表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘・日常  作者: トム
7/9

夢うつつ





『おかえり、ママ、アレ買って来た?』


玄関で靴を脱いでいる、焦げ茶色の髪を後ろ一つに結った女性の背中はよく見る光景だった。


彼女の脇には買い物袋が置いてある。



『はいはい、ただいま、じゃあこれ台所まで運んでくれる?』



緩んだ表情を向けたのは、僕のお母さんだ。




『うん!』





長い廊下に重い買い物袋を少し引きずりながらも、パタパタ裸足で走った。


台所に着くと、食卓用のテーブルの上に両手で買い物袋を乗せて、椅子の上に正座を崩したような座り方をしながら、袋の中身をテーブルの上に並べて行く。


卵に、牛乳、ねぎに‥‥『あっあった!』


取り出したのは猫用の缶詰とお皿だった。



『にー』


高い声でなく子猫に手を伸ばす。


その手の小ささに僕自身が驚いた。





ー『あれ?』


寝起きの頭を機動させるのには時間がかかった。


そう今のは夢のような夢だった。


見知らぬ場所に自分が居ることに気づく。


気がつけばどこかの屋内のベッドで寝ていたようだ。


その部屋は洋風な感じで、深い赤色をベースにしたようなデザインの壁でベッドも二人用っぽく、どこかの洋館を思わせるような広々とした空間だった。



窓からは日がさしていた。


『朝になったんだな』


ベッドの上でぼんやりしていると



今までの出来事を思い出して我に帰る。



誰もいない見知らぬ街に突然来てしまい帰ることが出来ないでいたのだった。


そうだ、あの人‥‥美樹さんは?!




『にー』



聞き覚えのある声が耳に響いた。


この声は‥‥


ベッドの端っこがもぞもぞと動いた。


おもいっきり掛け布団をめくってみるとそこには、見た事のある猫が体を丸くして寝ていた。


毛並みが整っていて、真っ黒だけど白い靴下を履いているかのような姿の綺麗な猫‥‥



『お前は!!!!』



すべて思い出した。


この猫の目を見て僕は気を失ったんだ。


それで気がついたらこの街に‥‥。



『お前、お前が僕をこんなとこに連れてきたのか』


猫は細目をしながら。


一つあくびをした。



つづく


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