27.美少女がいる生活
かくして、緊張と興奮の一夜が明けた。
妙齢の美女であるレヴィエナ。そして、未熟な青い果実であるウルザ。
2人との入浴は……まあ、何というか。前世も含めて、もっとも刺激的な風呂だったと思う。
前世の俺は女性経験がまるでなかったというわけではないが、それでもレヴィエナのようなとんでもないレベルの美女とお付き合いしたことなどない。
加えて、ウルザのような未発達な少女を相手にするような、犯罪的な趣味だって持ってはいなかった。
2人との入浴は色んな意味で落ち着かない、忘れられないものになってしまった。
そして、そんな夜が明けて、俺は自室のベッドで目を開く。
「……ようやく朝か。待ちわびたぞ」
全然、眠れなかった。ベッドに入ってからずっと眼が冴えていて、ウトウトし始めたのは明け方近くになってのことである。
俺はベッドの上に横になったまま、視線を横へとスライドさせた。
「むにゃむにゃ……ですの」
「んっ……はあん……」
同じベッドの上に、ウルザとレヴィエナの2人が眠っていた。
ウルザの顔はレヴィエナの豊かな胸の間に押しつけられており、それが刺激になっているのか、レヴィエナの口からは熱っぽい吐息が漏れている。
こんな状況で眠れて堪るか。
いったい、どんな試練だというのだろうか。
「はあ……」
俺は深々と溜息をついて、2人を起こさないようにそっとベッドから降りる。
神に誓っても構わないが、俺は昨晩なにもしていない。幼女であるウルザはもちろん、レヴィエナにだって手は出していない。
にもかかわらず、どうして2人と同衾することになったのか……それは風呂上りにウルザが言い放った言葉が原因である。
『あったかいお湯、気持ちよかったですの。眠くなってきたのでご主人様と一緒に寝ますの』
その言葉に凍りついたのはレヴィエナであった。
控えめな性格のメイドであるはずのレヴィエナであったが、ウルザと俺が同衾することには頑なに反対をした。
俺と一緒に眠ることを譲らないウルザ。それを決して認めないレヴィエナ。
2人の口論は深夜まで続くことになり、折衷案として何故か3人で眠ることになってしまったのだ。
俺は魅力的な美女と犯罪的な美少女と一夜を共にすることになり、その結果として悶々と寝不足な夜を過ごすことになったのである。
「……勘弁してくれよ。まさか、これが毎晩続くのか?」
いっそのこと、手を出してしまえば楽になるのだろうか。そんな魅力的な誘惑に流されそうになったが、それを許さないのがウルザの存在である。
もしもレヴィエナに手を出してしまえば、ウルザはどんな反応をするだろうか。
興味を持ってくるか、それとも男に対して忌避や恐怖を抱くようになるか。
最悪なのは、『自分も抱いて欲しい』などと言ってくることである。
俺は奴隷として彼女を購入したが、それはあくまでも戦力として。幼女を抱く趣味などないのだ。
ウルザに求められたりしたら、どんな反応をしていいのかわからない。
「というか、こいつ何歳なんだ? 鬼人族ってことは、見た目通りの年齢じゃないんだよな?」
ひょっとしたら年上である可能性もある。案外、手を出しても許されるような年齢なのかもしれない。
いっそのこと勢いに任せてやってしまえば……。
「いかんいかん! ああクソ、寝不足で思考が飛んでいやがる……!」
「んにゃ、ご主人様……?」
俺が1人懊悩に悩んでいると、どうやらウルザが目を覚ましたようである。目をこすりながら、寝ぼけたように俺に抱き着いてくる。
「む……」
「おはようございますの、ご主人様~」
「……ああ、おはよう」
「えへへへへ……」
まだ半分眠っているらしいウルザは、俺の胸に顔をスリスリとさせながら幸せそうに顔を緩ませる。
やはり子供だ。年上だなんてあってたまるか。
俺は溜息をついて、胸にグリグリと押しつけられているウルザの頭を手で撫でた。
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