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prologue
始まりの大樹には、ただ一つの生命が宿っていた。
やがて
天地が分かれ
種族が分かれ
国家が分かれ
混沌とした世は三柱の神によって導かれた。
循環の風
創造の光
破壊の闇
思い合う心は禍を喚び
行き詰まった世界の選択は、一人の者に委ねられた。
彼の者は、終わりと始まりの使者。
彼の者は、選ぶ者。
彼の者は、選ばれることのない者。
罪から生まれ、罪と消える、ただ一人の者。
消えた三大神
現世に散った三振りの剣
後継を探す三体の神獣
異界から訪れた三人の青年
宿業を背負う三兄弟
絡まり捩れた運命は
時を超えた少年の身に収束する――
それは、全一なる世界のための序奏。
それは、一人の者たちの物語。