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黒騎士と姫、また森へ4





 ぐぅぅぅー。


 ほら、見ろ。デールのお腹がもう鳴いている。

 まだ11時がちょっと過ぎた時間だが、今日は出かけるということで早朝から準備してきただろうし、お腹が空くのもおかしくない。


「へへ。デール、お腹空いた?」

「う、うん。ハンナ。今日はなんか変にお腹が減るね」

「私もこの前来て不思議だと思ったんだけど、森に来ると普段よりすぐお腹が減るよね。たくさん動いたからかな?」


 最後に残ったヒーリングキノコを採ってバスケットに入れたハンナが、俺の方を見て言った。


「あの、ナイトさん、ちょっと早いけど、お昼を食べてもいいですか?」

「ああ、もちろんだよ」


 11時過ぎだから確かに少し早いけど、今すぐ食べた方が俺も助かる。

 ギャルルがヒーリングキノコを採る二人を見て嫉妬するのをソワソワしながら見なくて済むし。


 さて、それにしても、ここは少し場所が狭いから、お昼を食べるののは難しいそうだな。


「もうちょっと行けば、この前きた時お昼を食べたところだし、そこに行って食べようか」

「はい! わかりました! デール、ルルちゃん、行こう!」


 俺の提案に満面の笑みでうなずいたハンナが、デール、ギャルルと手を繋ぎ、前回昼ご飯を食べたあの広場へと歩き始めた。

 友達と一緒だからか、やけに浮かれているハンナを後ろから追いかけながら、俺は少し口元を緩めた。







ぐさッ! ざっくッ! ベリリッ!


 広場に着くと、早速ギャルルが捕まえた獲物を解体し始めた。

 ウサギの血を抜いて皮を剥いだという話だ。

 普通の子供が見るにはあまりにも生々しい作業に、俺はハンナとデールの方をちらりと見た。


「うわああ! ルルちゃんすごい! こんなに早く解体する人初めて見たよ!」

「な、なかなかやるじゃん、ルル!」


 獣人だからか、険しい魔界に住んでいるからか。ハンナとデールは平然とした顔でギャルルの解体ショーを見て、楽しそうにパチパチと拍手までしていた。

 俺はその姿を見ながらベベの目をそっと隠した。

 いくら世の中が厳しいとはいえ、この年で解体ショーを見る必要はないと思ったからだ。


「ぴゃ! ぴゃぴゃ!」

「しーっ。ベベちゃん、後で美味しいノールさんの離乳食あげるから、不便でもちょっと我慢しようね」


 ベベの耳元で小声で囁くと、思わず口元をぱくぱくとしたベベがぴたりと動きを止めた。


 ふっ。まだ幼いからか、食べ物の誘惑に弱いな。


 そうやってベベとのやり取りからしばらくして、ギャルルがウサギの解体ショーを終わらせ、火の上に乗せた。

 俺はそのときになってようやくベベの目から手を離し、マジックバッグからノールさんのレシピ第1弾で作った離乳食を取り出した。


「ぴゃ♥ ぴゃあ♥ ぴゃー♥」


 すると、ベベが興奮して離乳食の器に手を伸ばしてきた。

 早く食べさせてという意思表示だった。

 最初は作った離乳食の半分も食べられなかったというのに、いつの間にか慣れたのか、ノールさんレシピの離乳食を見るだけでこうして急かすようになった。


 本当に良かったよな。ずっと適応できないんじゃないかとちょっと心配していたんだけど、思ったより早く慣れてくれて。


 まだ普通のオートミール粥は食べられないけれど。これだけでも十分な進歩だった。

 そして。


「さあ、ベベちゃん! おいしいマンマが届きますよ〜」

「ぴゃー♥ ぴゃあ♥ はむっ!」


 華麗な手さばきでベベの注意を引き付けてベベにごはんを食べさせる俺のスキルもかなり上達したし。


 ……騎士としてはこれを誇りに思っていいのかどうか、ちょっと迷うけど。

 子供がよく食べるのはいいことだからな。うん。


 そんなことを考えながらベベに離乳食を食べさせていると、何だか近くから視線を感じた。

 何だろうと顔を上げて見ると、俺とベベを除く3人が俺が離乳食を食べさせているのを見ていた。


「はっ! みんな待たなくていいんだよ! 先にマンマ食べて!」


 俺を待たなくていいんだよ? お腹が空いたと言ってたでしょ!?


 と、言った後に思い出した。


 ……うわああ! 言い間違えた!! マンマってー!!


 最近、ベベに話しかけることが多くなって間違えた!

 いくら俺の基準で幼いとはいえ、マンマを食べる年齢じゃないのに! うわああ!!


 そんなことを考えながら顔を赤くしていると、ハンナが面白そうに笑いながら言った。


「ふふっ! そ、そうですね! みんな、マンマ食べようか!」

「ぼ、ぼくはもうマンマを食べる年じゃないぞ! たまにミノタウロスの乳は飲むけど、それはお母さんが元気になるようにって無理やり食べさせてるだけだから!」

「……キモッ」


 キモッって、ギャルル、お前今日俺にだけやたらあたりが強くないか。まあ、こんなオッサンがマンマって、キモがるのもわかるけどさ(泣)。


 まあ、とにかく。



「ゴホン! とにかく俺は気にしなくていいから、先にお昼に食べなさい」

「キモッ」


 おいおい、今回はちゃんとお昼って言ったじゃないか! もしかしてギャルルさんの中ではそんな言葉遣いが流行っているんでしょうか!? そんなわけないですよね! はい。わかってます!!


 とにかくまだ成長期の3人が、俺がベベの離乳食を食べさせるのを待っているのはちょっと悪い気がした。

 

 特にデールはさっきお腹まで鳴らしたのに。

 しかし、3人はなかなかご飯を食べる気を見せなかった。


「でも、ナイトさんがまだ食べてないのに……」

「ぼ、僕もまだ我慢できるぞ!」

「……ウサギの丸焼きがまだ焼きあがってない。僕はウサギの丸焼きを食べるからまだ待つ」


 ハンナが弁当箱から難しそうに目を離し、デールは意地を張るように目をつぶって頭を横に振った。

 ギャルルは頑なにウサギの丸焼きだけを見つめているし。


 でもこの中で本音を言っているのはギャルルだけだと思うんだよなぁ。


 ふぅ。仕方ない。

 こうなったら最後の手段だ。


 3人ともいい子ばかりでかわいいいが、そのせいで困ってるナイト!

 彼はこの後はどうするのか!


***


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 上がり過ぎてもっと頑張ろ!となるので!


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