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第113話

光一の傲慢脱出

下級系譜格の力量についてあまり触れてなかったので、ここで出そうと思います。

系譜格


最強のブレイカーの模造品である、系譜のブレイカーを使用する者達。

出力は量産品等比較にならず、系譜格以上からの格差は絶対とまでされている程で、この系譜と契約できる事自体が契約者にとって、別世界に存在するも同然――そう言っても過言ではない。


しかしその分、格差もまた絶対的な物となっている。

最強格に系譜格は絶対に勝てない――そして、最強格に最も近い上級系譜格に、ただの系譜格では絶対に勝てない。


最強格1人に付添う上級系譜は、多くて3人。

そして、同じ場に5人以上揃う事などあり得ない――それ位、系譜格の壁は高く険しい。


「ぐああっ!」

「うあっ!」


そして、光一対傲慢系譜格精鋭200名もまた同じ。

既に傲慢側は十数人が横たわり、気を失っている。


「うあっ!」


そしてもう1人、岩石を鎧の様に纏った兵が雷光に貫かれ、倒れ込みーーそれと同時に、バスケットボールサイズの鎖付きの鉄球が2つ襲いかかり、光一はそれを回避。

その鉄球がヨーヨーでも扱う様に、傲慢兵の両手元に戻ると同時にその後ろか2人、ナイフを持って飛びかかる。


光一が迎撃する様に日本刀を抜いて振るうその瞬間、更に2人駆けだし光一の刀の軌道に割り込んで、その2人が両手の猫の手の様なグローブで受け止める。


「――!?」


そのグローブの肉球部分に刃が食い込むと、その威力が完全に吸収されたらしく勢いが完全に殺され、光一は下がろうとするも――

その後ろから手が伸び、刃を掴むと――見る見るうちに刃が腐食し朽ち果て、ボロリと崩れ落ちた。


そこから間髪いれずに、最初に飛びかかったナイフ持ちがナイフを振るい、光一の喉に突き立てられ――パキンとナイフがへし折られた。


バヂバヂバヂバヂっ!


「ぎゃあああああっ!」

「うああああああっ!」


首に炭素効果を施し、そこに更に放電を加えた事で感電して、ナイフ使いが煙を上げてその場に倒れ落ち、すぐさま起き上がり後ろへ飛びのく。

それに合わせるかのように、猫の手の2人も腐食能力者も下がっていた。


「……ふぅっ」


光一は一息つき――改めて表情を引き締め、眼の前の敵達を見据える。


眼の前に上級系譜はいない。

しかし契約者の戦いは、常に未知なる能力との遭遇――単純な使い方しかしない者も居れば、独自の運用方法を突き詰めている者も居る。

眼の前の兵達は明らかに後者で、光一も見た事がない様な運用方法、更にその連携を次々に繰り出してきて、光一を対応に苦しめていた。


上級系譜に下級系譜は絶対に勝てない。

契約者においての定説の1つではあっても、決して油断はできない。


「――せっかく作って貰ったってのに……帰ったらユウにも怒られんな」


朽ちた刃の柄の鞘に納め、魔剣カオスを握りしめ、構える。


『初陣デスナ。感無量デゴザイマス』

「殺すなよ」

『――不本意デスガ、マスターノ命令ナラバ』


余計な色彩は何もない、漆黒の刃。

飾り気のない肉厚の刃で、本来なら光一は両手を添えなければ振るえないだろうが――片手で振るっていた。


「ちっ……一旦退くぞ!」


それを見た、指揮官らしき男が撤退の指示を出し、即座に下がっていく。

その中で――


「どけ。吾輩がやる」

「私もです」

「拙者も――」


殿として出てきたのは3人の剣士風の兵。

ただ、1人は騎士甲冑を着込み騎士剣を握りしめ、1人はレイピアを手にし、1人は日本刀――そのどれもが漆黒に彩られ、どれも普通の武器からはあり得ない雰囲気を醸し出している。


「――魔剣使いが3人もかよ……まさかカオス以外にも、完成品があったなんて」

『チョロイデスゼ。アンナナマクラニ負ケル程ヤワジャアゴザイマセン』

「ああそうかい――じゃあ、お前の力を見せて貰おうか。ただ時間はかけられないがな」

『御任セアレ』


バヂっと音を鳴らし、カオスの刃に稲光を纏わせ――3人と対峙。

そして――


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」



――所変わって


「まずまず――と言ったところでしょうね」

「――だろうな」


その様子をモニタリングしている傲慢の上級系譜達は、冷静に系譜格たちの行動の評価について、意見を交わしていた。


「欲を言えば、今すぐ俺が出たいところだ」

「ダメだと言った筈ですよ。これはあくまで、彼らの頭で考え、実践させないと」

「――それはわかっているがな」

「さて、と……」


賢二はモニターを操作し、光一の進路上にどう残存戦力を配置し、足止めするか――その判断を眺める。


「どれどれ……ふむっ……まあ、及第点の1つ上、位でしょうね」

「どうした?」

「これは少々、面白い流れになるやもしれませんよ?」



――所変わって


「うあっ!」


最後の1人が斬り伏せられ、横たわる。

念の為に3本の魔剣を破壊し、破片も残さずその場を後にした。


「――良い剣だ」

『恐悦至極ニゴザイマス』

「さて――」


光一は先ほどインストールした見取り図を見て、どう進むかを考える。

この先には、不自然に大きな部屋が設置されている――内容が一切表示されないと言う事は、守護する部屋主が配備されている可能性が高い。


増して、撤退を許した以上準備する時間は存在するのだ。


「……行くしかないか」


そう呟き、問題の部屋に辿り着き――ゆっくりと扉を開く。


「なっ、なんだあっ!?」


そこは、床から壁、天井に至るまで、全てが鏡で埋め尽くされ、迷路の様な構造になっている大部屋だった。

さらに大量の光を反射させているのか、非常にまぶしく光一も顔をしかめながら一歩踏み込み――


バタンっ!


それと同時に、ドアが閉まった。


『ようこそ、“光鏡の迷宮”へ』

『ようこそ、傲慢が織りなす幻想の空間へ』


そして、女性の声が2人分響く。


『さあ、鏡と』

『光の共演を』

『『是非お楽しみください』』


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