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初任務19

『局長室』


広々とした個室のソファに腰掛ける三つの人影。


「そう言えば今日からなんだろ? どうだった?」


一人用ソファに腰掛けていたスーツ姿の柔和な表情をした年配の男性は、左手の横長ソファに座る四阿へ少し陽気に尋ねた。


「えぇ。まだ測りかねますが実力は申し分ないかと」

「そうらしいですよ」


そう言って顔を向けたのは右手のソファへ真っすぐとした姿勢で腰掛ける和服の男性。今は皺もあるが昔は美青年であったことが写真を見ずとも想像できる容姿をしていた。


「長い間、見てきましたからね。その心配はしていませんよ」

「ではこれから先も何の問題もないと」

「我が家の家宝を賭けても構いませんよ」

「家宝ですか……。そこまで言われると逆に欲しくなりますね」

「先生がそこまで仰るのなら無いとは思いますが、もしもの時はマキも含め総動員でかかります」

「だがマキはまだ戻ってないんだろ?」

「えぇそうですが……」

「まぁ大丈夫だろ。先生もそう言ってる事だしな」


先生と呼ばれる男性は返事の代わりにフッっと笑みを浮かべた。


「そう言えば先生のとこの息子さん。そろそろだとお聞きしましたが?」

「えぇ。そろそろ頃合いかと」

「いやぁー。時が経つのは――」


それからも暫くの間、室内には話し声が響き渡り続けた。

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