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85.朝食


 「それはいいんだけど、エミリアさん俺に何か着るものはないか?あの戦闘服のままだとあまり良い気分じゃあないからさ」

 「そうですね……しばしお待ちを」

 そういって部屋を出て行ったエミリアは数分と経たないうちに着るものをもってきた。

 「こんなのでよろしければ……」


 少し申し訳なさそうにエミリアが持ってきたのは、白いローブのようなもので腰のあたりをベルトで止めるものだ、これを着た俺は頭こそ何もかぶっていないが、まるでアラビアの王族の姿を彷彿とさせるもののようだ。


 「いや、着やすいからこれでいいよ、ありがとうエミリア」

 「い、いえ、そんな……」


 普通に声をかけたつもりであったがエミリアは顔を赤くし下を向いてしまった。

 

 (あれ?なんかした?)

 

 ふと、何かを感じ後ろを向くとメリアが可愛く頬を膨らませて少し不機嫌でいた。


 「何よ、私を放っておいて、ム~っ」

 「ん?そんなに気を悪くしないで、メリアは俺の中で一番だからさ」

 「ありがと!」


 メリアは俺の背中に抱きつき顔を擦りつけてくる。

 

 「おなかも減ったしそろそろ行こうか?」

 「うん!」

 「それでは参りましょう」


 前までは武装メイドたちであってもメリアたちについていくことはなかったが、今や俺とメリアの前後を挟むように一緒に移動している。

 警備部隊の増設がまだ完了していないので、増設されるまで応急的に今は“メランオピス”隊が周辺を警備している。

 気づくと俺の後ろにはレナがいつの間にかついてきていた。



 これから朝食を食べに行くのだが、今日は食堂ではなく会議室で食べてそのままそこで会議を行うようだ。

 会議室につくと入り口から見て左側に陸軍陣営のヨナ、セレナ、エレシアやエレン、その反対側には海軍から大臣のガンダルシア・ヴィアラ、総司令官のオルデント・リディア、参謀総長のアルバ・ユリシア、作戦本部長ジェミナ・フラウもいた。

 その両陣営の首脳陣が長いテーブルに海軍と陸軍と別れて向かい合わせるように座っていた。


 今この部屋の空気は両陣営の目線による静かな戦いよってピリピリとしていて、とてもこれから朝食をとる空気感ではないがそれとは関係なしに次々とテーブルの上には料理が運ばれてくる。

 さらに部屋の周りは厳重な警備体制が敷かれていてより一層空気が重い。


 今この王宮中の空気が重い理由は、この後の王国陸軍による大規模反抗作戦が行われるのと、そののちに計画されている王国海軍による帝国海軍主力の連合艦隊に対する海戦について話し合うこともあってのことだろう。

 この作戦は陸軍の作戦の成功を前提に考えられていて、勝利した後に各方面で余裕の出た兵員を海岸線と港に配置し敵の上陸を防ぎ同時に占領地域の奪還作戦も行う、その間に今まで帝国海軍の陸戦部隊と艦隊の両方の対応をしていて自由に動けなかったが、陸軍が後方(海軍基地等)の安全を確保するため、海軍の残存艦隊総出で帝国艦隊に攻撃を仕掛けるというものだ。

 ただ、どの方面も劣勢で特に海軍に至っては今現在でも戦闘に参加できる艦艇は40隻(内主力10)しか残っていない、しかし敵の艦隊は500隻(この連合艦隊のほかに帝国周辺海域にも多数の艦隊が存在)もあるのでその艦隊に対してどれだけ俺の力(主にLiSMによる召喚)を発揮させるかがかかっている。

 


 そんな重い空気の中、俺は食欲に耐え切れず運ばれてきた食事に手を伸ばす。

 今日の朝食はコーンスープと干しレーズンの入ったフランスパンのようなものとサラダが出てきている。

 ただ、机に座っているうち食べているのは俺とメリアだけで、周りはコーヒーにのみ手を付けているのみだ。

 

 流石に気まずいと感じたのかメリアは素早く食事を済ませ、静かに立ち上がった。


 「さて、まず何から話しましょうか?」


 この後の話し合いによって国の趨勢が大きく変わっていく――――


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