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次原凛の華麗なる日常  作者: しののめ
1/3

お散歩凛ちゃんと黄金丸

凛ちゃんは小学6年生!休日は朝から愛犬黄金丸の散歩!そこで出会った悪いお兄さん!さぁどうなる凛ちゃん!







 




 




「ふふふ~ん♪ 今日もいい天気だね、黄金丸!」




 




小学6年生の次原凛(つぐはら りん)は、上機嫌でリードを握りしめていた。




 




彼女の隣を歩くのは、愛犬の黄金丸(こがねまる)




 




名前は勇ましいけれど、つぶらな瞳がチャームポイントのゴールデンレトリバーだ。




 




大好きな姉が名付けた、大好きな愛犬。




 




自分が生まれたときに我が家へやってきた、ずっと一緒の友達。




 




尻尾をプロペラのように回しながら、凛の歩幅に合わせて楽しそうに歩いている。




 




いつもの公園、いつもの帰り道。




 




今日の夕飯は何かな、なんて凛が考え事をしていた、その時だった。




 




「ワンッ! ガルルッ!」




 




突然、黄金丸がリードを強く引いた。




 




「えっ、黄金丸!?」




 




凛が驚いて顔を上げると、そこには見知らぬお兄さんが立っていた。




 




黒いパーカーを着て、スマホを見ながら歩いてくるお兄さんだ。




 




なんてこったい!




 




散歩中、知らないお兄さんを黄金丸が噛んでしまった!




 




「ダ、ダメッ……! ……まって!」




 




凛の制止も虚しく、飛び上がった黄金丸の口がお兄さんの腕のあたりを……。




 




ガブッ!!




 




「うわあっ!?」




 




お兄さんが素っ頓狂な叫び声を上げた!




 




時が止まったような静寂。




 




そして、お兄さんの足元には、見事な着地を遂げ何かを吐き捨てるように唸る黄金丸の姿が……。




 




(う、うそ……噛んだ……!?)




 




凛の顔からサーッと血の気が引いていく。




 




黄金丸はすぐにこちらに向き直り「へへっ」という顔をしているけれど、事態は深刻だ。




 




「あ、あわわ……どうしょう……」




 




心臓が早鐘を打つ。




 




怒られるかな? 警察呼ばれちゃうかな?




 




それとも「治療費100万円!」とか言われたらどうしよう!?




 




凛の頭の中は大パニック。




 




謝ったら許してくれるかなぁ……?




 




お兄さんに促され、すぐそばのベンチへと移動した凛。




 




お兄さんは深くため息をつくと、ゆっくりと凛の顔を覗き込んだ。




 




「お嬢ちゃん……わかってるよね……こういう時……この子がどうなるか……?」




 




凛の肩がビクッと跳ね上がる。




 




「は、はい……あの……どう……って……?」




 




お兄さんは、残酷な事実を淡々と告げた。




 




「保健所。……もう君は、この子に会えないかもしれないんだよ……?」




 




その言葉は、凛にとって死刑宣告のようなものだった。




 




「……ッ!!」




 




「もう会えない」その言葉が凛の心に重くのしかかる。




 




犬の寿命は自分よりも短い、いずれ黄金丸と別れなければいけない日は必ずくる。




 




だが……それが……こんなに急に来るなんて思いもしない……!




 




凛はガバッと頭を下げた。




 




恥ずかしさも、何もかも、すべてかなぐり捨てて叫ぶ。




 




「やっ……! いやです! お願いします! 許してください!!」




 




「黄金丸を連れて行かないで! 何でもしますから、お願いします!!」




 




涙目で震える凛を見て、お兄さんは満足そうに頷いた。




 




「なんでも……うん……そうだね、その気持ちが大事なんだ……! お兄さんの言う事を聞く……そうすれば……示談にしてあげるよ……!」




 




「……ジダン……?」




 




凛は聞き慣れない言葉にきょとんとしたが、すがるように叫んだ。




 




「お願いします! 黄金丸を連れて行かないでください!」




 




「……グフフ……じゃあ……」




 




お兄さんの太い腕が、凛のワンピースに手をかけようと迫る……!




 




凛は何が起きるのか、何をされるのかも分からず……ただ、自分が我慢すれば黄金丸が許されると思い……目を瞑り、身を固くした……。




 




……スカッ。




 




予想していた衝撃は来なかった。お兄さんの腕は空を切ったのだ。




 




いや……そうではない。




 




「…………?」




 




凛がギュッと目を閉じ耐えているその先……そこには信じられない光景があった。




 




目の前に突き出されたお兄さんの腕。




 




彼の腕は、肘から先が黄金丸の最初の噛みつきによって寸断され、無くなっていたのだ。




 




千切れ飛んだ腕はベンチの下で、真っ赤な血に染まりピクピクと蠢いていたッ!




 




「あ、あれ……おかしいな……小学生のおっぱいを……いま、まさに鷲掴みにしようと……」




 




「あ、あれ……あの子どこいった……?」




 




お兄さんは、まだ気づかない。




 




自分の腕がないことにも、視界が歪んでいることにも。




 




だらん……。




 




濡れたような音と共に、お兄さんの眼球が頭蓋骨から垂れ下がり、土の上に落ちたッ!




 




黄金丸の二撃目!




 




爪による神速の一撃が、顔面を切り裂いたのだッ!




 




「グルルルルッ……!!」




 




黄金丸は、地獄の番犬のような殺気を放ち、凛の前に立ちふさがっている。




 




(……? あれ? ……おかしいな……? お兄さん……何か言いかけてたような……?)




 




疑問に思った凛が目を開け、呆然とするお兄さんの姿を目に映す。




 




そんなお兄さんに気づいた凛は心配そうな顔をして、お兄さんの肩を叩いた。




 




「……あの……お兄さん……大丈夫ですか……? その……なんでもって……その……続き……なんでしたか……?」




 




トントン。




 




その無邪気な問いかけに、お兄さんが「うあ…?う…え…うお…?」と、謎の反応をする。




 




その時!




 




後ろから黄金丸の肉球が凛の足元をぽすぽすと叩いたッ!




 




「……え? 黄金丸……? なに?」




 




その温もりを感じ、凛が後ろを向いた、その刹那!




 




ドォォォォォンッ!!




 




黄金丸の体が弾丸のように飛び出し、お兄さんの首と体を、永遠の別れに導いたッ!!




 




ザンッ!!




 




吹き荒れる鮮血! 真っ赤なシャワー!




 




公園に降り注ぐ赤い血の雨ッ!




 




「わっ!? え!? なに!?」




 




「グルァッ!!」




 




黄金丸は走り出す! 凛ちゃんを引きずって!




 




後ろを振り返ることもなく! 全速力で家路へと急ぐ!




 




背後で崩れ落ちる薄汚い肉塊など、もう知ったことではない!




 




凛ちゃんは無事帰宅するだろうッ!




 




キッチンから漂うのは、最高に食欲をそそる香り。




 




今日の晩飯はカレーだ!




 




さよならお兄さん!




 




さよなら児童性犯罪者!




 




二度と出てくるな!




 







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