出逢い
第2話です。
影の中、横に二つ並んだ光輝くものを見つけた。
それは、明らかにこちらを意識している。
そして向こうもきっと同じふうに思っているに違いない。
瑠璃色の瞳をしたその者は一直線に僕の方へやってきた。
毛並みは整っていて、真っ黒で白い靴下を履いているかのようなその姿は
とても愛らしく思えた。
『にー』
高い声で鳴きながら、僕の膝下をグルグル‥‥。
人に懐いているみたいだ。
『あー、にゃんにゃん!!』
急に声がした。
舌ったらずで聞くからに幼い声の持ち主の方に顔を向ける。
遠くから母親らしき人と連れ立って、手をつないで歩いてきた3才くらいのその娘らしき幼い女の子は、短い人差し指で、僕達を指差しながら興味深そうにしている。
すると、母親は『なっちゃん、早くお家帰ってなっちゃんの好きなパンケーキ食べるんでしょう?』と我が子に優しく話しかけ、その子はそうだったというような表情とあそこに行きたいという複雑な様子ではあったが、そのまま何度も後ろを振り返りながらも、去っていった。
『小さい子は好奇心旺盛だからな‥‥』そう呟いて僕はその場にしゃがんだ。
見下ろしていた時よりもその猫と至近距離になったのは言うまでもないことだろう。
よくよく見てみると瑠璃色の瞳の中心には黒い小さな丸が見える。
『お前、キレイな目してんな』
傍から見たら、独りで猫に話かけている、痛い奴と思われるかもしれないが、この時は、自然に言葉が口から出た。
その途端、その黒い小さな丸がゆっくりと大きく膨らんでいった。
ーなんだ?
まるで吸い込まれるように僕はそれを見つめることから逃れられなくなった。




