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第47話

それは、突如引き起こされた事だった。


正義のナワバリに向け、攻撃を仕掛けようとした武装テロの殲滅。

そこに赴いた、正義の上級系譜、一徹の契約者椎名九十九が見た物


――それは、これから殲滅しようとしたテロリスト達の首なしの亡き骸。

そして、首だけを集めて造られた山。


「――こんにちは、椎名君。遅かったね?」


その傍に腰掛け、血まみれの自分の身の丈ほどある大太刀と、小太刀を地面に突き立てつつ、本を読む1人の男が来訪に気付き、本を閉じて立ち上がる。


髪をオールバックにし後ろで結んでいて、長身で細身のメガネをかけた優男の印象を醸し出す男。

傲慢の上級系譜“野心”の契約者、岩崎賢二が大太刀と小太刀に手をかける事なく、正義の軍勢に対しぺこりと一礼をする。


――その背後の離れた地点に、九十九達とほぼ同等の兵力を控えさせながら。


「――ここで何をしている? 何故ここにいる?」


それに対し、突き刺すような視線をぶつけつつ、攻撃的な姿勢で九十九は対応する


「盟主の命令で、君達に用があって来たんです。彼等は邪魔だったので片付けておきましたが……どうせ皆殺しの予定でしょうし、文句はないでしょう?」


――まともな神経で出来る所業ではないと言うのに、彼はにっこりと笑みを浮かべてなんでもないかのようにそう告げた。


「用とは何だ?」


にも拘らず、九十九は表情も変えず用件を言うよう促す。

――右手はいつでも、軍刀を抜けるよう構えながら。


「いえ、簡単な事ですよ」


メガネの中で笑みを浮かべる目が――きっと鋭い物に変わり。


「――少々僕達と一戦交えて欲しいだけです」


大太刀の柄を握りしめ、地面から抜くと同時に横なぎに振り――


「! “思念武装マインドアームズ”!


その動作に合わせるかのように、九十九は左腕から生やすかのようにバズーカ砲を展開。

それを大太刀――蛇腹大太刀の軌道を遮るように、発砲。


「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」


大太刀が弾かれると同時に、後方に座していた傲慢の軍勢。

それが一斉に咆哮し、突撃。


「迎え討て! 正義の鉄槌を振るい、悪を薙ぎ払え!!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」


それをみた九十九は即座に号令をかけ、正義の軍勢が咆哮をあげて突進。


「はああああああああああっ!」

「死ねえ、不浄な負の契約者め!!」


軍勢はぶつかり、戦線は展開。


「うらあっ!」

「はあっ!!」


まず響いたのは金属のぶつかり合う音。

高速移動系の能力を発動させ、先陣を切った者の武器、正側のナックルダスターと負側の逆手もちのナイフ2本。


正側が拳を突き出し、負側がナイフでそれを受け流し、その体制を崩してナイフを相手に首に突き立て様とした瞬間――


ドゴっ!


「ごぼっ!!」


正側が高速移動で体当り。

吹っ飛ばされた負側に追い打ちを仕掛けようと、駆けだし――


「うおおおおおおっ!!」


その行く先を、大男――それも2メートル以上の巨体が、斧を振り上げ突進。

負側の大男の斧が振り下ろされ、正側が高速移動で回避するが、地面は陥没。


その隙を狙い、一気に距離を詰めたその瞬間――


「ウホッ!」

「!?」


負側の大男の背にしがみついていたゴリラが、正側の男の眼前にロケットランチャーを構え――


ドンっ!!


引き金を引いて、正側の男は吹っ飛ばされて横たわった。



「――兄者、小兄者シンクロだ」

「――わかった。兄者、弟者」

「――では行くぞ、弟者たち……全員下がれ!!」


――その一方で、負側の棍を持った3人兄弟の長男が、周囲に下がるよう声をかける。

その指示通り総員は下がり――


「傲慢の下級系譜、竜巻三兄弟だ!」

「まずい、来るぞ!」

「撃て!」


正側は声の主を見て、遠距離攻撃を撃ち――


「――行くぞ」

「――我ら三兄弟」

「――揃えば鉄壁」


二男、三男が飛びあがり、次男が長男の肩に立ち、三男が次男の肩に立つ。

3人は棍を構え、その棍に風を纏わせ――


「「「“ビッグ・トルネード”!!」」」


3人が同時に飛び上がり、棍を頭上で振り回す。

その棍の動きに合わせ周囲に風が生じ、、それが上下と合わさり徐々に肥大化していき――


「うっ、うわああああああああああああっ!!」


下級契約者達を次々と巻き上げる巨大竜巻へと変貌していった。


「くっ! ううぅっ!!」


下級契約者が次々と吸い上げられていく中で、下級系譜達は武器を地面に突き立てしのぎ――


「…………」

「…………」


戦場の中心に立つ2人の上級系譜は、影響下にあると言うのにびくともせず。

ただひたすらに相手の出方を待つのみで、意識にすら入れていなかった。


「――一体どういうつもりだ?」

「君達正の契約者と僕達負の契約者は争う物。理由など特にいらないでしょう?」

「違う! ――今まで何一つ目立った動きを見せなかったお前達が、何故畳みかけるかのように今になって攻撃を仕掛ける?」


ヒュンっ!


「!?」


九十九は眼前に迫った刃を、身体を捻り回避。

その連結刃は地面をえぐり、その後方にいた数人を真っ二つにし、蛇腹大太刀は元の形へと戻っていく。


「そんな事、君が知る必要はありませんよ。君はただ、僕達と戦ってくれさえすればいいのですよ――もうすぐ来るだろうクラウス君も含めてね」

「――そうさせてもらおう!」


九十九の背から、突き破るかのように自分の身体程ある砲身が1つ、稼働式の6つの砲身が姿を現した

次に、顔の3倍の高さの円錐型の、所々に目を模った装置の取り付けられた仮面“真実の瞳”を取り出し、装着。


「最も得体がしれん大罪、傲慢……その傘下、確実かつ徹底的に潰してやる」


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