64.二十五回の夜
コミカライズが更新されています。
皆様、こちらの方もよろしくお願いいたします!
「さあ、寝ますの! 今夜は寝かせませんの!」
「寝るのか寝ないのかどっちだよ。というか、さっさと寝ろ」
談話室でひとしきり話をして、フルーツを食べて。
今日はこれくらいで休もうと分かれた一同であったが……分かれたはずのヒロインの内何名かが俺の寝室に集まっていた。
キングサイズのベッドの上にいるのは白いネグリジェ姿のエアリス、単衣の着物を着ているナギサ、黒の下着姿のレヴィエナ、そして……パンツすら身に着けていないスッポンポンのウルザである。
この四人が寝室にやって来るのはよくあること。いつもながらの日常だった。
しかし、この日はいつもと違っていることがあった。
「そして、そこの二人。何やってる?」
「あうう……」
「見学ですよ。旦那様」
部屋の隅に二人の女性が座っている。
パジャマを着た少女のモニカ。スケスケのネグリジェ姿のアネモネ。
何故かレオンの家族である母娘が座っていて、興味深そうにベッドにいる俺達を見つめているのだ。
「ウチの娘ももうお年頃ですし、情操教育の一環として見学させていただこうと思いまして。私達のことは気にせずに楽しんでください」
俺の問いを受けて、アネモネがにこやかな微笑を浮かべたまま応えた。
「何が性教育だ。明らかに教育に悪いだろうが」
「が、頑張って見学しまひゅ……」
「お前も無理すんな! 自分の部屋に帰って寝ろ!」
顔をトマトのように真っ赤にしているモニカに向かって叫ぶが、プルプルと小動物のように首を振ってくる。
「わ、私はもう子供じゃないから……こういうことも、しっかりと受け入れられるようにしないと……」
「……性知識を持ってるから大人ってわけじゃねえんだよ。無駄なことしてんじゃねえよ」
「えっと……私は別に構いませんけど……?」
「私も構わないが?」
「構え! どうして、お前らはそんなに性に対して前向きなんだよ!」
理由はわからないが、何故かエアリスとナギサは受け入れ態勢を取っていた。
「まあ、モニカさんは仲間ですし」
「仲間外れは良くないな」
「仲間外れとか、そういう問題じゃなくてな……ああ、チクショウ! 俺が間違ったことを言ってるのかよ!?」
「ゼノン坊ちゃま、いくら屋敷の中とはいえ、夜中に叫ぶのはちょっと……」
「お前らに常識を語る資格はねえよ!」
注意してくるレヴィエナに怒鳴り返しておいて、俺は頭をガリガリと掻いた。
俺を取り巻く女性関係が自分でもわからなくなってきたので、一度、まとめさせてもらう。
エアリス・セントレア
職業は聖女。俺にとっての書類上の婚約者で正妻ポジション。
肉体関係あり。ほぼ毎日。
ナギサ・セイカイ
職業は剣豪。技を教えている弟子であり、愛人でもあるという関係。
肉体関係あり。ほぼ毎日。
ウルザ
職業は羅刹。奴隷であり、同じく愛人であるという関係。
肉体関係あり。ほぼ毎日。
レヴィエナ
職業はメイド。ゲーム的なジョブは近衛騎士。屋敷で働いているメイドであり、愛人であるという関係。
肉体関係あり。上の三人よりはやや少なめ。
モニカ
職業は戦乙女。勇者レオンの妹であり、魔王を倒せるかもしれない可能性を持っている。今はバスカヴィル家の屋敷で働いているメイド見習いだ。
肉体関係はもちろんなし。今後も持つ予定はない。
アネモネ
職業は不明。レオンとモニカの母親で、紆余曲折会ってバスカヴィル家の屋敷で働いているメイドである。レヴィエナの話によると、家事は優秀でなかなかデキるメイドとのこと。
肉体関係はない。
以上、六人の女達が俺の部屋に押しかけており、そのうち四人が瞳を輝かせて迫ってきている。
「よっ」
「うおっ!?」
そして……さらに追加で一人。
俺がアイテムを使用して召喚した悪魔……ミュラ・アガレスが突如として現れた。
ツルペタロリ、誰の目にも子供にしか見えないミュラであったが……今は何故かゴシック調の下着姿をしており、俺の上にのしかかってくる。
「やる」
「やるって……まさか、お前もか!?」
お前もか、ブルータス……という気分である。
急に現れたミュラまでもが肉体関係を主張してきて、俺のことを押し倒してきた。
「あ、ズルいですの! 抜け駆けですの!」
ライバルであるミュラの登場を受けて、ウルザが騒ぎ出す。
「ポッと出の女がでしゃばるんじゃねえですの! さっさとそこを退くですの!」
「ニヤリ」
「ニヤリじゃねえですの! 喰い殺すぞ!?」
ウルザの瞳が赤く染まり、光彩が黄金色になる。
本気でブチ切れた時のヤバい傾向であった。
「チッ……!」
仕方がなしに俺は手を伸ばして、ウルザを抱き寄せた。
そのまま、「ズキューン」と効果音がする勢いでキスをしてやる。
「はう……大胆ですの」
「あ、ズルいです!」
「抜け駆けだな」
ウルザの狂化が解除されて、代わりにエアリスとナギサが抗議してきた。
おまけに隙を見てミュラがパンツを脱がしてきて、もはや何が何やらといった状態となっている。
「うわ……す、すごいことしてるわね……」
「これが大人の男女というものなのですね……ワクワクですわ」
さらに……今さらのように気がついたのだが、部屋の扉がうっすらと開いており、そこからシエル・ウラヌスとエレクトラ・ル・スレイヤーズが覗いていた。
二人は臨時のパーティーメンバーであり、もちろん夜の営みに参加するような関係ではないのだが……好奇心に瞳を輝かせて、こちらに魅入っていた。
「……もう、わけがわからん」
あまりにも状況がカオスすぎる。
勝手にしてくれと自暴自棄な気持ちになってしまう。
そして、そんな俺の想いが届いたのだろう……俺は考えていた通りに、彼女達に勝手にされることになる。
一晩で六人を相手に二十五回。
プレイ内容などの詳細はヒミツ。
間違いなく、自己ベストの更新であった。
コミカライズが更新されています。
皆様、こちらの方もよろしくお願いいたします!