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閑話 その頃の天城修哉

真っ暗な室内。

そう表現するほかない場所に、修哉はぽつんと座っていた。


あれから保護されてからは良い。

ただし、他の三人が普通に保護されたのに対し、自分はここで監禁状態。

無論抗議の声も上げたし上がったが、そもそも一般人と契約者の力の差は大きい上に、能力次第で無傷で黙らせる事も決して難しくはなく――。


気が付いたら、ここに座っていたと言う方が正しかった。


「……ごちそうさま」


それでも正直、助かった部分もあった。

いつも以上にまぶしく、いつも以上に聞こえ、いつも以上に匂い、いつも以上に人の気配が感じる状態では、まともに日常生活が出来る自信はなかった。

恐らく味覚もいつも以上に研ぎ澄まされてるだろうから、普通の食事もできないだろう事は理解していただけに、普通なら薄味すぎるだろう食事も普通に味わって食べられた。


「それじゃ、お皿下げるね?」


――ただ、眼の前に居る監視役だろう、明らかに自分より年下の男の子。

これだけは、どうにも慣れる気がしなかった。


所々に、白い線で眼を描いた黒いゴシック系の服。

眼を覆い隠す程、大きめの黒のヘッドバンドーーそれも顔の前面に当たる部分に、白い眼の刺繍のつけられた物をつけ、掌にも白で眼のタトゥーを施している。


その姿の異様さもさることながら、掌のタトゥー、ヘッドバンド、服に描かれている眼を介して見られている感覚がして、どうにも落ちつかなかった。


「格好については、文句は言わないで欲しいね」

「……良いよ別に。奇妙な格好してる奴=契約者の図式なんて、もう慣れてるから。能力と何か関係あるんだろ?」


――自分が食べた分の食器の片づけをし、壁に向かって歩いて、コンコンとノックする。

そこが開き、開いた壁に食器を置いて、閉める。

眼を覆い隠していると言うのに、見えるようにふるまっている事は、契約者だからと納得するしかなかった。


「で、ちょっと聞きたいんだけどさ」

「何?」

「俺、これからどうなるんだ?」


そこが修哉は気がかりだった。

自分の身に起こった事を、ユウも対峙していた大罪格の男も知っている様だったが、具体的な事は何も聞けず今に至っている。


「簡単に言えば、政府特例項目の適用で、あんたの身柄は家族共に憤怒で預かる事になる」

「――! 父さんも!?」

「心配しなくても、ただ今の家は引き払って貰って、こちらの用意した住居に引越して貰うだけだよ。ただし、行動に制限は着くけどね」

「ちょっと待った! なんでそんな……」

「あんたが超感覚の思念に目覚めたからだよ」


超感覚の思念――そう言われて、修哉はふと思い出した。

2人は今の状態を、そう呼んでいた事を。


「何なんだよそれ?」

「簡単に言えば、ブレイカーを介さない本物の超能力だよ。あんたが今目覚めさせたのはその1つ、超感覚の思念――人が持ってる五感を、最大限に研ぎ澄ませる思念さ」

「なんでそれで!?」

「ブレイカーでこの騒ぎだから、だよ」

「…………否定は、出来ないな」

「だから、その力を隠す為と偶発的に目覚めさせた人の保護の為の措置が、コレな訳。理解して貰えた?」


修哉は頷いて――ふと、自分はどうなるかについてが気になった。


「――で、俺はどうなるの?」

「一生この中」

「な!?」

「――か、一応憤怒の組織に入って貰って、その力を有効活用して貰うか、かな?」

「脅かすなよ! ――って、ブレイカーを?」

「うん。極秘事項に該当する事だから、口外しないって制約はつけるけど――」


修哉は頷いた。


「上級系譜格以上は、皆この“思念”の力を全て、一部の下級系譜も幾つかを使いこなしてるからね」

「え? 上級以上は皆って……って、幾つかに全てって、他にもあるの?」

「うん。ただ、系譜格を上級と下級に分け隔てる壁足る要素だから、そう簡単には使いこなせないし、日常生活に支障がないまでに使いこなせるまで、ブレイカーは支給されないけどね」

「うっ……」


ブレイカーの支給――それを聞いた途端、光一が串刺しにされた光景が頭をよぎる。


「――怖い?」

「だっ、誰が!?」

「いやいや、気にしなくていいよ。今まで見る限りでも、怖がるか喜ぶかのどっちかしかなかったからね。まあ喜ぶ奴は大抵、満たされて当然なんて、(ピーーッ!)を(ピーーっ!)からじゃなくて(ピーーっ!)から出す(ピーーっ!)野郎な可能性高いから、正直こっちは安心」

「…………(唖然)」

「だから、多少怖がる程度がちょうどいいよ。別に怖がったからって、(ピーーっ!)が(ピーーっ!)た(ピーーっ!)野郎だなんて思わないから。それにボクは血の匂いが大嫌いだから、そんな(ピーーっ!)だったら……ん? どうかした?」


急な過激すぎるキャラ設定の開示に、修哉は唖然とし――はっと我に帰る。


「…………君、年幾つ?」

「? 12だけど? ――ああっ、敬語使うべきでしたね。ごめんなさい」

「いや、そこじゃないそこじゃない! それよりももっと重大な事が――ええっと」

「ああっ、自己紹介まだでしたね? ボクは桐生きりゅう夜叉やしゃ、この前“殺意”のブレイカーを貰った、なり立ての系譜格」

「えっと、俺は……天城修哉だ」

「よろしく。さて――何か不調とかあります? ボクも一応超感覚の思念は使えるんで、対応は出来ますよ」

「あっ、ああ。よろしく」


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