季節企画話 『花見』
他のキャラも見たい、もっとほのぼのにしろ。
と苦情があったのと、自分も最近不調気味なので気分転換に
という事で、ちょっと最強格全員参加ノ企画物。
それも季節感でやってみました。
シチュエーション次第で、コラボで借りてるキャラも出しますので。
「ごめんなさいね、態々集まって貰って」
世において、契約者社会の母とも呼ばれる政府首相、井上弥生。
その眼前には、正と負の契約者の頂点に立つ14人――通称、美徳と大罪が勢ぞろい。
「それで、ご用件は何でしょう?」
大罪の1人、傲慢の契約者、大神白夜が代表して首相に問いかける。
「ここに集まって貰ったのは――これより皆さんに、お花見をして貰います」
『……はい?』
白夜を除いたほぼ全員が唖然とした。
今居る場は、確かに桜の木が満開となっており、自分たちの近くには料理が詰められているだろう重箱や、飲み物入りのペットボトル。
そしてカラオケセットや楽器など、様々な物が用意されていた。
「お花見、ですか。何故また急に?」
「椎名九十九君の一件以来、考えていた事よ」
(コラボ作品第64話参照)
「私達に足りない物、必要な物とは何か――それはね、理解と許す事だと考えたの」
「許す、ですか」
「ええ。もう一般人にしても契約者にしても、もうどちらも傷ついていれば失いもし、傷つけもしていれば失わせてもいる。そんなこと定義した所で、無駄に血が流れるだけ」
「我が言うのもなんですが、そんな事を言った所で簡単に出来る事ではないでしょう」
その会話に入ったのは、正義の契約者、北郷正輝。
「だから私達で示すの。許す事が出来ると言う事をね」
「……成程」
「ええ。私達で許すと言う選択肢の存在を確立させる――その範となって貰う為に、皆をここに呼んだの」
「確かに、最強格である我等がやる事には意味があるかもしれませんが――」
「成長とは何か――それは人の範となって、初めて意味のある物でしょう? ……ただ、賛成するかどうかは貴方達に委ねます。これは多数決ではなく、満場一致で決める物とします」
正輝を正面から見据えたうえで、首相はそう言い放つ。
「そう言う事なら、俺は賛成です」
「なら、俺もだな」
まず名乗り出たのは、勇気の契約者、一条宇宙。
そして、憤怒の契約者、朝霧裕樹。
「はいはーい! ボクも賛成だよー」
「あの、ワタクシもです」
「じゃあ、私もしようかな?」
それに続くのは、友情の契約者、アスカ・ホークアイ。
慈愛の契約者、水鏡怜奈。
そして、色欲の契約者、花柳月。
「――まあそう言う事なら、反対する理由はねえけどよ」
「少々不安は残りますね。果たしてこの試みが一体何を齎すのか」
「…………(コクッ)」
強欲の契約者、武田シバ。
暴食の契約者、明治我夢。
嫉妬の契約者、陽炎詠
この3人は少々難色を示していた。
「反対はしない――しかし」
「まあ、僕達の盟主は北郷さんだからね。まずは彼の決断次第、かな?」
「そうだな」
誠実の契約者、御影凪。
知識の契約者、天草昴
希望の契約者、鳴神王牙。
彼らもまた、基本的に反対はしないが、それでも難色自体は示している。
「……めんどくせえ」
怠惰の契約者、荒川公人。
彼は変わらずマイペースに、ぼーっとしていた――というより、並べられているご馳走に目を向けていた。
「まあ良いだろう、北郷」
「大神?」
「“気に入らない”で“殺す”はあっても“死ぬ”はない。お前のやっている事が先走っているだけなのか、生命の概念が言い訳に成り下がっているのか、経過がどうあれその証明にはなる」
「……そんな証明、欲しくもないな」
北郷は白夜からそっぽを向き――はあっと息を吐き出す。
「――ここでのみ、で良いのなら」
「それで良いわ。大神君は?」
「範となる事――それが貴女の決めた事ならば、異論はありません」
北郷正輝、大神白夜の賛同。
それもあってか――
「――ま、何もしねえよりマシか」
「ですね。それをどうとるかは人次第ですが」
「…………(コク)」
「――めんどくせえ。めんどくせーけどさんせーすっかー」
満場一致確定。
「――それじゃ、始めましょうか。さあさあ、皆シートに座って、コップを取って飲み物注ぎなさい」




