閑話 正義派閥、美徳3人の憂鬱
「人の限界とは何か、成長とは何か……考えた事はあるかい?」
知識の契約者、天草昴
光を操る能力を持ち、光を収束させ撃ちだすレーザー、光を介した“瞬間移動”による光速移動を得意とする、最速の契約者。
「――なんだ、いきなり?」
「……」
昴は今、王牙と凪の2名と共に食事をしていて、ふとした会話の話題にそれらを挙げる。
「正義側には、人はもう限界――そう考える人が多いからね。僕達も正義陣営である以上、それらについて考える必要がある。そう思っただけさ」
「――確かに、“欲望を斬り捨てた正しき世界”を指示する声には、そう言う考えが根幹を成している部分はある。だが、“希望”が契約条件のワシに聞く事か?」
「希望だから、考えねばならない事であり、知らなければならない事じゃないかな? 確かに限界は決める物じゃないけど、見なくて良い物という訳でもないだろう?」
「その通りだ」
黙々と食べていた凪が、口を開く。
「――良かれ悪しかれ、運命とは常に唐突な物だ。そんな中で、限界はまだ先……そう断言することは誰にも出来ない」
「確かにその通りだ。かける可能性がない事には、ワシとて反論する訳にはいかんからな。可能性とは、分岐してこそ可能性――今の人に分岐した可能性があるとも思えんし、あったとしても今それを選ぶ訳にはいかん」
「――同感だ」
「――それは何故だい?」
凪が同意した王牙の言葉に、昴は確かめる様に――
最も、昴も同じ意見なのだが、あえて確認する様に問いかける。
「――椎名九十九を始めとする、正義の戦闘部隊だ。“人など放っておいても勝手に生まれてくる”――その考えに至った要因を残したままでは、また誰かが同じ結論に至らんとも限らんからな」
「彼らをそうした要因が人にあるのも事実――それを変えん事には、堂々巡りになるだけだ。この事実がある限り、人が限界である事に異を唱える事は出来ん」
「うん、そうだね――一条君も、その辺りは理解はしてるだろうけど」
「そう言えばお前は、こちらの陣営に就く前から一条の決起に否定的だったが――」
王牙に問いかけられ、昴は少々躊躇する。
しかし、自分から問いかけた話題という事もあり――昴ははあっとため息をつく。
「――一条君の決起は、まだ早すぎると思ったからだよ」
「……早いとは?」
「人が問題に気付くどころか、逆により重くしてる様な状態じゃ、逆に言い訳の材料にされるだけだと思ったからだよ――最も、ひっかきまわされただけだから、杞憂だったようだけどね」
「――お前はお前で、色々と考え行っていたと言う事か」
「僕も美徳だからね。それでも本当なら僕も、正義陣営につく気なんてなかったさ」
昴の契約条件は“知識”
他の14人と、少々異なる特性のブレイカーを持っているが故か、特殊な立ち位置にある。
それを自覚した上で、昴は頂点達の仲介役であり、美徳側のブレインであると自身の立ち位置を定め、冷静かつ平等をモットーとしていた。
「――無論見限ったって訳じゃないけどね。ただ、今の人が暴力の副産物に夢心地になり過ぎて、理解し合う為の条件を持とうとしない現状に、賛同は出来ないってだけ」
「暴力の副産物――か。ワシとてあまり言いたくないが、言い得て妙だな」
「夢心地というのも、誰も彼もが現実を見なさすぎる以上、頷ける――出来れば、北郷の方針が有効であるうちに気付いて貰いたいところだがな」
三人はほぼ同時に頷いた。
「――さて、次は成長についてだけど」
「――あまり良い話題になりそうにないな」
「――全くもって」
久々の交信で書くことではないと思いますが……
仕方ないです、マジで感覚忘れてるんで。
後、ついでのアンケートですが
“成長”と”人の限界”について、皆さんはどういう物とお考えかを、出来れば感想とともにお願いします。
こういう作品書くと、マジで哲学的なこと考えるなあ……そう実感します。




