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第112話

「……ここどこだ?」


幾何学的な文様広がる空間から抜け出た先――そこは、何かの施設の様な場所だった。


『ゴ心配ナク、元ノ世界デアル事ハ確カデス』

「あれ? どうした、随分と素直だな?」

『白夜様ヨリ、誰ダロウト打チ負ケタナラ、ソノ者ニ従エト命令サレテオリマシタ。ヨロシクオ願イシマス。マスター久遠様』


魔剣カオスを手にし、自身の肉体の支配権をかけた争いに勝利。

その途端に、光一は突如空間の歪みに飲み込まれ――今に至る。


「――と言う事は、お前に勝つか肉体を奪われるかすれば、自動的にここに出る様に仕組まれてたかなんかかな?」

『エエ。元々白夜様ハ、アノ空間ニ他ノ誰カヲ引キ込ム事等アリマセンノデ』

「お前の宿主の選定のつもり、が半分ってとこ――あれ? って事はここって……」


ビーっ! ビーっ!


『B-5区画において侵入者発見! B-5区画において侵入者発見! 総員、直ちに――』


「傲慢のナワバリかよ!? ――出口はどこかわかるか?」

『申シ訳アリマセン。私モココニ来ルノハ初メテデシテ』

「ああそうかい」


警報が鳴り響き、光一はカオスを抜き身のままベルトに引っ掛け、そこらのコンテナに身を隠す。


「居たか!?」

「いや、だがまだ近くに居る筈だ! 探せ!」


警報が鳴ってから程なくして、傲慢の兵達が到着。

警戒しながら武器を手に、能力を展開し、周囲を見回し警戒する。


「――流石は傲慢、対応が早すぎるぞおい」


事情はどうあれ、上級系譜が他の大罪のナワバリで暴れたとなれば、後々に響く。

光一が考えているのは、如何に互いに無傷でこの場を脱するか。


「――せめて、見取り図か何かが欲しいな。そうすれば……」


ヴィーっ! ヴィーっ!


「――! はい……! 了解! おい、戻るぞ」

「え? なんで、侵入者は!?」

「こっちが優先だそうだ」

「――? わかった」


突如、捜索していた傲慢の兵達が、駆け足でその場を離れて行く。

――その内の1人が、携帯端末をその場に投げ捨てて。


「――?」


その場から人が居なくなると、光一はゆっくりとその携帯端末を手にし――操作する。


「おいおい、ウチで使ってるのより高性能じゃねえか。アキが見たら喜びそうだけど……まあいい、見取り図は――あった」


自身の携帯端末を取り出し、そのデータを転送し――拾った端末を投げ捨てる。


「――どうせ罠だろ? まあ俺にはそれに乗るしかねえから、乗ってやるよ」


そう言って、その場を後にした。



――所変わって。


「――まあ気付いてくれなくては、面白みも何もありませんからね」


その様子は監視カメラで捉えられており、その先――管制室で、岩崎賢二がにっこりと笑みを浮かべ、その様子を伺っていた。

ゆっくりと携帯端末を取り出し――


「侵入者への対応ですが、分隊長以下出陣不要。部隊長クラス以上、系譜格精鋭200名による包囲網を敷きます。それ以外の人員は全て、システムにロックを掛けた上で速やかに退去し、僕の指示を待つように――繰り返します。分隊長以下の人員は、直ちにシステムにロックを掛けた上で退去し、指示を待つように」


そう告げると、にっと笑みを浮かべ――その雰囲気を冷たい物へと変えて行く。


「なんだ? 随分と悠長な対応だな」


その様子を見ていた新田一馬が、しかめっ面で問いかける。


「まあいいじゃありませんか。折角の上級系譜相手なのですから、有効活用はしなければ」

「それより、俺達が出た方が早い気がするがな」

「いつも僕達が居るとは限らないんですよ。それに今の系譜格たちが、上級系譜相手にどこまでやれるか――それも把握しておかないと」

「そう言う事なら、まあ良いだろう。それならば――」


ボキリと拳を鳴らし、笑みを浮かべ立ち去ろうとする新田に――


「待ってください。指揮は僕が執っているのですから、彼と戦うのは僕の役目ですよ」

「おいおい、お前は指揮に専念していろ。俺の出番位あっても良いだろう」

「やれやれ……ならば」


そう言って取り出した、意見が違えた際に決定権をどちらにあるかを決める為、使用するコインを指ではじき、弧を描いたその頂点に達したその瞬間――。


「表」

「裏です」


そう告げ、コインは床に落ちて金属音を鳴らしながら転がり――。



――所変わって。


「――とりあえず、連絡はしたいな。あれから3週間もたってるみたいだから、ユウとひばりに心配かけてるだろうし、修哉たちにナワバリがどうなったかも気になるし、とにかく今は情報がほしい」

『ソンナ悠長ニシテル場合デハナサソウデスヨ?』

「――言ってみただけだよ」


通路を掛ける光一の前に現れた、傲慢の兵。

ただし先ほどの様な一般兵ではなく、明らかに系譜格でも名の通った実力者で、1人として見覚えのない者はいなかった。


「連携を意識しろ! 相手は上級系譜、まともにぶつかっては勝てんぞ!」

「「「おぉーっ!!」」」


「――こりゃ、何事もなくはもう無理か」

『ワカッテイタ事デショウ?』

「仕方ない――ひばりに怒られる覚悟も決めとくか」

『マスターノ奥サンデスカ?』

「違うわアホ」


そうこうしている間に、傲慢の兵達の中から狼の毛皮を被った兵と、雷光を両手両足に纏わせた兵が先制攻撃を仕掛け――


ザンッ!


「うあっ!」

「ぐあっ!」


元々持っていた、ユウに鍛えて貰った刀を一振りで迎撃。

しかしそれを持ち答え、一歩下がる。


「――こりゃ手こずりそうだな」

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