表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/171

閑話 正義派閥、美徳3人の憂鬱(3)

「それで僕の所へ、ですか?」


場所は、東城太助の研究室。

ケガの治癒も終え、いざ研究再開――という所へ、昴達は訪問。


「正義派閥の意見も欲しくなったからね」

「強硬派閥には、他の美徳にも否定的な者が多い以上、話が通じる東城先生が適任だ」

「ワシも同感だ」


正直研究しようと意気込んでた所への訪問なので、あまりいい気はしなかった。

しかし、他ならぬ美徳の面々からの頼みとなれば、絶対に無碍にはできない太助は二つ返事で了承。


「一応公式の場ではない以上、普通の言葉で良いかな?」

「構わないよ、君は僕達と同い年だからね。ただ――これは話し合いという事を意識し、理解し合う事を前提としたまえ」

「ん、わかった――じゃあまずは、そちらの成長と限界の意味を聞かせてもらえない?」

「良いよ。ありきたりではあるけど、基本的にはまず目標を定め、そこへ向かい邁進する事かな?」

「無論、その際に生じる障害、現実にどう対応するかも重要だ」

「――運命とは常に唐突な物。だが運命に翻弄されるばかりでは、成長など出来んからな」


太助は成程ね、と言わんばかりに頷きながら――ハァッとため息をつく。


「? 何故ため息だ?」」

「いや、別にあんた達に呆れてる訳じゃない」

「君には君の思う所があったと言う事かい? ……一先ずはその事はいい。それで君は、何を持って人を限界と評しているのかな?」

「――成長自体が悪い事だからだ」


吐き捨てる様な言い方に、3人は少々怪訝に思うも――昴が2人に目配せをし、メガネに指を当て位置を直す。


「成長自体が、かい?」

「ええ。あんた達の言う事を間違いだなんて思わないけど、人に成長なんて出来ないしする必要もない――いや、あっちゃいけないと、僕達はそう思ってますから」

「何故出来もしなければ、する必要があってはならないと思っている?」

「――その前に、僕も聞かせて貰って良いかな? あんた達は僕の……いや、僕達の言い分を聞いて、どう思った?」


じろり、と値踏みする様な眼を3人に向ける。

別に疑っている訳ではない物の、やはり答え次第で


「別にどうも思わないよ。それが君達の考えだと言うなら、僕に否定する理由はない」

「……確かにな。どんな事だろうと、良かれ悪しかれ両面においての意味は必ず存在する。そこを考えずして、本当に受け入れたとは言えない」

「まだお前達の真意を聞いた訳ではないからな。ワシの意見の言うには、材料が足らなさすぎる以上、今は迂闊な事を言う訳にもいくまい」

「そう……じゃあちょっとコーヒー淹れてくるけど、飲む? 砂糖はないけど」

「じゃあ貰おうか」

「うむっ」

「たまには良いか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