第127話
「……なんか、大変なことになってるみたいだな」
軟禁され、一週間が経過した頃。
それなりに超感覚の思念の扱い方に関しては、慣れてきた修哉はそれなりに余裕が出来、訓練以外では普通の生活程度ならできるようになった。
その際に外の情報が欲しく、監視役の夜叉に頼んで取り寄せて貰った新聞を読むようになり――今に至る
「――何が?」
「外だよ。なんか正義が何かの発表をした途端、大騒ぎになってるみたいじゃないか」
「? その新聞、ちゃんと読んでないの?」
「あんな奴のやる事、見たくもない!!」
「そんな事言ってると、取り返しつかなくなるよ?」
「何……?」
「だって正義が発表したの、自身のやり方を見直す必要が得て来たって事だから」
寧ろさっさと見直せ、と言わんばかりに修哉は毒気づいた。
「はぁっ……バカバカしい」
「だからその新聞、よく見てみたらどです? 多分(ピーッ!)な事言ってられなくなるから」
「……その普通に俗語使うの、やめてくれないか? 耳に痛くてかなわ……ん? ちょっ、なんで発表の撤回を求める運動が!?」
修哉が見た記事には、正義の方針に必要性を掲げる一般人達の更新の場面が、写真として載っているページ。
「そりゃ、秩序の要がこんな発表すれば、面白くないって人も居るよ」
「ふざけやがって……こっちの身にもなってみろよ!」
「――根本的にどっちも変わらないと思うけどね」
「どういう意味だ!?」
「ブチのめさないと納得しないんじゃ、正義が変わったって同じじゃないかな?」
「けどな……!?」
夜叉が眼も覆い隠す程大きなヘッドバンド
それをまくり上げると――修哉は黙り込んだ。
「ま、確かにアンタの気持ちは、文字どおり痛いほどわかるさ」
「……その証明みたいなものか、その眼は? 一体何があったんだよ?」
「大地の賛美者のテロに巻き込まれただけ。その際に目がつぶれて、思念の力に目覚めて今に至る……まあ途中は色々と省くけどね」
「……」
「修哉さんさ、一度自分と正義の方針とで、どこが違うか考えた方がいいよ」
「――ふざけるなよ!」
「知らず知らずのうちに、正義の方針を肯定していたくはないなら――と言えばどう?」
「――! ……ちっ!」
「(ピーっ!)じゃない様で安心した――そうだ。ボスの事だけど」
側近2人はそう呼んではいないが、朝霧裕樹は憤怒の組織内じゃボスと呼ばれてる。
それは修哉も知ってるため、特に言及はしない。
「ユウさんがどうかしたのか?」
「今は時間が取れないけど、とれたらこっち来るって。特例だろうと、ブレイカー譲渡決定権はボスにあるから」
「時間が? うっ……なあ、あれから」
「久遠さんはまだ行方知れずのままだけど、そう言う事じゃないよ。正義の発表を受けて以来、ずっとその変化を確実なものにする為の会議に追われてるって」
「……そうか――光一、生きてるかな?」
「生きてるさ、あの人がそう簡単に死ぬわけがない――それと」
「……久遠さん、生きてるといいな? ――これでいいか?」
「その辺りは、本人に聞いてみてくださいね?」




