第115話
「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
まず金棒を持った、ずんぐり体躯のガラの悪そうな巨人
金棒を両手で振り上げ、光一めがけ振り下ろす。
「うわっ、流石にド迫力!」
自らめがけ振り下ろされる金棒を前に、光一はそんな事をのたまい――
ズーーンッ!
金棒が地面を砕き、陥没させた。
「――なんだあ? もう終わりかよ? ちぇっ、上級系譜っつっても大した事……」
「ないんだなーってか?」
「へ?」
「流石に巨人のパワーはすごいな」
その巨人の握り締める金棒の上――それも、巨人が握り締めている個所に、光一は平然と立っていた。
「こっ、この!」
「えーっと……1億ボルトでいいか」
「え? うっ、うわあっ!!
そう呟き、光一はしゃがんで巨人の手に掌を添え――その掌に、自身の発電能力を展開し、一気に1億ボルト放電。
「あぎゃあがばばばぁあらあああああああああああああああああっ!!」
感電し、それが納まる頃には煙をあげ、その巨人は意識を失い轟音を挙げ倒れ伏した。
「カイルのバカが、だから甘く見るなと言ったんだ! 系譜格の格差はそんな軽い物ではないと言うのに!」
「どうする? クラーク」
「連携で行くぞ。俺がラルフで先行する、グレンは援護だ」
「わかった! 行くぞ!」
クラークと呼ばれた、剣を持つリーダー格の巨人
そして、ラルフと呼ばれた細めの槍使いが、先行し――グレンと呼ばれた斧を持つ筋骨隆々の巨人が、後方で斧を構える。
「――やっぱコイツ以外、油断はしてくれねえか」
光一は金棒から飛び降りて、魔剣カオスと“超電磁砲”式の改造リボルバーを手にとり、それらと相対。
まず、直接的な攻撃力となりえる“超電磁砲”を構え――
「ぬおおっ!」
グレンが両手持ちの斧を、ゴルフクラブの様に振るい、地面をえぐりその破片を弾丸のように飛ばす。
光一は魔剣カオスを振るい、それを豆腐の様に切り裂いていく中――
ヒュンっ! ビっ!
「っと!」
光一が飛び上がったその次の瞬間、槍が光一の立っていた場所に突き立てられ、しの軌道に沿うかのように剣が振るわれ、地面をえぐる。
「……あっぶねー」
その剣の刀身にひっついて、事無きを得た光一が剣で抉れた地面を見て、そう呟く。
「――! この!」
「うわっとと」
先ほどの二の舞にならない様にか、クラークが剣を即座に上に放り投げる。
そしてクラークとラルフが、それぞれ斧と槍を構えて剣めがけて、へし折らんばかりの勢い振るい――
バキンッ!
「なっ!」
突如、斧の柄が“超電磁砲”でへし折られ、光一が突き出される槍の身を任せるかのように直撃を受け――。
「――流石にいってえ」
たフリをし、そのまま宙に舞い天井に叩きつけられ、ある物――火災用スプリンクラーに捕まる。
「げっ!」
「まずい、叩き落とし――」
「遅い」
光一は発電による熱で火災用スプリンクラーを起動させ、だだっ広い室内に雨を降らし、それと同時に――
――一方、その頃
「――どうやら、巨人達はやられたようですね」
「――思ったより早かったな。全く」
「そこまで――“失敗は責める物”等と言っている人に、成長は促せませんよ。新田君」
「――違いない。それは正義の思想その物だ」
そう言って、賢二はコーヒーを飲み一息つき――
「さて、と……少しは、予想を裏切る位はして欲しいのですが」
「――そう簡単ではないからこそ、試練になる、か?」
「ええ。人が言い訳で正義を否定している限り、大罪と美徳の全面戦争も秩序の崩壊も、いつ起こってもおかしくありませんからね」
「確かにそうだが、きついな」
「大切なら、もっと重い物のはずですからね。さて、と……そろそろ準備ですかね」
いきなりですが
光一とぶつかる傲慢の上級系譜
岩崎賢二と新田一馬、どちらとの勝負が見たいですか?
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