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チャンバラディストピア!!  作者: 藤夏燦
魔法使いと邪気の王
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動き出した暗殺者

――ダゴヤ国際空港――


 ここはダゴヤ。国際空港のある大きな街だ。飛び立つ飛行機はもちろん旅客機ではない。白く塗装された戦闘機である。完成したばかりの綺麗な空港のターミナルで二人の男が話していた。一人はこの空港の経営者で白髭を蓄えた男。そしてもう一人はこの国の総理大臣だった。彼はまだ若く聡明で国民から高く支持されていた。


「戦争は終わりませんねぇ」


と総理大臣は言った。


「人々は平和を求めています。私も同じです」


 空港経営者は白髭に指を伸ばして発着する戦闘機たちを見つめた。


「わかりました。すぐにでも」


と総理大臣が言いかけた時、強い風が室内にも関わらず吹きわたった。そして


「すぐに終わらせてやるよ」


そう声が聞こえたかと思うと空港経営者の腹に細長い剣が突き刺さり、彼は鈍い悲鳴を上げた。総理は慌てる間すらなく、心臓を貫かれた。


☆☆☆


――共存政府宮――


 共存政府の王宮では殿様が声を大にした。


「なに?! 総理大臣が殺されただとぉ!」


 この王族は髪を伸ばすのがしきたりで、その髪を決闘で切った者に次の王になる資格が与えられる。しかしこの男はとても強く、長い間王の椅子に座り続けている。それでも決して威張ってなどいなかった。


「はい。とても残念です」


頭を抱える側近に殿様は尋ねる。


「誰に殺されたんだ?」

「わかりません。謎の暗殺者と伝えられています」

「では用心せんとな。護衛を増やすのだ」

「はい、かしこまりました」

「それともう一つ。暗殺者の正体を特定せねばならん。儂に良い考えがある」


☆☆☆


――ダゴヤ郊外の荒れ地――


 殿様の助言の下、側近の男はダゴヤの街の外れにあるという賞金稼ぎが集まるクラブを訪ねた。賞金稼ぎたちは共存軍と皇帝軍の戦争とは無関係で、金のある者の味方になってくれる。怪しげなクラブの一室に招かれた側近は、そこでクラブのオーナーから一人の男を紹介された。


「総理を殺した暗殺者ですか。高くつきますよ」


 ゲルラ・メロクと名乗ったその男は包帯に全身を包まれていた。


(こんな怪我人のような奴に暗殺者の特定なんてできるのか……)


 側近は内心そう思ったが何も言わなかった。


「共存軍の殿様の勅命だ。お前は腕が立つと聞く」

「王様にまで私の名が知れ渡っているとは驚きです。分かりました、引き受けましょう」


☆☆☆


 側近の予想に反してたった一日で暗殺者を突き止めてしまったゲルラはその正体に驚いていた。暗い夜空の下、剣を研ぎ話し合っていたのは、賞金稼ぎの間では有名なアルトと影の王というロボットだったのである。ゲルラは彼らが眠りにつくのを待っていた。お前らが瞼を閉じた時、それが最後だ。


「殺しすぎたな」

「ああ」


 暗闇で影の王が言い、アルトが相槌を打つ。


「あーあ。また増えちまう」

「嫌だねえ」


 ゲルラは寒気がした。奴らは私に気づいている。こうなったら正面から決闘を申し込むまでだ。ゲルラは腰に手を当てると、二本の刀を抜き、両手に構えて二人の前に現れた。


「二刀流ってずるいよね」


 アルトは暗闇で白い剣を抜くと、ゲルラの前で不気味に笑った。


「二対一のほうがずるいですよ」


 包帯まみれの賞金稼ぎゲルラは、回転してアルトに斬りかかる。片腕の刀がアルトの白い剣とぶつかり夜空に火花が散った。ゲルラはもう一方の刀でアルトにとどめを刺そうと振りかざした。


「もらいました!」

「少しは骨がある」


 影の王は細い剣を抜き、ゲルラの一撃からアルトを守る。そのまま腕の力だけでゲルラを吹き飛ばすと、不規則な剣術で攻撃をはじめた。そのあまりの強さにゲルラはついていくのがやっとだ。


「うっ、なんという力だ……」


 影の王はゲルラの右の刀を叩き落すと、包帯まみれの右足を斬りつけた。なんとか持ちこたえたゲルラは少し間をとって、両腕で刀を構える。


「珍しくしぶとい奴だ」


 ゲルラを睨みつける影の王の目は殺気そのものだ。ゲルラは右足の痛みの中で察した。このままでは自分が殺される。


「私は賞金稼ぎです」

「知っている」

「それにあなたと同じ邪気を使う邪者です。あなたも賞金稼ぎならわかるでしょう。戦争が私たちから生活を奪っていきました。生きるためにはこうするしかありませんでした。私たちは戦うべきではないのです。本当の敵は他にいます」

「知っている」


影の王は冷淡に言い放った。


「でも俺たちは弱い奴と組むつもりはない」


 一瞬の出来事だった。影の王はゲルラの前に現れると細長い剣で彼の体をバラバラにした。肉塊となったゲルラの遺体を共存軍の殿様や側近たちが見つけることはもはや不可能だった。


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