黒騎士と姫とハンナの呪い18
「いや、こうするつもりだよ!」
答えと同時に俺は体を飛ばし、シールドに向かって拳を振った。
拳と盾がぶつかり、
ドカンーー!!
とする音と共にシールドが割れた。
「ハンス!!」
「こ、このバカ野郎! いきなりそれはないだろ!! エアカッター!!」
何の合図もなく動いたにも関わらず、俺がシールドを破ったその瞬間、ハンスが待っていたかのように魔法で老魔法使いの腕を切り落とした。
正直なところ、一か八かと言う状況だったが、ハンスが俺の予想どおりに動いてくれたおかげで、なんとかうまくいった。
俺はそのまま地面に倒れるハンナとベベを抱きしめ、ハンスの方に体を飛ばした。
ハンスがハンナの体を確認する間、俺はベベを封印している結界を解いた。
その結果、幸いにもハンナの体に異常はなく、ベベも結界に封印されて眠らされていただけで、何の異常もなかった。
俺たちはようやくホッと胸をなで下ろすことができた。
そうしてすべてが解決したと思った時、
「きゃああああッ!!」
ハンナが突然悲鳴を叫び始めた。
ハンナの悲鳴にパニックになったハンスがハンナの頬を叩きながらハンナの名前を呼んだ。
しかし、ハンナは一向に気を取り戻す気配を見せなかった。 そんな中、ハンスに腕を切られた老魔法使いがククッと笑い始めた。
「儂がその間なんの対備もしておかなかったとでも思ったか!」
「何の話だ!」
「その小娘にかけた呪いを、儂が怪我をすれば同じ痛みを感じる呪いに変えておいた! これなら貴様らでも何もできまい!」
「……!!」
老魔法使いの言葉に、ハンスと俺は目を見開いた。
老魔法使いの言葉通りだ。その言葉が本当なら、ハンナにかけられた呪いを解く前には何もできない。
もし呪いを無視して老魔法使いの首を切り落としたらどうなるのか。
答えは決められている。
ハンナは首が落ちる衝撃に耐えられないだろう。
すでに一度首を落としたことのある俺だからこそ断言できる。
それは普通の人間が耐えられるような苦痛じゃない。
ましてや戦いなど経験したこともないハンナのような子供ならなおさらだ。
「何が狙いだ」
俺はハンナとハンスを庇うように前に立ちながら、老魔法使いに聞いた。
すると、老魔法使いは片方の腕を落としてなお、何の怒りも感じないかのように、不敵な笑みを浮かべて言った。
「なに、たいしたことではない。大魔法使いハンス・エリアド、儂の下に入れ」
「……は?」
「聞こえなかったか。 その小娘を生かす代わりに、儂の下に入れと言っておる。そうすれば、ここにいる誰も殺さないことを約束しよう。 何なら、富と名誉を約束してやってもいい」
その言葉を聞いたハンスと俺は、言う言葉を見つけられず迷った。
老魔法使いの下に入る代わりに、ここにいる人全員を生かしてくれるというのはわかる。
老魔法使いの話では、ハンスは勇者パーティーの魔法使いだったらしいから。 ここにいるただの凡人ー相手のレベルも把握できない老魔法使いの目から見ればーを生かす代わりに、大魔法使いを手に入れることができるなら、悪くない取引だろう。
だが、その後に続く富と名誉を約束すると言う話は違う。
パッと見てみすぼらしい服を着ている老魔法使いが富と名誉を約束できるはずもないだろう。と言うことは老魔法使いの背後に誰か黒幕がいるということになる。
予想以上に大きい話になるかもしれないな。
ハンスもそう思ったのか、震える手でハンナを抱きしめなおしながら聞いた。
「富と名誉を約束してくれる、か。それをどう信じる。俺に証明でもできるか?」
「はっ! 証明、証明か。この期に及んでそんなことを聞けるとは、随分と余裕だな。 その小娘の命が惜しくないのか?」
「……」
老魔法使いの皮肉にハンスが歯を食いしばって奴を睨んた。
しばらくハンスと睨み合っていた老魔法使いは、ふと切り落とされた自分の右腕を見た後、誇らしげに言った。
「フン。いいだろう、教えてやろう。儂が仕えておる方、その方こそ、この世界の真の王であり、支配者ーー」
ーーテネブレ様だ。
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