季節企画話 『花見(4)』
花見といえば、何がありましたかね
そのあたりリクエストしてくれると助かります。
「じゃあ俺からでいいか?」
そう言って前に出たのは、憤怒の契約者、朝霧裕樹。
その手にはハーモニカが握られており、ゆっくりと口をつけ――
「ちょっと待った。俺も混ざるよ」
いざ演奏、という所で宇宙が隣に立って、オカリナを取りだす。
「オカリナ?」
「――妹からのプレゼント。綾香に鷹久と一緒に選んだって」
「俺のは裕香が、ひばりにアキと――多分ひばりがメインだろうけど、一緒にって」
「お互い、持つべきは可愛い妹と面倒見がいい部下か」
「だな――んじゃ、共演と行きますか」
「そうだな」
特に申し合わせがあった訳でもないと言うのに、2人はほぼ同時に演奏を始め――
「さ~く~ら~……か。良い物だな」
「全くだよ」
「まずは場の雰囲気に合わせて、というのもあるが、2人の演奏もまた良い」
凪、昴、王牙の三人を始め――
「へえっ、上手だねユウ君に宇宙君」
「ええ。聞き惚れてしまいそうです」
「本当。意外は失礼だけど、良い出し物持ってるじゃない」
「……(コクッ)」
その音色は女性陣にも好評で、アスカ、怜奈、月、詠の4人は聞き入っていた。
「良い趣味してんじゃねえか」
「ですねえ。野外の食事のBGMとしては最適です」
「めんどくせえ――どうでもいいけど、我夢喰い過ぎ」
「あっ! テメエ!!」
『しーーっ!』
シバ、我夢、公人からも好評――というより、喰い過ぎた我夢への叱咤で総スカン。
「……良い物だな」
その様子を、北郷が少々複雑な笑みを浮かべながら眺め――
「……やって良かったかもしれないわね」
その様子を眺めながら、首相は柔らかな笑みを浮かべる。
「貴方はそんな楽観的ではいけないでしょう? ――どうぞ」
「そうね――ありがとう」
お酌をするには、あまりにも愛想がなさすぎる態度ではあったが、首相自身も白夜が愛想のいい顔をする事等、見た事もなければ想像もできない為、何も言わない。
「申し訳ありません。こういう事は苦手なので」
「良いのよ――それより、楽しんでる?」
「ええ。この宴の意味云々を差し引いても、たまにはこういう事も悪くはありません」
「……そう」
「もっと堂々となさってください。“頑張れば何とかなる”の何とかが、何の意味も根拠もないようでは、意味はないのです」
「――しっかりと覚えておくわ」




