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第101話

さて、温泉話を予定してたのですが、こちらが先に書き上がったので、先に出しました。

一応、公募作を経て得たと思う物を生かしてみたのですが、いかがでしょ


それと、リクエストくれたレフェルさん、大変申し訳ありません。

次はちゃんと書きますので


「お前にしては随分と饒舌だな。態々説教しに来たのかよ?」

「人しか敵と見れん弱虫姿勢を見せるから、やらんでいい説教をやっているんだ」

「……人しか敵に、ね――確かに、宇宙の味方になるならやっちゃいけない事だ」

「わかっているなら引き下がれ。勝手な都合で一条の願いをゴミにする事は、お前とて本意ではあるまい?」


ユウが六連の2本を構え、白夜に突進する様に剣を振るい、白夜がそれを受け止め、ぎりぎりと剣が刃をこする音が鳴り、2人は押し合う。


「はいそうですかと現実に尻尾振ったら、それこそ意味ねえだろ」

「それで、お前達の抱く未来はなんだ? ――ナワバリの住民の要望通り、北郷に全ての責任を押し付け、殺す事か? ……まさに、歴史は繰り返される、だな」

「そんな事はしません! ――あたし達は、そんな事の為に今日まで戦ってきた訳でも、生きてきた訳でもありません」

「ならば言ってみろ。お前達の願う物はなんだ?」

「みんなの笑顔の為です」


2人は同時に後ろへと飛び、距離を取ると白夜が腕を降ろし、ひばりに向け冷たい視線を向けつつ問いかける。


「それに命を懸けられるのか?」

「懸けられます」

「――北郷の方針をなくてはならん物にした時点で、それはゴミでしかない物だ」

「なら、もう一度取り戻せばいいだけです――その為にも、教えて貰いますよ。正義が何故今の形に至ったのか」

「必要なのは人を守る事ではなく、悪を殺す事――正しさとはそう言う物だと、突きつけられたからだ」


ひばりの言葉に応える様に、白夜はそう言い放った。


「――他人が生きる事その物が勝手な都合。そんな道理をまかり通した結果だ」

「……生きる事その物が勝手な都合って、そんな事!」

「大抵の人間にとって、自分が受け入れられない存在など人ではない。それに、北郷の様な強硬策を支持し、それに反発して殺し合う――歴史でも何度もあった筈だ」

「その歴史でわかり合えると言う選択肢は、なかった訳じゃありません。それに歴史は繰り返す物じゃなくて、学ぶ物の筈です!」


そう言った所で、ひばりの頭にユウの手がポンポンと乗せられ、ひばりが嫌がる様に払いのけると、ユウはその払いのけられた手を自身の首にまわされてるひばりの手に添える。


「それに、ごちゃごちゃおしゃべりした所で、根本的な意思は変わらねえぜ。まあ意見は参考にさせて貰うがな」

「意思を貫く事と現実から逃げる事は違う。現実を見る事を拒む限り、北郷を否定する権利はなければ、何1つ変わりはせん――という事位はわかっているか」


そう呟くと、白夜は握っていた剣を手放し――その剣は砕けるかのように消え去った。


「ならばお前達には、少々地獄を見て貰うとするか……私のもう1つの最強をもってな」


大罪、美徳格は、ブレイカーの能力において必ずそのカテゴリで最強を誇る。

その他にも、個人的な技能や能力――自分だけの絶対とも言えるオンリーワンの才能を持っている。


例えば、朝霧裕樹が最強の炎熱能力者であり、剣戟においては最強を誇る。

一条宇宙が最強の風力能力者であり、空中戦では無敵と言う風に。


「ひばり、しっかりつかまってろよ。そして、お前も気を抜くな」

「……はい」


ひばりはユウにしがみつく手足に力を入れつつ、極力自分の気配を出さない様に、静かに呼吸をゆっくりと沈めて行く。

それを確認したユウは六連を納め、打刀“焔群”で居合の構えを取る。


白夜の言い方からして、恐らく白夜自身の才能である可能性が高い以上、どんな才能で来ようとも、ユウの居合なら反応して斬る事は出来る

そして超感覚の思念を展開した上で、更に五感を極限まで研ぎ澄ませた状態となった今のユウは、昴のレーザーだろうと対応できる反応速度をもって、居合斬りを繰り出せる。


「成程、手強いな……いつもの私であればな」


そう呟き、白夜は駆けだす。


「「――え?」」


その白夜の駆ける姿を見て、2人は一瞬目を疑った。

その姿に、何故か勇気の契約者、一条宇宙の身のこなしが自然に連想してしまったが故に。


「くっ……!」


そうしている間にも距離を詰めた白夜を察知したユウは、即座に気を取り直し迎撃態勢を取り――間合いに入ったと同時に、居合斬り。


ヒュンっ!


