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第105話

いきなりですが、本編です。

今回は間違いなく、ほぼ全員が驚くと思います。

「そもそも、お前はどうして北郷の肩を持つ?」


ユウは白夜に問いかけ――ハァッと白夜はため息をつく。


「問題があるのは寧ろ人の方だろう? 正直な話、私の信念に反する事ではあるが――怯えて震えている者の方が、まだ綺麗に見える」

「――何もするな、と言うんですか?」

「その方がまだ良いかもしれんぞ? ――正直な話、今の人は危機感がなさ過ぎれば、現実を舐め過ぎている。本当に苦しんでいる様には見えん」

「でも、本当に苦しんでいる人だって――」

「――本当に苦しんでいるのなら、正義はそうならずに済んだやもしれない……そう言ってもか?」

「――え?」


白夜が剣を手放し、構えを解く。


「……気が変わった。今教えてやる」


――くだらない楽観論など聞かせるなよ。



――第三次世界大戦が終結し、2年後。

新政権の樹立と共に、契約者という新たな力を手に入れた人は、瞬く間に文明を修復し、これまで類を見ない程に急速に新たな文化、技術の開発を手掛けて行くようになる。


契約者社会の始まり。

それにより、人々はブレイカーを手に新たな未来へ想いを寄せて行く。


「……ってえええええええええええええええっ!!」


場は、正義のナワバリ。

契約者の始祖にして、最強である14人の子供達――それらが率いる組織が、まだ小さな小組織だった頃。


「うるさいよ。もっと静かに」

「だったらもっと優しくやれヤブ医者!!」

「誰がヤブだ! 正義の味方ならケガで泣き叫ぶな!!」


正義の傘下契約者、中原大輔

まだ人の命を尊び、純粋に正義の味方を目指していた頃の――正義で最も過激思想を持つ前の“一徹”の契約者、椎名九十九。


そんな彼のケガを治療しているのは、後の正義の鉄槌鍛冶と呼ばれる、東城太助。

悲劇に見舞われた後に、医者の道を志し――子供ながらに契約者としての能力をフルに使用して、医者の卵として日々勉強と治療、そして研究に勤しんでいた。


「これでよしっと……全く、無茶し過ぎだよ。火事のビルの中に突っ込むだなんて」

「でも中に人がいたんだから、ほっとける訳ないだろ」

「まあ確かに、おかげで取り残されてた人達は無事だったけどさ……」

「それで十分だよ。俺は正義の味方なんだから、人の命を守れる事が俺の誇りだ」

「調子に乗るな」


そう言ってあきれ顔で注意するのは、正義の契約者、北郷正輝。


「あっ、北郷さん」

「聞いたぞ――全く、意気込みは買うが無茶し過ぎだ」

「――はい。すみません」

「でも、よくやった――だが次はもっと冷静に事を進めろ」

「……わかり、ました」


そう言って、ケガをしていない頭を乱暴に掻き撫でる。


「大丈夫かな? 大輔君」

「お疲れ様です、林さん」

「君の正義漢の強さはすごいと認めるけど、あまり無茶はしないでね。人死にを出したりしたら、私の首が飛んでしまう」

「……はーい」

「よろしい、じゃあお見舞いにドーナツ買ってきたから」


この頃、頂点達はまだ子供で、一組織を纏めるには経験不足。

その為に、政府から組織の運営と契約者となった子供達の教育の為の、首相直々の人選による補佐官が派遣されていた。


正義の補佐官、林康平――後の政府における、正義支持派閥の筆頭。


「それと、朗報だよ」

「え?」

「中原大輔、お前に系譜のブレイカーを与える――契約条件は“一徹”。今日からお前は、上位契約者だ」

「これからも、君の働きには期待するよ。頑張ってくれ」

「――! あっ、ありがとうございます!」


「大輔君」


次に入ってきたのは――


「あっ、こんにちはおじさん、おばさん」

「大丈夫かい? すまなかったね、私らの所為でこんな事になってしまって」

「ううん、俺は正義の味方だから。みんなが無事ならそれで十分だよ」

「いや~、感心感心。こんな小さいのに、もう俺たちみたいな大人を守れるんだもんな」

「ホントに。感謝してもし足りないよ」

「良いよ、礼なんて。俺は正義の味方なんだから、皆が喜んでくれるだけで十分だよ」

「流石は大輔君だ。ウチのバカ息子も見習ってほしいよ」


今回の大輔の功績で救われた人達。

見舞いの品を持参し、口ぐちに礼を言い――そして、笑い合う。


「そうだ、東城君」

「はい?」


そんな中、林補佐官が太助に笑いかけ――


「おめでとう。君が構築したサイボーグ義肢理論、採用が決定したよ」

「! 本当ですか!?」

「ああ、まだまだ荒削りではあるけど、これまでの義肢技術を一新させる物だからね。早速サイボーグ義肢開発の協力要請が来てるよ」

「――はい、喜んで!」

「頑張ってくれ。私も応援するし、バックアップには全力を尽くすよ」

「ありがとうございます……僕にも、人は救えるんだ」

「やったな太助! 俺、お前なら出来るって信じてたよ!」

「うん! ――ありがとう、大輔」


この時は、まだ噛み合っていた……しかしそれは、唐突に終わりを迎える。


「ぁっ、がっ……ぅっ……ぁっ……ぁぁあぁあっぁあああああああああああああっ!!!」


大地の賛美者による、サイボーグテロ。

それにより世はサイボーグ義肢装着者を忌み嫌い、サイボーグ狩りが行われ――


東城太助の嘆きを皮切りに、正義は過酷な運命を余儀なくされて行くこととなる。


短編で結構書きたい物が出来てきました

折角エムぺ登録した事ですし、あっちでも大罪と美徳のコラボ短編とか掲載しようかなと考えてます。


エムぺでも使用しても良いかどうかの確認してからですが。

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