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1.勇者死す

新章、突入!

今後とも本作をよろしくお願いします!


 レオン・ブレイブ死亡。

 その知らせを聞いて、俺は頭を殴られたような衝撃を感じた。


 レオンと最後に会ったのはマーフェルン王国に出向く前。学園で会って、模擬戦という形で刃を交えたときのことだ。

 その際、『勇者』のジョブに覚醒したレオンの成長を実感し、俺が面倒をみなくとも十分にやっていけるだろうと確信を得た。

 だからこそ、心置きなくマーフェルン王国へと遠征することができたのだ。

 それなのに……予想外なことに、レオンが死んでしまったらしい。


『死喰い鳥』からの手紙に詳細までは記載されていなかった。ひょっとしたら、誤報の可能性だってあるだろう。

 ともかく……俺はすぐさまスレイヤーズ王国へと帰国することにした。

 本当は、竜車に乗って砂漠の旅を楽しもうと思っていたのだ。

 マーフェルン王国に来てからまだ行っていない村や町に寄って、アイテムやイベントの回収をするつもりだった。

 しかし……事態が事態である。主人公死亡というとんでもない知らせを聞かされて、そんな悠長なことは言っていられない。

 マジックバッグに入れていた転移アイテムを駆使して、最短時間でスレイヤーズ王国にあるバスカヴィル侯爵家へと帰還する。


「ゼノン様……おかえりなさいませ!」


「おっと!」


 屋敷の入口を開くや、たまたま玄関ホールにいた女性が俺の胸に飛び込んできた。

 金色の髪から香ってくる花の香り。胸に当たるずっしりとした感触。

 サイズ、触り心地、どちらも極上の乳房を惜しげもなく押しつけてきたのはエアリス・セントレア。

『ダンブレ』におけるメインヒロインの一人。『セントレアの聖女』の異名を持った神官系ヒロインである。


「お帰りをお待ちしておりました……ゼノン様。よくぞご無事で帰られました!」


「あ……ああ、留守を任せてしまって悪かったな。そちらも大事はないな?」


 俺は約一カ月ぶりになるエアリスの姿に目を向けた。

 普段からシスター服を着ているエアリスであったが、今日は水色のワンピースを身に着けている。

 袖や首元にレースがあしらわれた服はエアリスとよく似合っており、ふっくらと膨らんだ胸元の谷間が自然と目を引いてきた。

 俺が見たことのない服である。留守中に購入した部屋着なのだろう。


「はい……ゼノン様の方こそ、お怪我はありませんか? どこか痛いところはないですか?」


 エアリスが心配そうに言って、俺の身体に触れてきた。

 怪我の有無を確かめようとしているのだろうが……それにしては過剰なほどベタベタと身体を触ってくる。

 胸を触り、背中を触り、腰や尻まで撫でられて。白魚のような指がズボンの隙間に潜り込もうとした時、さすがに俺もその手を掴んで止めた。


「悪いが……それ以上はやめとけ。あまりおふざけが過ぎると、真面目な話ができなくなるだろうが」


「ご、ごめんなさい……いつも妄想していたから、つい……」


「妄想?」


「はい。ゼノン様が帰ってきたらこうしよう。あんなことをしようと毎日のように考えていたもので……はしたないことをいたしました」


「そ、そうか……それは悪かったな。もっと早く帰ってくるべきだった」


 申し訳なさそうに顔を伏せるエアリスに、俺も顔面を引きつらせた。

 どうやら、長く放置しすぎてしまったらしい。

 いったい、どんな妄想が頭の中で繰り広げられていたのだろう。質問するのも恐ろしかったので、「ゴホン」とわざとらしい咳払いをして話を変える。


「エアリス……レオンが死んだという知らせを聞いたのだが、それは本当か?」


「…………!」


 俺が発した問いにエアリスが表情を曇らせた。

 その顔を見ればすぐにわかる。『死喰い鳥』からの手紙は誤報ではなく、本当のことなのだと。


「……詳細を聞きたい。話してくれるか?」


「……私も詳しいことは知りません。話はナギサさんから聞いた方が早いと思います。今の時間でしたらお部屋にいるはずです」


「わかった……それじゃあ、話を聞きにいこうか」


「あ……お待ちください!」


「ん……?」


 そのまま執務室に向かおうとする俺であったが、エアリスに手を掴まれて立ち止まる。

 怪訝に振り返ると……不意打ちのように唇に当たる柔らかさ。


「ごめんなさい……これだけです。続きは我慢しますから」


「…………おい」


「お茶を淹れてきますね。それに簡単なお食事も。ナギサさんと話して待っていてくださいな」


 エアリスがパタパタと廊下を走っていく。

 その背中を見送りながら……俺はふと自分の唇に指で触れる。


「……俺の留守中に化粧を覚えたのか。お年頃め」


 手にはピンク色の淡い色合いの口紅がついていた。そういえば、香水のような花の匂いもした気がする。

 ひょっとしたら、エアリスが玄関ホールにいたのは偶然ではなく、待ち伏せされていたのかもしれない。

 今日だけではなく、俺が帰るのをずっと玄関で待ち構えていたのではないだろうか?


「…………」


 俺は首を振って恐ろしい想像を振り払い、ナギサの私室に向かっていった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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