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黒騎士と姫とモンスター暴走2




 これだけの事件を起こしたからか、このモンスターたちを操る首謀者を見つけるのは難しくなかった。

 俺はいつの間にか近づいてきたもう一匹のモンスターを倒した後、ハンスからもらった認識阻害の仮面をかぶり、速いスピードで魔力の糸が感じられる場所へ向かって走り出した。


 ササササッ!


 本気で走り出すと、そのスピードに巻き込まれた葉っぱたちが突風に当てられたような音を立てた。

 しかし、そんなことに気をかける理由も、時間も今の俺にはなかった。


 ギャルルの護衛達の実力がどれほどのものかはわからないが、それでも領主の子を護衛する者たちだ。弱いはずがない。

 彼らもそろそろ自分たちに近づいてくるモンスターたちに気付いているはず。しかしギャルルの護衛という立場上、ギャルルの護衛達がここまで追ってくることはありえない。


「ということは俺がここで何をやっても何の問題もないってこどだな」


 要するに、今の状況は今まで俺の行動を縛っていた足かせが一つ外されたのと同じことだ。


 そんなことを考えていると、いつの間にか主犯のいる場所の近くに俺到着していた。

 俺はそこから気配を消し、静かに足を運び始めた。


 敵が誰であれ、かなりのものじゃないと俺の相手にはならないと思うけど、それでも気をつけておいて損はないからな。


 そのまましばらく前に進むと、鬱蒼とした森が終わり、広い空き地が現れた。

 空き地の中心には巨大な魔法陣と、それを操っていると思われる黒いローブをかぶった魔法使いがいた。

 どうやらあの魔法陣を使ってこの辺りにいるモンスターたちを操っているらしい。


 にしても、本当にこいつがこの騒ぎの首謀者か?

 なんていうか、ちょっとこう……弱そうだけど。


 ガリガリの体はまあ、魔法使いだからそんなものもあり得ると思う。

 しかし俺が一番おかしいと思うのは、魔法使いから感じられる魔力の総量が少なすぎたからだ。


 下級というまではないが、アレは絶対上級じゃないな。ギリギリ下級から抜けた中級という感じか。


 そしてそれを証明するかのように、魔法使いの手の中にはかなり強大な魔力が宿っている魔石が握られていた。

 どうやらあの魔石を使って魔法陣に魔力を供給しているようだった。


 そんなことを考えているとき、ようやく俺に気づいたのか、魔法使いが驚いた声で叫んだ。


「……な、何者だ!!」


 おお、さすがハンスの認識障害仮面だな。状況上、俺が子供たちと一緒にいた人だと気づかれる事もあると思っていたのに。

 俺が誰なのかすら気づけないなんて。


 よし、今はとりあえずしらばくって見るか。


「ただの通りすがりの冒険者だ。お前こそ何者だ、なぜ子供を狙っている」


 俺の考えでは、ここがカプカ・タイガーの領地であることを考えると、この魔法使いはギャルルを狙っている可能性が高いと思う。しかし、だからといって、ベベを狙った犯行である可能性を排除することもできないのが事実。


 万が一、ベベを狙ってるのだとしたら、俺が対応しないといけないからな。


「フン! この私が答えると思ってるのか! と言いたいものだが、どうやらキサマあのガキについた護衛のようだな。 いいだろう。おい、冒険者。悪いことは言わない。首を突っ込まず、このままここから離れろ。そうすれば命だけは見逃してやる」


 魔法使いが杖の先に魔法陣を浮かばせ、俺の足元に向かい魔法を放ちながらそう言った。

 自分の指示に従わなければ、迷いなく攻撃するという意思表示のようだ。


「さあ、選べ! ここで死ぬか、それともガキを見捨てるか!」


 魔法使いの言葉にちょっと首を縦に振った俺は、魔法使いの言葉に従うように、モンスターを倒した時から手に持っていた剣を手から離した。


 すると魔法使いが不気味に口角を上げて、


「死ね!!」


 ドドドドドッ!


 連続で撃たれる魔法に土埃が舞い上がり、視野をふさいた。

 その塞がれた視界の隙間から、魔法使いの嘲笑うような声が聞こえてきた。


「はははッ! かなり腕は立つもののようだが、甘い! 甘いぞ!目撃者を生かしておくはずがないだろ! 馬鹿野郎め!!」

「そう見えたか?」

「ははっ! もちろん……き、貴様! ど、どうやって!?」


 いつの間にか後ろに立っている俺の言葉に思わず答えた魔法使いが、慌てて俺から離れた。

 俺はそんな魔法使いの質問に、奴の首の後ろを手刀で叩きながら答えた。


「そりゃあ、そんな遅い攻撃にやられるわけがないだろう」

「……かッ!」


 首の後ろを思いっきり殴られた魔法使いがドサッと地面に倒れた。


「さて、どうするかなぁ」


 いきなり攻撃をしてきたから、反射的に気絶させてしまったけど。


「あそこにはギャルルたちがいるから持っていくわけにもいけないし。だからと言って、あまり時間をかけるわけにもいかないからなぁ」


 あまり遅すぎると便秘だと疑われるかもしれない。

 それは俺の尊厳がかかった問題なので、なるべく防ぎたい。


「アンデッドだからトイレも行かないのに便秘だと疑われるなんて、そんな不名誉願い下げだからな」


 だったら、選べる道は限られる。

 うむ、やっぱりー。


「ここに捨てて行くか!」


 持って行っても説明するのが面倒になるだけだし。


 「何より、こういう時に使える方法がないわけじゃないからな」


 そうつぶやいた俺はニヤリと笑った後、誘拐未遂犯である魔法使いの方へ足を運んだ。



 と思った方は、ぜひブックマーク!と、

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 上がり過ぎてもっと頑張ろ!となるので!


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