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第42話

まず響いたのは、ぶつかり合う轟音。

――その次に響いたのは、崩壊音


「“絶対干渉”――契約者最強の攻撃力による一撃、流石に違う」

「“空間破壊”――世界の理そのものに干渉できる貴様が言えた義理か」


たった1合の打ち合い。

それだけで、2人が立っていたビルは崩壊。


白夜は空間の裂け目を、正輝は圧縮した空気を足場に、高度を変えることなく対峙。


「……」

「……」


2人は互いの眼を見据え、次の出方を待つ。


「――“空圧連撃”!」


先に動いたのは、正輝。

拳に展開された“絶対干渉”で弾かれた大気が、衝撃波となり白夜めがけて襲いかかる。


「――ふんっ」


――白夜が大剣を振りあげ、その空圧連撃に向け振り下ろし……全てをかき消した。


「――小手調べを見に来たわけではないのだがな」

「物静かな割には、派手な葬式が好みらしい」


足場としていた圧縮された空気を蹴り、正輝は白夜めがけて飛びかかり――。


ドゴォンッ!!


正輝の拳と白夜の拳がぶつかり合い、轟音が響き渡る。


「――やはり能力のぶつかり合いでは、互いに打ち消し合い勝負はつかんか」


地面に打ちつければ、この廃墟区画どころかその周囲の一帯すらも更地にする、大地震を引き起こす程の力を込めた拳。

それが打ち消され、単純な肉体的な強さのぶつかり合いとなってなお、その力は互いの身体を弾きあい、地面に着地し距離をとる結果に。


「ぬおおおおおおおおっ!!」


躊躇する事なく正輝は駆けだし、白夜に向けて拳を突き出す。

迎え討つ白夜は、大剣を地面に突き立て能力を打ち消し合いつつ、正輝と比較すれば細い腕で受け流す訳でもなく、その一発一発の衝撃で周囲の廃墟を破壊するほどの威力で、互角の打ち合いに。


「……成程、以前より強くはなっている――が、まだ甘い」


正輝の一撃を突如受け流し、白夜は地に突き立てた大剣の柄を握り、受け流した勢いを利用し、地面を切り裂きながら大剣の軌道を正輝に向ける。

正輝は後退して交わすも、大剣が地面にたたきつけられたと同時に白夜が駆けだし、顔面にパンチをブチ込んだ。


「ぐおっ!」


正輝は吹っ飛ばされ、地面にたたきつけられると同時にゴロゴロと横に身体を転がせつつ、かろうじて地面に手を突き立て、地面をえぐりつつ勢いを止める。


「うっ……ううっ……」


衝撃で脳が揺さぶられつつ、正輝は頭を抑え身体を起こす。

――それを見逃すことなく、白夜は駆けだし大剣を正輝めがけて振りおろす。


「!?」


正輝はそれを察知し、大剣が間近に迫ると同時に後転して、回避しつつ体勢を整え――。


「“空圧連撃”!」


振り下ろした体制のままの隙を狙い、正輝は連撃を撃ちだす。

衝撃波が白夜を襲い、一撃こそ回避しきれず受けた物の、他はすべて防御。


「ぬおおおおおおっ!!!」


連撃を止めると同時に、正輝は咆哮しつつ突進。

体勢も定まらぬ、体格と腕力の差がいかせる段階で正輝は猛攻撃を仕掛け――


「うぉらあっ!」


白夜の顔面に拳を叩き込み、その衝撃で白夜が吹っ飛ぶ。

地面に背中から叩きつけられ、それでも白夜はその勢いを殺されぬままに、土ぼこりをあげながら地面を抉りつつ、10メートル近くは転がる。


「――くっ……うぅっ……」

「――“衝撃インパクト”!」


よろめきながら白夜が立ちあがる間に、両手を広げ抱きよせるように両手を合わせ――大気に干渉し、圧縮。

それを白夜めがけて解放し、強大な衝撃波で白夜もろとも周囲の廃墟ごと薙ぎ払い――。


「くっ……!」

「――すぅーーっ……」


――周囲のビルごと薙ぎ払い、巻き起こる砂煙がそれらを覆い隠すと同時に、正輝は呼吸を整え構えをとる。


「――トランス!」


正輝の意思に呼応するかのように、正義のブレイカーが起動音をあげ、さらなる力を引き出す。


「絶対的正義の名の下に――“徹拳星砕てっけんせいさい”!」


筋肉が通常の2倍もの太さに膨れ上がった右腕に、拳に集中させた“絶対干渉”のエネルギー。


“渾身の一撃”

そう表現するに相応しい一撃が――


「ぐほおっ!!」


ブチ込まれ、そのエネルギーは白夜の肉体を貫通し、その背景を地面ごと破壊。


背後にあったビル群はなぎ倒され、白夜自身もその衝撃に耐えきれず吹き飛ばされ、衝撃で舞い散る廃墟のがれきの舞う中へと吹っ飛ばされ……

そのがれきの中へと、呑まれて行く。


「……我が正義の鉄槌に、打ち砕けぬ物なし!!」


――“勇者”一条宇宙をこの一撃で倒し、美徳の盟主を勝ち取った。


その実績を持った自身の最強ともいえる必殺技であり、更にはこの一撃に確かな手ごたえを感じた事。

それ故に正輝は、確実に仕留めたと確信を持つ事が出来た。


ビキキッ――!!


「っ!?」


それと同時に感じ取った、ひび割れる音。

目を向けた先の、空間のひび割れに気付くと同時に……


ドブッ!!


「ぐふぅっ!!!」


正輝の腹を、大剣が貫いた。


「――ぐっっ……はっ……はっ……」


誰もが見惚れるだろう端整な顔を血に染め、ダメージが身体を蝕みつつ……

白夜は空間の裂け目から、大剣を突きだしていた、。


――背に、天使を思わせる純白の翼、堕天使を思わせる漆黒の翼、悪魔を思わせる蝙蝠の様な羽を展開させながら


「げほぉっ! ぐっ……おおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


血を吐きながらも、自身の腹を貫く大剣を握りしめ、正輝は拳を握りしめ白夜めがけて突きだし――


ガァンっ!!


「!?」


その拳は、悪魔の翼に遮られた。

――地震を引き起こす程の、振動エネルギーを込めた筈なのに、悪魔の羽はびくともしないどころか、白夜にも何の変化も見られない。


「トランスに加え、最大奥義まで発動させて尚、ブレイカーの起動が続いているとは――成程。自身の役目は、理解しているようだな」

「――ただ殺戮を繰り広げるだけだと思ったか? バカが……我の行動原理は、全てが正義の為。正義のブレイカーとの契約在る限り、我は不滅!!」

「結構――そうでなければ、わざわざ出向く価値などない」


背の天使、堕天使、悪魔の3対6翼が羽ばたき、白と黒の競演を成しながら羽が舞い散らせつつ、白夜は手に大剣を握り戦意を示す。


「出向いた事こそが、貴様の命運のつき――それを思い知らせてくれる!!」


構えをとり、一歩踏み出すと同時に大地が揺るがせ――。

その戦意に応えるべく、両腕にエネルギーを集中。


――既に廃墟区画はほぼ完全に姿を変えた中で。


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