63.ヒロイン大集合
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ミュラによる転移によって、結果的に女性陣の入浴を覗くことになってしまった。
錯乱したシエルによって魔法を顔面に受けた俺は、その場にいたエアリスの治療によって事なきを得た。
「不可抗力だって言ってるだろ? いつまでも拗ねてないで許せよ」
「…………フンッ」
ミュラの力によって二度目の入浴を終えて、俺はバスカヴィル家の屋敷にある談話室へと移動した。
すでに事情を説明しており、決して覗き目的で風呂に飛び込んだわけではないと話してある。
エレクトラとシエルも一応はわかってくれたようだが……それでも、シエルは拗ねた様子で顔を赤くして、決して俺と目を合わせはしなかった。
「シエルさんは心が狭いですの。裸を見られたくらいで何も減りませんの」
「減るわよ!」
面倒臭そうに口を挟んできたウルザにシエルが噛みついた。
「何が減るですの?」
「色々とこう……大切な物が減るのよ!」
「意味不明ですの」
シエルの言い分にウルザが首を傾げた。
一方で、もう一人の被害者であるエレクトラは俺の膝の上にいる悪魔の少女……ミュラ・アガレスを興味深そうに見つめている。
「その子は高位の悪魔ですね? バスカヴィル卿は召喚魔法も使えるのですか?」
「いや、コイツはアイテムを使って召喚したものだ。何でかは知らんが、魔界に帰らないんだよ」
「召喚された悪魔が自分の意思で地上に留まっているのですか!? 何とも興味深いですわ!」
「…………」
感動した様子のエレクトラに対して、ミュラは気にした様子もなく俺の膝に腰かけていた。
ドライヤー風のマジックアイテムで後ろから髪を乾かしてやると、心地良さそうに目を細める。
そんなミュラをウルザが唇を尖らせて睨みつけた。
「ムウ……」
「…………フッ」
「あ、そいつ笑いましたの! ウルザのことを馬鹿にしてますの!」
「ケンカするなよ。面倒臭いから」
俺が呆れながら窘めるが、ウルザとミュラはなおも睨み合っていた。
「はいはい、二人ともケンカはそれくらいにしてください」
「飲み物を持ってきたぞ。フルーツもだ」
「ゼノン坊ちゃま、お待たせいたしました」
談話室の扉を開いて、果実水とカットフルーツをトレイに載せたエアリスとナギサ、レヴィエナが入ってきた。
三人がテーブルの上にトレイを置くと、すぐさまウルザが立ち上がってテーブルのトレイに手を伸ばした。
「わあいですの! フルーツ食べますの!」
ウルザがカットフルーツを指でつまんで、パクパクと口に運ぶ。
ミュラとエレクトラが果実水をストローで飲んで、シエルも拗ねた様子でフルーツを口に放り込んだ。
「それにしても……随分と賑やかになったものだな、この家も」
ナギサが呆れたような、感心したような口調で言う。
言われてみれば、随分と大所帯になったものである。
元からこの家で生活していたのは俺とレヴィエナだけ。
そこに奴隷としてウルザが買われてきて、エアリスとナギサが加わって。
悪魔召喚で呼び出されたミュラ・アガレスも加入。
さらに紆余曲折を経て……シエルとエレクトラがここにいる。
「お兄さん、追加のフルーツを盛ってきたよ!」
「ウルザさんもいますし、足りないと思いまして持って参りました。旦那様」
「ああ……お前らもいたな」
談話室にメイド姿の親子……モニカとアネモネが入ってきた。
二人ともカットフルーツのお代わりをどっさりと持って、笑顔で入ってくる。
悪役キャラのゼノンとヒロイン、主人公の母親と妹。悪魔少女と王女。
何ともおかしな組み合わせである。
この世界に転生してゼノンになってしまった当初はヒロインを寝取らないようにと決めていたはずなのに、結果的にヒロインを集めまくっていた。
我武者羅に突き進んでいただけだというのに、本当にすごい展開である。
「ゼノン様?」
「我が殿?」
「ご主人様?」
「…………何でもねえよ」
黄昏ていた俺は恋人達に顔を覗き込まれて、やや途方に暮れながら溜息を吐くのであった。
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