺に続き、他の連中を抜き去ろうと階段を飛び降り俺の隣に着地――
「ぎゃああぁあぁぁあああっっ!?」
――した瞬間盛大な爆音と共に崩壊する踊り場と、俺の視界から姿を消す井澤。
床www抜wwwけwwwたwwwwwwwwwww
井澤の自爆を起爆剤に、雪崩の如く階段から転げ落ちる俺以外の愉快な仲間達。勿論俺は既に旅館の外に脱出済み。
自力で何とか這い上がり皆と逃げ出して来た井澤は奇跡的に膝を少し擦りむいた程度の怪我で済んだみたいだった。
何とか旅館から脱出した俺達は、そのまま自販機までの坂を力なく下りていく。
坂の途中で立ち止まった井澤は擦りむいた場所が気になると言い、しゃがみこむとズボンを捲り上げ、カズヤに懐中電灯で膝を照らさす。
するとその彼の足下には――
「「「ぎゃああぁあぁぁあああっっ!?」」」
――首と胴体が離れ、尚且つ悪戯に赤く染め上げられた地蔵が横たわっていた。
「うおっ!? 井澤あぁあっ!?」
地蔵の生首を見てビビって飛び退いた井澤は、一メートルちょいの低い崖から転落し、肘も擦りむいた。
―――
――
―
多少のアクシデントは有ったものの、リア充モブ夢芝居の話の様な〝心霊体験〟みたいなものは無く……
とりあえず無事に自販機まで辿り着くことが出来た俺達は温かい缶珈琲を飲みながら、たった今旅館で起きた出来事を語り始める。
「それにしてもさっきのやつはヤバかったな〜」
原付モブデブカワがそう切り出すが俺にはどの場面がヤバかったとこなのか今一つ解らなかったので沈黙のまま話を聞く。
「おお、初めは靄(もや)が動いてるだけって思ってたけどあれ……オーブ? みたいなやつがめちゃくちゃ飛び巻くってたよな! あれはマジヤバかった」
続けてリア充モブ夢芝居の言葉にカズヤ達も「そうそう」と頷き出す……あ、そこか。しかし俺にはそれが全く見えなかった。てかあの暗い廊下の奥にそんなものが飛んでるなんてよく見えたな? と口に出すと、周りから次々に「は?」やら「マジでそれ言ってる?」と逆に聞き返されてしまった。
詳しく話を聞いてみると、白と言うかオレンジに近い白の様なよく解らない光の様なものが飛び巻くっていただとか、そしてもしそれが赤だったら本格的に危なかったとのこと。
果たして頼り無い懐中電灯の灯り一つと百円ライターだけで本当にそんなものが視認出来るのであろうか……俺には謎だったが、ここに居る全員が同じ事を言っているので冗談ではないのだろう。井澤も何かその件に関して便乗してるし。
そんなことより俺は階段で後ろを振り返った時、コイツらは何に叫び声を上げたのかが気になって仕方がない。
そう一人思い更けっていたが、ふと隣に目をやると缶珈琲を持ったまま、ただぼうっと突っ立っている井澤が目に付いた。
崖から転落してから何か大人しいなコイツ……二回も落ちた事で機嫌でも損ねているのかね?
と、最初はそんな程度で特に気にもしていなかったのだが……
「おい、そろそろこんなとこ出ようぜ」
飲み干した珈琲の空き缶をグシャリと潰した彼は、ポケットからキーを取り出し単車置き場に向かい出す。
その突然の態度に一号ミツオが「どしたん? 三号?」と声を掛けたが、井澤は「は?」と首を傾げる。
まあ、何を見たのか聞きたかったがそれは帰ってからでも出来ることなので、別に今はどうでも良いかと(すぐそこ旅館だから聞くの恐いし)思い井澤に続き歩き出すと、俺達に釣られ皆もそのまま各々愛車のエンジンをかけ、出発の準備をし出した。
俺は半キャップを被り井澤の後ろのシートに手を掛けると、振り返った井澤は不思議そうな顔をしながら俺にはこう言った。
「ん? ああ……お前、ケツ乗るのか?」
――え?
