表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/80

黒騎士と姫と秘められし力2




 半泣きしながらベベに頼むと、そんな俺が情けなく見えたのか「ふん!」と鼻息を出したベベが指から力を抜いてくれた。


「はあ、助かった」


 俺の毛根、まだ死んでないよな、ちゃんと生きてるよな?

 頭のてっぺんがまだチクチクする。

 手で頭を触りながら、ちゃんとついている髪に安心していると、


「ぴゃあ♥ ぴゃぴゃあーー♥」


 とベベが手のひらを叩きながら喜んだ。


そうか、俺が泣き顔をするのが面白いのか。


「はああー」


 ベベの楽しそうな笑い声を聞いた俺は、深くため息をついた。


「こんな小さい赤ん坊にやられて泣き顔を見せるなんて、俺も随分と甘くなったな」


 たとえそれが強大な聖力を持つ聖国のお姫様だとしてもそうだ。

 こう見えても魔族との戦いで聖国を代表して戦場の最前線に立っていた身だ。

 あの頃は人も資源も足りなくて、手足が一本ずつ引きちぎられた時も泣くどころか、聖力で体を回復させながら戦っていた。それなのに、この程度で涙を出すとは、甘くなった、以外の言葉は浮かばなかった。

 こんな姿を見ると、死んだ仲間たちはどう思うだろうか。


 ハンスはまあ、ばかばかしいと笑うだろう。泣き虫のチェルシーは一緒に泣いてくれるに違いない。 あと食いしん坊で部隊の財政を苦しめていたアイツは……。


「……アイツの名前、何だっけ」


 亡くなって随分時間がたったからか、なんだかアイツの顔が思い出せなかった。

 俺はずっとあの顔を思い出そうと必死に考え続けた。

 しかし、いくら考えてもアイツの顔は思い出せなかった。


 ……どうして、思い出せない。


 必死に考え続けた結果、ズキズキと頭が痛くなるのを通り越して、まもなく頭痛で視界が真っ白になり始めた。

 そのとき、


「おぎゃぁぁぁーー」


 ベベの泣き声に、ふと我を戻した。

 目を何回か瞬かせた俺は、いつの間にかベビーベッドの前にうずくまっていた体を起こし、ベベに近づいた。


 まだ少し頭がぼーっとしていた俺は、鈍い手つきでベベを抱いて、とりあえずおむつの確認をした。しかし、おむつは全然濡れてなかった。

 だからといってお腹が空いているわけでもなさそうだし。

 だとしたらー。


「……やっぱりそうなのか」


 考えられるのは一つ。

 さっきからずっとベベは俺の考えにこたえるような反応をしていた。

 だとしたら、今回もベベが俺の考えを読んで、死んだ部下の顔も思い出せない自分の情けなさに対する怒りと悲しみを読んで反応したのかもしれない。


 最初は言葉を理解しているののではないかと思っていたが、今の反応を見る限り、それは無いぽいな。

横から見ると、さっきの俺はただ静かにベビーベッドの前にうずくまって人だった。うずくまっていた位置もベッドに寝ているベベのからは見えないところだったし。


 だからベベが俺の言葉や表情を読んで反応したというのは無いだろう。それに、俺が落ち着いた途端、こんなに大人しくなったのもおかしいし。


 俺は泣き止んだベベの花びらのような透明なピンク色の瞳を見つめながら考えた。


 推測だが、ベベは高確率で心を読む力を持っているに違いない。 そうでなければ、俺が怖いと考えた時、怒ったような反応をするはずがない。

  それにしても聖国の王族にこんな力、あったかな?


 いや。俺の知る限り、聖国の皇族にこんな力はなかった。


 もしかしてベベだけが持つ特別な能力なのか?


 それもあり得るな。人の心を読む能力は、政治でも戦闘でも優位に立つことができる力だ。そんな能力を聖国 の王族が隠してないと断言できるだろうか?


 ……こんな特殊能力を持っていたら、どんなことがあっても隠し通したろう。敵を排除して味方を増やすのにこれほど優れた能力はないし。


 しかし、どの仮説も確信を持つには証拠が足りなかった。


「……もしかして俺は思ったより大きな事件に巻き込まれてしまったのか?」


 人の考えを読む力。

 それがベベだけの力だとすると、それだけで魔王軍は有利な立場を確保することができる。

 もしそれが違くて王族特有の特殊能力だとしても、ベベの能力を使えば戦闘で王族を同じ線上へ引きずり下ろすことができる。

 魔王がベベのこの能力を知っていて、それでこの子を誘拐してきたのだとしたら、思った以上の大きい事態になるかもしらない。

 ...... おそらく、暗黒期以来ずっと人間界を支配してきた聖国の滅亡が近いのかもしれない。

 しれないがー。


「……今の俺にできることはないんだよな」


 どうせ戦うか否かは、魔王と聖王が決めることだ。


 四天王といえど、俺はその中で一番年数の浅い新人だ。

 俺に戦を止める権限などない。


 俺にできる事は戦が起こらないようにと心の中で祈るくらいなんだよなぁ。


 そんなことを考えていた時、


「うぇえええーーーー!!!!」


 ベベが突然大声で泣き始めた。


「うわっ!!」


 今度は何だ!?ちょっと悩みはしたけど、それでも大泣きするほどじゃなかったよ!?


 そんなことを考えながら、チクチクと聖力を発散するベベを持ち上げた俺は、すぐにベベが泣く原因に気づいた。


「……おむつが濡れてる!!」


 たぶん、これは大きいやつだ!!


 俺は取り乱しながらベベのおむつを交換した。

 そしてそうしてる間、さっきまで頭の中でぐるぐる回っていた考えはあっという間に消えてしまったのだった。


 

 読んでいただきありがとうございます!

 この小説を読んで


「面白い!」


「続きが読みたい!」


 と思った方は、ぜひブックマーク!

 それと、↓の★★★★★を押してください!

 するとなんと!作者のテンションがめちゃくちゃ上がります!

 上がり過ぎてもっと頑張ろ!となるので!


 よろしくお願いします!ヽ(o^▽^o)ノ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓勝手にランキングに参加しています。面白いと思った方はクリックしてもらえると嬉しいです。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