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第133話

「――それで、またもや返り討ちにあったと、そう言うのか!!?」

「――そうなりますな」

「そうなりますな、ではない!!」


反契約者思想


契約者社会に真っ向から反対し、契約者の存在を危険視し、その存在を否定する過激派集団。

その中で、最も強い力を持つのが、宗教的な思想を持つ“大地の賛美者”


契約者を悪魔とみなし、大地を神とし――その神への供物として、悪魔の血を捧げる。

故に彼らは、契約者を殺すことにのみ重点を置き、契約者を陥れ、技術を悪用し、攻撃を仕掛け――ただひたすらに、契約者の存在を否定する為に


「何一つ事態は好転してはいないではないか!! このまま仲裁派閥とやらが力を持てば、何もかもが大なしになりかねんのだぞ!?」

「それは……」

「大体なんだ!? 正義を陥れ、追い詰めてみれば傘下1人が豹変し、逆に力を持たせてしまった! 勇気と対立を促そうとすれば、我等の手が入る前に決闘にまで発展した! そしてその対立を煽ろうとした所へ――くそおっ!!」


盟主である男の怒鳴り声が響く。

その周囲の幹部たちも同意なのか、それを止める事等しない。


実際の所、大地の賛美者の活動は成功してはいなかった。

正義に関する事では逆に力を与え、対立を煽ろうにも悉く失敗し――最新技術の奪取も、東城太助のサイボーグ義肢以外は上手くはいかなかった。


そこへ、今回の仲裁派閥の樹立。

政府議会での対立が納まってしまえば、反契約者思想者は動きにくくなる。


「襲撃はどうなってる!? スキャンダルは!?」

「全て、党首の護衛を買って出ている傲慢の系譜に、悉く叩き潰されました」

「傲慢……! またあいつか!! くそぉっ! 大神白夜、バケモノ共の首領めえッ!!」

「続いての襲撃部隊、潜入班の編成も今行っておりますが……」

「急げ! 正義も接触を考えている以上、最早手段は選んではいられん!! 何を犠牲にしてもかまわんから、バケモノ共の対立を促せ!!」



「――醜い物だな」


実際の所、大地の賛美者の繋がりも本拠地も、盟主も全て掴まれていた。

――傲慢の契約者、大神白夜の手によって。


その様子を眺め――嫌悪感に顔を歪める。


「――バケモノとは、どちらがだ? 鏡を見てからモノを言え」


「――! 誰だ今言ったのは!!?」

「わっ、わかりません! 明らかに、今この場に居る者の声では……」


ワザと声を届ける様にし――激昂させた所で、白夜はその場に姿を現した。


「なっ--!」

「――気付かれていないとでも思ったか? バカめ」

「このっ――!」


その場の全員が銃を抜き、白夜を狙い一斉発砲。


「――そんな……!」

「……そんな玩具で、契約者最強の一角を殺せるわけがなかろう。さて――」


ザンッ!!


「ぐあっ!」

「……どうせ貴様らを殺した所で、また別の誰かが後釜に座るだろうが」


ザグっ!!


「ぎゃあっ!」

「折角だ。いらん横槍を入れられる前に、少し大人しくなって貰う」

「こっ、このおっ!!」


ズバッ!!


「ごぽおっ!!?」


ドスっ!!


「ぐふぅっ!!」

「――さて」


返り血を浴びるのを意にも介さず、愛用の大剣を残った盟主に突きつける。

当然の様に血塗れの刀身が、眼の前に突きつけられ――


「ひぃっ!」

「お前達は強者という者を知らなさ過ぎだ――お前達の大好きな弱い者いじめの要領でやれば、無理が生じて当たり前」

「うぅっ! うあわぁあわぁぁああああっ、へひひっ……へひゃあぁあわああぁははっ」

「――なんだ、もう壊れたのか? まあ……」


失禁し、涙を流し――顔から出る物すべてを垂れ流し、泡を吹いて倒れた。

白夜はその姿に嫌悪する事も哀れと思う事もなく――


「それが人である事を忘れし外道――その末路にして、限界だ」


ザグっ!!


大剣の刀身に掌を当てて、そっと刀身にそって手をこする様にし――白夜の掌が、べっとりと鮮血に染まる。


「――邪道もまた、人の道。人である事を忘れない限り、邪道もまた王道となる……そうだろう? 北郷、一条」


口元を歪める笑みを浮かべ――ぎりっとその手を握りしめると同時に、掻き消える様に白夜はその姿を消した。


なんか必殺仕置き人みたいになったな


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