「ま、いいか。早く乗れよ」
「いやいや俺お前とニケツで来たんですけど? 何? まだ落ちたの笑ったことでも引き摺ってるの? めんどくさい奴ね〜君も」
この時俺は、コイツがただ機嫌が悪くてそんな事を言ってるだけだと、特に気にも止めなかった。
――しかし異変は帰りの峠の下りで起こった。
単車なので声が聞こえにくいにも関わらず、いつもベラベラと喋り倒す井澤は先程からやけに口数が少なかったのだが、下り直線から左カーブに差し掛かろうとした所で、後ろに俺が乗っているにも関わらず、いきなり車体を左にガクンと大きく傾ける。
「おい! お前いきなり――」
油断していた為、転落しそうになった俺はシートに掴まりながら井澤に文句を言おうとするが、また車体が左にガクンと傾く。
何やってんだコイツは!? とだんだん腹が立ってきた俺は再度井澤に「おい!」と怒鳴り付けた。すると漸く井澤は口を開く。
「ん? どうした? とりあえず今から攻めるぜ? しっかり掴まっとけよ? 兄ちゃん?」
何調子乗った態度取ってやがんだこのバカは?
井澤の態度に少しイラッとしたが、もう直ぐ目の前が急カーブだというのにスピードを落とすどころかアクセルを開け、小雨の降る濡れたアスファルトを爆音で加速し初める中型の単車。
「ちょ! 待て! 滑るって――」
突然の加速に身体を後ろに持っていかれ、振り落とされそうになるのを必死に堪える。そしてカーブに差し掛かると、井澤は一気に単車を倒し――
「ヒャッハアァァアアッッ!!」
「――いっ!? うおおぉおぉおああぁぁーーっっ!?」
某、世紀末救世主に毎回爆死させられる雑魚モヒカンの様な叫び声を上げる井澤と、同じく叫び声を上げながら傾く単車の反対側へと身体を必死に倒し、体重移動させる涙目の俺! コイツ何考えてやがんだ一体!?
「お? なかなか乗せやすいなお前!」
俺の体重移動に気を好くしたのか、井澤のテンションは更にヒートアップしていき次のカーブへと突っ走る。てゆーかバランスの良さは前から知ってるだろうが!
「ふはははははははは!! 俺の言うとおりに傾けろ! 右!」
おかしなテンションがMAXになった井澤は黒い騎士の軍団のリーダーの如く高笑いしながら俺に指示を出してきやがった。
まさに「我に従え!」ってやつである。
そのまま他の連中を引き離し、俺達二人は峠の梺までガンガンに攻めながら最後のカーブに到達するが、そこで井澤が大声で歌い出す。
「サ〜イボーグ戦士っ! 誰が為にぃぃ〜戦うぅぅ〜ワオ!」
――
――何それ!?
聞いたことも唄ったとこを見たこともない曲(後に昔流行った有名なアニメの主題歌だと知る)を、とてつもないリズム(音痴)で歌いながらカーブを曲がろうとする井澤に今日一番の嫌な予感がした俺は咄嗟に「おい!」と怒鳴り、背中をおもいっきり平手打ちした。
〝パシッ〟と言うより〝バチン〟と言ったほうが例えやすい威力で背中を叩くと一瞬ガクンと身体が沈み、その後直ぐに「ウェイッッ!?」と、外人みたいな反応をする井澤。そして俺にキレ始めた。
「何すんねんお前! シバくぞ!」
「あ!? シバくぞはこっちの台詞じゃ! スピード落とせアホンダラ!」
その言葉に慌ててブレーキをかけ、緩やかにカーブを曲がる。そして俺は直ぐ先の信号で停まるよう井澤に命令すると、信号を越えてすぐに設置されてあった自販機に停車させる事に成功する。いや、マジお前俺に従えアホンダラ。
「お前いきなり訳の解らんこと言い出してブッ飛ばしやがって! マジで殺す気か! てか殺すぞボケが!」
胸ぐらを掴み上げながら怒鳴り散らすあまりの俺の剣幕に流石の井澤も意気消沈した後、小さく「あ……あれ? ……お、おう」と返事をする。
「お? やけに素直に聞くな……顔並みに気持ち悪いぞお前。てかここでアイツら来るまで待つぞ」
軽く顔面もディスってやったのだがそこに対して反論もなく矢鱈と大人しい井澤。気持ち悪い。
そんな事を考えているとカズヤ達が到着し、俺は軽く手を上げ「よっ」と声を掛けたのだが……彼等は皆、あからさまに顔色が悪かった。
え? 何?
「おい! お前ら大丈夫か!?」
え? 一応無事ですけど?
「良かったぁ! 生きてたぁ!」
え? 当たり前やん?
「もう居てないよな!?」
え? 何が?
「俺絶対君らもう駄目かと思った!」
え? 何が駄目?
「ホントに! だってあんな囲まれて……」
え? 何のフラグこれ? 止めて? それ以上喋らないで?
「お前らの周りにな――」
「待て! 今それ以上言わんといてくれ!」
俺の制止にカズヤ達は口を閉じる。よし、それでいい。良い子だお前達。
しかしカズヤ達を止めることが出来た事で油断していた俺は突然のコイツの発言を許してしまう。
そう、みんな大好き井澤君だ!
