季節企画話 『花見(5)』
「……こうなると、何かせん訳にはいかんな」
そう言って、手をこすりあわせ――御影凪は、数体のデフォルメ凪を模した思念獣を数体造り出す。
思念獣達はそれぞれ、三味線や琴など、和風の楽器を手に演奏し始めた。
「へえっ、良い仕事するな」
「流石は凪だ」
演奏し終えたユウと宇宙が、凪を称賛し――
「お疲れ様。はい、ウーロン茶で良い?」
「ああっ、ありがとうアスカ」
「良い演奏でした。どうぞこちらを」
「おっ、ありがたいな。サンキュ」
席に戻ると、宇宙はアスカに、ユウは怜奈に飲み物を注いで貰う。
「おーおーっ、羨ましーねー」
「……(そんな軽さで女にもてる訳ない)」
「お前みてえなヒステリックチビに言われたかねえよ」
「……(殺す!)」
「いい加減にしなさい2人とも!!」
そんな光景を見て、シバと詠がケンカ腰になり、またも月に叱られた。
「――やれやれ、騒がしいな」
その様子を見て、呟くように――自らも思念獣を作りだし、それらがせっせと紙コップを抱えて飲み物を注ぎ、それぞれに渡す。
「――どういうつもりだよ?」
「別に遊びの行事で遊びの要素をもつ位よかろう?」
「……気味悪いな」
「自覚はある」
そんなやりとりを白夜とシバがしている間に――
「では次は、僭越ながらワタクシが」
「日本舞踊?」
「はい」
怜奈が扇子を手に、凪の思念獣達の演奏に合わせ、ゆっくりと舞い始める。




