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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

仲間を追放し弱体化した勇者パーティ新人を迎え入れ、全滅する

作者: 雄太


「グランド、お前、辞めろ」


 昨日の夜。勇者パーティ天怒(てんど)のリーダーアランに突然、呼び出された。いつもはこんな事はなくここ最近じゃパーティメンバー全員が集まるのは迷宮内でしかなかった。


 俺はアランに言われた通り、勇者パーティ名義で借りている一軒家のリビングに降りて来て『座ってくれ、アラン』と言われた、不自然さはあったがその通り座ると他のメンバー全員の前でこう告げられた。まさに寝耳に水の話である。


「な、何言って・・・アラン」


「何って?そんなの簡単だろ。お前はクビって事だよ。今まではお前が前線で戦っていた、だがこないだの迷宮89階層で身に染みたよ、お前は弱い。ボスの一撃喰らっただけでリーナの回復魔法を使うハメになった!それで俺ら全員の連携が乱れ敗走した。おかげでギルド長から次クエストに失敗したら勇者パーティの名を取り上げるって脅されてる。この意味がわかるかグランド」


 アランの言う通り。迷宮89階層で俺はボスの一撃を喰らい、死にかけた。だが・・・いや、こいつに言ったところでまともに取り合ってくれないだろ。


「そうか、そろそろここも潮時だと思ってたよ、」


 もうだめだな良い機会だ。そう呟くとき踵を返し立ち去ろうとするグランドに罵声が浴びせられる。


「何よ!その言い方まるで私たちが弱いって言い方じゃん!弱いのはあんたでしょ屑が!」


 噛みついて来たのが支援系統を得意とするサラリナであった。サラリナがこのパーティに入ってからパーティ内の不協和音が身に感じるほど酷くなってきたように俺は感じる


「サラリナ。今お前とは話していない俺が話してるのはアランだ黙ってろ」

「何よ!このゴミ!」

「グランド、サラリナに噛み付くな、弱いのは事実だろ」


 お前もなんだな、あの時のアランはもういないんだな、そりゃよかった心置きなくて出いける。


「チッ、そうかよ、お前はそっちなんだな。弱いのはどっちだが」


「おい!今まで生かされておきながら何馬鹿なこと言ってんだグランド!」


 そしてまた、敵を見ずに噛み付く馬鹿の1人、盾役として俺のことを守る気もないゲイルであった。こいつは盾役のくせに守りにすら入らずリーナとおしゃべるしてるだけの屑だ。うちのパーティーは他の所とは珍しく回復術師を重要視している。別にそれに不満はない。回復は重要だと思う、特に迷宮内となると回復手段も限られてくる。

 だから俺はそれに賛成したがおしゃべりしろなんて言ってない。


「敵もわからず守りもしない盾が、お前達の願い通り俺は出ていくよ、じゃなぁ!もう2度と顔なんて見るもんか!」


 中途半端な位置で止まっていた足を振り出しドアを閉める。そのドアの向こうから小さい罵声がいまだに耳を刺激する。


「清清したな、うちのパーティを喰らう屑がいなくなって」

「そうよ、あんな奴もっと早くに切るべきだったのよ、ね、アラン」

「そうだなサラリナ。」

「で、次は誰を入れるんだ。迷宮90階層に届くような剣士など皆すでに囲まれてるぞ、街中をよちよち歩いてるわけじゃない。」


「大丈夫だ次なら当てがある。、グランドを切ったから楽に動けるよ、それとあの爺さんどもがもう話を聞きつけたみたいだ」


「あのおっさんども、珍しく足がはぇな」

「私あのおじさん嫌い〜うるさいしくさし。面倒だし、」


「そういえば、グランドの装備やら戦利品剥がなくてよかったのか、あいつ結構持ってたぞ、それ剥ぎ取っておけばかなり金になるんじゃなぇか」


「俺ら勇者パーティがそんなコソ泥みたいな真似してどうする。どうせ奴は何にも出来ねえよ、なら最後に美味いものでも食べて、「アラン様〜あの時はありがとうございます」って言ってもらうぜ」


「だな、あいつにはそれがお似合いだ、」


 それは俺が上で荷物をまとめ屋敷を出ていくまでリビングから聞こえていた。


「さて、これからどうするかリーナが悲しむだろうな」


 俺は一筆、リーナの部屋に置いて、屋敷を後にする。今日、ここにリーナが居ないのはあいつらの策略だろうな。昨日ギルド支部から手紙が来てギルド証の更新期限だとか意味不明な手紙がリーナ宛に届いた。普通なら迷宮なりクエストを受ける時に自動更新のはずだが、器具の不具合だとかだと俺もリーナから聞かされた。


 ●


 翌日昼間、勇者パーティの屋敷。


「アラン戻ってきたのかそれで・・・」


 朝からアランは当てがあると言ったら人物をスカウトしに行っていたが昼を過ぎやっと戻ってきた。

 出迎えたのは守らない盾のゲイルであったサラリナは未だに自室で寝ている。


「そいつが新入りか?」


 アランの背中で隠れられないほどの身長で

 緑色の長髪を後ろでまとめ極東風の刀を腰に備えた。剣士であった。年齢はアランより少し上の30代手前といった感じである。


「ナダリ・オルガーだ。俺は北の迷宮で100階層まで到達した。」


普通そんな奴すでに囲まれている思うのがまともな思考だと思う。


「って言うわけだグランドのやつよりも強い奴が俺らの仲間となった」


「どんな口実使ったんだ?」

「内緒だ、早速で悪いが迷宮に潜りたい、良いか、ナダリ」


「大丈夫だ、いつでもいける。俺もお前達の動きを見ておきたい。東の迷宮の勇者パーティをな。」


 アランは早速ナダリを連れて迷宮に入るための申請をギルドにしに行った。


 ギルドに入ると


 グランドがいない事を不審に思った野次馬が何か話しているのが聞こえるがお荷物だと思い込んでいたグランドを追放でき気分上々の3人にはそんな事微塵も耳に入らない。


「とうとう見切られたか、あの3人」

「我らの天使リーナちゃんは居ないんだな」

「グランドの奴切ったのバレてぶつかったんじゃえか?」

「あいつらもう、勇者パーティじゃなくなるな、」

「あいつらの中心はグランドとリーナちゃんなのにな、よくそんなもの追放できたな馬鹿だな」

「追い出されて正解だろ」

「明日にはここからいなくなってるよ」



 とその多くはグランドとリーナに同情的である。まぁそんな事を言われながらもこいつらの耳に入る事はなく。



 迷宮でナダリ以外の全員の死亡が翌日確認された。


 ナダリの報告によると連携と称し。いきなり80階層に向かい、そこのボスに手も足もでず、ズタボロにやられ敗走その途中でも魔物の襲撃に遭い負傷した体ではひとたまりも無く、断末魔を上げ死んでいったとの事。


 ナダリはまだ最初だからと言うこともあり比較的安全な後ろで勇者パーティの戦いを見ていたおかげで負傷は少なくどうにか迷宮入口に帰還することができた。そしてギルドに勇者パーティ壊滅の報告をする事ととなった。正確には全滅だが。


 そして後で流れた噂だがナダリは西の迷宮でも同じような事があり同じように新しいパーティの仲間が全滅生き残ったのは後ろで見ていたナダリだけだった。


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