黒騎士と姫とハンナの呪い17
うわー。こりゃまた最悪のタイミングだな。
でもハンナのためにも、この時間稼ぎを止めるわけにはいかない。
本気で裏切られたような表情に少し胸が痛むと思いながら、俺は片方の口角を上げて肩をすくめながら言った。
「だったらどうする。勇者パーティーの一員だった人の味方でもする気か? 魔族である俺たちが?」
「そ、それは……そうだけど。でも!」
「おい、お嬢ちゃん。よく考えろよ、ここで奴らの味方をすると、それだけで反逆者になりかねない。 今は身を引くのが正解だ」
「……!!」
反逆者。
その重い言葉に、さすがのギャルルも何も言えずに身を固めた。
しかしそれもほんの一瞬で。
「……くっ!! それでも!! 僕は引かない!! ハンナは、ハンナは僕の大切な友達だから!!」
ギャルルが拳を握りしめて宣言するように叫んだ。
一瞬、かっこいいな、と思うほどの気迫だった。
しかし、それを表に出すわけにもいかないので、
「……好きにしろ。俺は抜けるから」
俺はそう言って一歩後ろに下がった。
すると、怒りに満ちた顔でしばらく俺を睨みつけたギャルルが『もういい!!』と叫んだ後、前に出た。
「おい! 魔法使い! 前に出てこい! 僕、ギャ、いや、ルルが相手してやる!!」
上から見下ろすように言うギャルルの言葉に、一瞬空き地の中の空気が凍った。
「フ、フハハッ。命知らずの小僧だ」
「誰が小僧だ! このクソジジ!!」
「ハハッ! よくしゃべる小僧だな。しかし。 君一人なら、儂が直接手を下す必要もない」
呪いが通用しない俺が抜けたことで一段と余裕になった老魔法使いが、二人で維持していた魔法を一人で維持することになって冷や汗を流している魔法使いアルケに言った。
「アルケ、失敗を挽回する機会をやろう。あの獣人の小僧をやれ」
「は、はいッ……!」
指示を受けた魔法使いアルケがよろめきながらも立ち上がり、杖をギャルルの方に向けた。するとギャルルも体を震わせながらも立ち上がり、爪を鋭くした。
しかし。
「……私の敵を突き刺せ、マジック・アロー!」
「……きゃン!」
魔法使いアルケが放った基礎魔法にも耐えきれず、ギャルルはそのまま後ろに倒れてしまった。
もう立ち上がれないか。
だが、それでいい。
俺はハンナとベベを救いたいのであって、そのためにギャルルを犠牲にしたいわけではないから。
しかしそう考えるのもひととき。
「……くっ!」
よろめきながらもまた立ち上がるギャルルの姿に、俺は目を見開いた。
さすがカプカ・タイガーの娘というべきか。
今にも倒れそうな状態で立ち上がったギャルルはぼそりと言った。
「……ハン、ナを返せ」
その今にも消えそうな声を聞いた老魔法使いは、そんなギャルルを嘲笑いながら言った。
「はっ、くだらん! アルケ! こんな簡単なものもまともにできぬか!」
「は、はい......! すぐ、やります! マジック・アロー!」
そうして放たれた魔法の矢が再びギャルルに突き刺さり、倒れたギャルルは今度こそ立ち上がらなくなった。
どうやら先の一撃で気絶したらしい。
これであの二人に喧嘩を売ることはできないだろう。
俺はそう考えたが、どうやらあの魔法使いたちの考えは違ったらしい。
魔法使いアルケはギャルルを倒したことに満足せず、再びギャルルに魔法を放つ準備をした。
このままギャルルの危機を無視して時間を稼ぐか。それとも、警戒を買うことを覚悟して奴らの前に立ちはだかるか。
そんな俺の迷いを読んだのだろうか。
老魔法使いと神経戦を繰り広げていたハンスが俺と視線を合わせて、口の形で話した。
『ハンナは俺が何とかする。お前はお前の思うままに動け』
ハンスの言葉に、俺はハッと小さく笑った。
「悩んだ俺がバカみたいだな」
あれでもハンスは、数々の魔族との戦争でずっと俺の背後を守ってきた魔法使いだ。
いくら疲れているとはいえ、あれくらいの魔法使い二人を相手にするくらい、大したことでもないだろう。
あの戦争ではもっと多くの大軍と戦っていたのだから。
そう思うと、心が少し軽くなった。
すたすたと歩き、ギャルルの前に立った俺は、
「何だ、いまさら庇う気か?」
と傲慢に聞く老魔法使いに頭を振りながらこう言った。
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