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短編・その他

ペリーさんのパーフェクト開国教室(黒船編)

作者: 山科碧葵

「わたし、ペリーさん……今あなたの国の港にいるの」



 部屋の外を(なが)めると大きな黒船が現れ、立派な服を着た外人さんが(うれ)しそ

うにこっちに向かって手を振っている。



 これはヤバイと思った俺は家の壁に「鎖国(さこく)」と書かれたお(ふだ)を大量に張り

まくった。

 すると家の電話がもう一度鳴り、

「わたしペリーさん……今あなたのお部屋の前にいるの」

「この家は鎖国している」

 俺の拒否も(むな)しく、

「ソンナダカラアナタハ、チェリーボーイナノデース。サッサトカイコクス

ルデース」



 ペリーさんは俺の部屋のドアを開け、小さな女の子を俺の部屋へと招き入

れた。

「……何よあんた」

 可愛らしく小さな女の子は、すねたような顔をして俺の部屋のドアの前で

正座をしていた。

 ペリーさんはにこやかに俺と女の子の間に座ると、どこからか即席テーブ

ルを取り出して、

「こちらの美しい女性がメリーさん、あちらの頼りがいのありそうな男性が

チェリーさんです」

 流暢(りゅうちょう)な日本語をしゃべるペリーさんは、ニコニコしながらテーブルにお(ひや)

を並べ、

「ではごゆっくり」

 ペリーさんは部屋から出て行った。



「……………」

 黙ったまま向かい合う二人。時折(ときおり)飲むお冷の音しか部屋には聞こえなかっ

た。

「あの……」

 俺が勇気を振り(しぼ)り言葉を発そうとすると、メリーさんは太ももをつまみ

ながら下を向き、身体(からだ)をカクカクと震わせていた。

「あの……何か?」

 メリーさんは下を向いたまま窓の方を指差し、俺は窓の方を見た。



 窓の外では黒船に乗ったペリーさんがチアリーダーの格好をして、ポンポンを

振り回して踊っていた。

「ぷはっ……はははは……」

「きゃはは……もぅやだぁ……」

 笑い合う二人。(なご)む空気。



 一ヶ月後、俺たちはめでたく結婚した。――あんなに愉快なお見合いは初

めてでしたよ。とペリーさんに伝えたかったけど……





 ペリーさんは変質者扱いをされてしまい、結婚式前に帰国していました。



 ざんねん!

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