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迷子の子猫・前
歩くスピードは次第に落ちていった。
どんよりとした空気に、廃屋ばかりが並ぶ道をただひたすら歩き続けていれば
誰だって立ち止まりたくもなるさ。
その上、ここまで誰ともすれ違っていないとなると余計に不安になる。
夕方と夜の間くらいの薄暗さは不気味だ。
そしてなによりも
この場所がどこなのか、どうやって自分はここに来たのか、さっぱり分からない。
生暖かい風が僕の短い髪を撫でる。
ビルの窓のほとんどが割れて、ホコリで曇っている。
建ち並ぶ家々も、寂れて生活感の全くない有り様だった。
人の気配もしない。
これぞ正に孤独だ。
途方に暮れる小学生はここにいる。




