プロローグ6
何時間か何日かはわからないが、祐一はかなりの時間をかけて能力値を確定させた。すると決まるや否や神様が帰ってきた。
「おお、ついに決まりましたか」
いきなり現れた神様に驚きつつも答える祐一。
「大変お待たせして申し訳ありませんでした。これで決定しましたのでご覧ください」
祐一はこれも神様の楽しみの一つなのだと気づいていたのだ。
「それでは失礼しますね」
ステータス
器用度 17
敏捷度 9
知力 22
筋力 9
耐久力 10
精神力 21(11+10)
魔力値 21/21
スキル
古代語魔術師 Lv5(2+3)(12P)
(古代語会話・読解、神代語読解)
賢者 Lv4(0+4)(5P)
(アイテム鑑定、各種知識、薬草学、言語)
(古代語魔術師と同レベルまでは習得しやすく、必要ポイントも二分の一(切り上げ)で済む)
ユール語会話・読解
速読Lv6
薬草採取Lv4
家事Lv5
料理Lv3
毒耐性(5P)
病気耐性(5P)
ポイント再使用(10P)
(ポイントを振って取得したスキル・ステータスを自力で取得し直したとき、取得にかかったポイントが返還される)
アイテム鑑定(10P)
(賢者スキルで得られるものと違い、100パーセント鑑定できる)
残ポイント 30
(毒と病気の無効は取れなかったが耐性があるだけでもかなり違うはずだし、これだけポイントがあれば再使用の効果は大きいはずだ。なによりも特殊スキルが他人から分からないうえに、万が一の場合にスキル5レベルを二つか7レベル一つを取れるのは大きい。これで完璧なはずだ)
祐一が自画自賛していると神様が感想を述べた。
「うん、これはこれでよいと思います。さて、次は持ち物ですね」
すると、祐一の服装が変わり、いつの間にか荷物まで持っていた。
「これが持って行っていただく装備です。ちょっと確認してみてください」
祐一が確認してみると、以下のものが揃っていた。
革鎧、革靴、マント、杖(魔術の発動体)、ナイフ、背負い袋、携帯食料三日分、水袋(水)、水袋、火口箱、大袋×2、小袋×3、傷薬×5、財布、大銀貨2枚、小銀貨20枚
傷薬は祐一が自分で作った(ということになっている)ので魔術的な即効性はないが、薬草学を活用しているのでそれなりの効果がある。
祐一は魔術師らしいローブでないことに少し落胆したが、防御効果は革鎧のほうが上だと自分を納得させた。それに、実際は道を歩くのにローブは邪魔になるし、革鎧と革靴は前から着慣れている(ということになっている)ので、靴ずれなどの心配もない。
「この装備を見ると、やはりこれから行くのは現実世界なんですね」
「その通り、怪我をすれば血も出るし死にもする、トイレに行く必要もある現実世界です。さて、他に欲しいものはありますか? 魔術的なものでなければ大丈夫ですよ」
祐一は少し考えてから問いかけた。
「普通の服を一式に鉤爪付のロープを10メートルとシャッター付きのランタン、それにランタン用の油をいくつかお願いします。あ、あとできればここで使い魔の儀式を行いたいんですが」
「わかりました、持ち物は追加しておきますね。使い魔のほうはサービスで既に持っていることにしましょう。種類は何にしますか?」
これは非常に助かる。使い魔と魔術師の間には精神の繋がりがあり、念話もできる上に五感の共有もできるのだ。ただし、小説などでよくあるような大動物や神獣、魔獣などを選ぶのは不可能なので、小動物に限られる。
祐一は何を選ぶかを既に決めていた。
「では、フクロウでお願いします」
すると、目の前に止まり木とフクロウが現れた。
「よし、お前の名前はマギだ、よろしくな」
祐一が名付けると、マギは一声あげて彼の肩に飛び移った。フクロウだけあって、ほとんど音を立てない。
「さて、これで準備は完了しましたが、なにか不足や気になることはありますか?」
「えーと……、気になることはたくさんありますが些末なことばかりですし、荷物はこれ以上あると重くて持ちきれないと思いますので、これで大丈夫です」
「それでは、あちらの扉から出ていただいたところから、あなたの新しい人生が始まります。私は見ているしかできませんが、頑張ってくださいね」
祐一は扉に手をかけると、別れを告げた。
「ありがとうございます、では行ってきます」
祐一が扉を開けると、真っ白な光が差してきた。
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