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67.初見殺しの海

「おい、マジか……!」


 空中から海に向かって自由落下しながら、俺は思いきり表情を歪ませる。


「よりにもよって、この部屋を引き当てるのかよ……!」


『永久図書館』には1024の部屋があるが、どの部屋に転移させられるかはランダムである。

 全部で十の部屋をクリアすれば、最奥にある全ての書物が保管されている部屋に入ることができるのだが……よりにもよって、初見での致死率ほぼ百パーセントの部屋を引き当ててしまった。

『リヴァイアサンの間』……文字通りに、ボスモンスターであるリヴァイアサンが待ち構えている大海である。


(ダンジョンの内部にある海。空中に投げ出されて、下には巨大なリヴァイアサンが待ち構えている。いったい、どれほどのプレイヤーがここで死んだのやら……!)


 まず、空中から海に落下した時のダメージがある。何故か飛行系のアイテムはしようが封じられてしまうので、別の方法を取る必要あり。

 次に水中での窒息ダメージ。水耐性のアイテムを使用しないと死亡が確定。

 それらを乗り越えたとしても、圧倒的不利な水中でリヴァイアサンとの戦闘が始まってしまう。

 どれだけ殺しに来ているんだよと呆れたくなるような仕様である。


(どれだけ強くても、ダンジョンでは死ぬときは死ぬ……この部屋はそういう制作陣の何らかの思想を感じさせるよな……)


「「「キャアアアアアアアアアアアアッ!」」」


 あまりの出来事に、同行者であるエアリス、シエル、エレクトラの三人が悲鳴を上げている。

 俺はすぐさま、エレクトラに向けて叫ぶ。


「おい、召喚魔法で空を飛べる奴を呼べ!」


「キャアアアアアアアアアアアアアアッ!」


「おい、聞いてるのか!」


「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」


 エレクトラは完全に冷静さを失っていた。

 この様子では……使い物になりそうもない。


「チッ……仕方がないな。出て来い、ミュラ!」


「ん……出た」


 何故か俺の上着の中から、召喚獣である大悪魔ミュラ・アガレスが現れた。

 このダンジョンには四人パーティーまでしか入ることはできないが、召喚獣は別枠である。

 ミュラは俺の影の中に潜んでいるのだが……今は空中で影ができないため、衣服の中にできた影から現れたのだろう。


「止めろ!」


「ん」


 短く命じると……ミュラが魔法を発動させる。

 ガクッと魔力が減った感覚があったが、代わりに落下が停止した。

 ミュラの能力……『時間停止』である。

 時間を司る悪魔であるミュラは時の流れを止めて、その間、敵に一方的に攻撃することができるのだ。


(この世界で動けるのはミュラだけ……だが、召喚主である俺は意識がつながっているため、動けずとも考えることはできる……!)


 事前に実験をしておいたのだが……ミュラの時間停止中、俺も仲間も動けなくなってしまう。

 ただし、動けないが何故か意識はあって、時間が止まっているという感覚は共有することができるのだ。


(ミュラ、良く聞け! 俺のマジックバックからマインドポーションを取り出して、エレクトラに飲ませるんだ!)


「りょ」


 ミュラが言われたとおりに、マジックバックからマインドポーションを取り出した。

 これは精神系の状態異常を回復させるアイテムで、恐怖や混乱、バーサクを解除することができるのだ。


「のめ」


 ミュラが停止した時間の中でパタパタと背中に出した翼を動かして、エレクトラのところまで飛んでいった。

 無造作に口にビンの飲み口を突っ込んで、ポーションを強引に流し込む。

 口から溢れ出た液体が胸元にビチャビチャとかかり、魔乳の胸が透けているが……それを気にしている場合ではなかった。


「きた」


 そして、時間切れ。

 時が再び、動き出した。


「キャアアアアアア……あ?」


 再び落下が始まるが……エレクトラがキョトンとした顔になる。

 マインドポーションによって、恐怖の状態が解除されたのである。


「召喚しろ! 飛べる奴を!」


「わ、わかりましたわ!」


 短い指示であったが、状況から理解してくれた。

 エレクトラが素早く詠唱して、白いドラゴンを呼び出した。


「さあ、皆さん! この子の背中に……!」


 ホワイトドラゴンが空中でエアリスとシエルをキャッチする。

 俺とは距離が離れすぎているが……俺の背中をミュラが掴んで、パタパタと浮遊した。


「助かった……!」


「し、死んだかと思ったわ……」


「…………」


 シエルが真っ青な顔で言う。エアリスもドラゴンの背で無言で震えていた。


「他の全員にもマインドポーションを飲ませないとな……それはともかくとして」


「GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」


「第一段階はクリア……次はアレの相手かよ」


 いっこうに落ちてくることのない獲物に怒り狂い、リヴァイアサンが早く来いと吠えたててくる。

 シロナガスクジラほどもある巨大な海竜を見下ろして、俺は忌々しさから舌打ちをしたのであった。


コミカライズが7話まで更新中です。

こちらもよろしくお願いいたします!!

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