「なあ、さっき俺……お前に攻めてるとか言ってたらしいな?」
「え」
「いや、実は――」
「え……いや、ちょっと待――」
聞きたくもないのに、別に知りたくもないのに勝手に話し出す井澤を、俺達はただ黙って見詰めていた。
「――実は俺な、単車乗った所までは憶えてるんやけど……目が覚めたのって信号の手前やねんな〜。てかさ、五回寝て二回仔猫飼う夢見た! 仔猫めっさ可愛いな〜俺猫欲しいわ〜どっかに巨乳の可愛い猫耳落ちてないかな〜! うひぇひぇひぇひぇ!」
……
……引いた。
てかお前猫耳の時点でもう猫じゃなくなってるやないかい。
まさかのキモオタ発言と気持ち悪い笑いに俺達は井澤に距離を置く。
……てかそんなことよりコイツ今何て言った?
寝 て た だ と ?
寝ながらコイツはあんなにテンション高くバカ笑いしながらバンバンブッ飛ばしてやがったのか!?
井澤のふざけたカミングアウトに一同気を呑まれ、しばらく沈黙する。
そりや唖然とするわな。
少しの沈黙の後、俺達はほとんど会話も無くカズヤ宅に到着……そしてそのまま解散することになった。
俺は井澤に送ってもらい自宅に着くと、タイミング良くカズヤから電話が掛かってきたので出ると、カズヤは「良かった」と一言口に出し、聞きたくもないのに先程俺達に伝え損ねた内容を話し出した。
「さっきは言えんかったけどな、最初旅館でお前らの周りにって言うか大半井澤の周りにいっぱい珠が飛んでてな、旅館出たらそれが無くなってたから安心してたけど……帰りの下りでお前らの単車の周りにまた飛び巻くって……その瞬間いきなりスピード上げてブッ飛ばし始めたからヤバいって思ったけど、俺らもちょっといきなりの事で焦って追い掛ける事が出来んかってさ……で、慌てて追いかけたけど、どんだけ下りていっても見当たらんし……お前ら事故って崖から落ちたかと思ってマジ焦ったわ」
……
……らしいよ? 井澤君?
受話器をスピーカーにしていたのでそれを聞いていた井澤はアホの子みたいに口が開いたまんまだった。
ヨダレ垂らすなやお前。
とりあえずここまでの内容を纏めた俺達の回答……
井澤はやっぱり霊感的なものは持っているが鈍感なのでそれに気付く事もなく――
――旅館の誰かさんに憑かれていたのだろうという結論になった。
だってコイツ
帰りの峠でバカ笑いしながらバンバンブッ飛ばしてた記憶なんて全く無いとか抜かしやがったもん。
―――
――
―
カズヤとの電話を終え、しばらく俺の部屋で寛いでいた井澤は、そろそろ帰って寝ると言い玄関に向かう。時刻は朝の九時半。日付も変わりほぼ半日経っていた。
玄関で靴を履いていた井澤は「ん? 何?」と履いた靴を脱ぎ、中に手を突っ込みだした。
「あ? どした?」
その行動が気になった俺は玄関に向かい、座っている井澤の後ろから何をしているのか覗き込む。すると、靴の中に入っていた物を取り出し此方に見せる。
「なあ……こんなん入ってた」
そう言う井澤の手のひらを見ると――
――絶対ダメな方の威圧感バンバン出している所々黒くくすんだ【指輪】が乗っていた。
「お前それ持って今すぐお寺行ってこい!!」
「お前着いてきてくれ!」
「お前には憑いてきてくれる奴がちゃんと居てる!」
「勘弁してくれぇえっ!!」
「こっちの台詞じゃアホンダラ!!」
着いて来いと悲願する井澤を半ば強引に追い返し、俺は直ぐ様布団と一体化。
……そしてその言葉を最後に井澤は――
――彼女に一緒に来てくれと泣き付いて、二人で仲良くお寺で数時間過ごしましたとさwww
完。
最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。
心霊スポットとか突撃したことあるよーって人、一体何人いるんでしょうか?怖かった?面白かった?ガチでヤバかった?……すごく気になります。そんなお話聞いてみたいです。
自分は何度か友人に連れられて突撃する羽目になったことはありました。ですが一度もアチラさんとは遭遇することはなかったので本当に運が良かったと思います。
ま、自分は霊感無いし見えない聞こえない感じないなのでww
では皆さん、また何処かでお会いできたらいいですね!
ちなみに友人井澤君(仮名)とは後何度かそういう場所に行きましたが毎回寝ます。そして数回事故りましたが現在も元気に過ごしておりますwww
それではごきげんよう!