「――遅い」

「なっ……!」


その居合斬りは空を斬り、白夜は間合いを詰め――


「はあっ!!」


白夜としては珍しい、気合を込めた掛け声とともに……


「かはっ……ん……だと……!?」


ユウの鳩尾に、渾身の拳――それもユウの眼には、正義の契約者、北郷正輝の一撃を繰り出す姿が、先ほどと同じように自然に連想してしまう程の一撃が叩き込まれ、ユウはひばりを下敷きに背から地面に倒れ込み、その勢いのままに一回転。


「グッ……げほっ!」

「だっ、大丈夫ですか!?」

「ぶっ! ……大丈夫、だ」


こみ上げてきた物を吐きだし、ユウはゆっくりと立ち上がり白夜と対峙。


「一条の身のこなしと、北郷の拳打……? それに、俺の居合を……まさか」

「気付いたか――そうだ。私はいかなる攻撃だろうと見切れる“最強の眼”を持っている」

「……だとしたら、北郷の拳打と一条の身のこなしは、その最強の眼で」

「そうだ。流石に北郷の剛性、一条の敏捷性を併せ持つ事など不可能だが、私自身が万能型――その上で、私のスペックで再現可能な物にした」

「確かに驚きはしたが、威力は北郷に劣るしスピードも宇宙程じゃない……なら」


タンっ……タンっ……


「――! あれは……!?」

「甘く見るな――たかがその程度で、最強を名乗る訳があるか」


白夜がゆっくりと体を揺らし、ステップを踏み――ゆっくりと輪郭がぶれ始め、十重二十重に分かれて行く。


「そんな……綾香ちゃんの、“幻想舞踏ミラージュステップ”!?」

「ブレイカーで手に入れた能力は、オンリーワンではない――同じ“瞬間移動テレポート”ならば、私に出来ない道理はない」

「けどマジかよ!? ブレイカーの能力は、能力の使い方と比率が少しでもぶれれば、全くの別もんになるってのに」

「だから“最強の眼”だ――ボサッとするな」


白夜の幻影が数体ユウに向けて駆けだし、ユウは六連を抜いて2体に振るうと、ふわっとつむじ風のように回避し、足払い。

両脚を払われ体勢を崩した所で、ユウの顔面めがけて正拳突きが、胴めがけて回し蹴りが、それぞれ北郷と一条を連想させる動きでくりだされ、叩き込まれた。


「うっ……くぅっ……」

「だっ、大丈夫ですか? ユウさん?」

「大丈夫ですかはお前だ、ひばり。お前こそ、ケガはないか?」

「あたしは、大丈夫です。直撃された訳じゃないので……」

「そうか……悪い、お前は離れててくれ。流石に、守りながらやれる相手じゃない」


ひばりはユウにそう言われると、白夜の方に目を向ける。

その視線を受けてなお、白夜はその鉄仮面の様な表情を崩す事もせず、何1つ感情も感慨も込められていない視線を、ユウに向けるのみ。


「――いえ、あたしも戦います」

「バカ言うな。系譜じゃ大罪には……」

「何かが掴めそうなんです――大神さんの力に、あたしが今必要な何かがある……そんな気がする。だから」

「……そう、感じたのか?」

「はい……あたしは大じょきゃっ!」


言い終わらないうちに、ひばりはユウに抱きかかえられ、無理やりおんぶの体制にして再び白夜と対峙する。


「ならそれを掴む事に専念しろ」

「でも……」

「命令だ――専念しろ。やれるだろ? 悲愴の契約者、支倉ひばり。俺の左腕なら」

「……はい」


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